
製品マニュアルが用意されていても、利用者が必要な情報を見つけられなかったり、自分に関係する内容を探しにくかったりすることがあります。そのような場合に、製品マニュアルとは別に、特定の利用者や利用目的に向けた「簡易マニュアル」を作ることがあります。
・ファーストステップガイド
・管理者向けガイド
・業務別ガイド
・よくある操作ガイド
・クイックリファレンス
・FAQ集
など
実際には、1~2ページ程度の簡易マニュアルもあれば、40ページを超える簡易マニュアルもあります。掲載する内容や記載方法もさまざまです。
どのような目的で「簡易マニュアル」をつくるかにもよりますが、「簡易マニュアル」という名前から「製品マニュアルを短くした資料」と考えられがちですが、実際はそうとは限りません。
一般的なマニュアルも対象者に合わせて作成しますが、特に「簡易マニュアル」では、利用者の目的や業務に合わせて必要な情報を選び、利用者が実際に行う順番で再構成することで、利用しやすい資料になります。
製品マニュアルが「製品について説明する資料」だとすると、簡易マニュアルは「利用者が目的を達成するために必要な情報を選び、利用しやすい形に整理した資料」と捉えることもできます。
ここでは、簡易マニュアルの役割や、記載する情報を選ぶときの考え方をお伝えします。
- 目次
1. 利用者の状況に合わせて作りましょう
同じ製品でも、利用者によって知りたいことが異なります。
例えば、
初めて利用する人 → 「何から始めればよいのか」
管理者 → 「最初の設定や運用方法」
特定業務の担当者 → 「自分の業務に必要な操作」
といった具合に。
では、製品マニュアルに掲載されている内容をそのまま抜粋して、簡易マニュアルとして提供すればよいのでしょうか。
製品マニュアルには、製品全体を利用するための情報が掲載されています。一方で、利用者が必要とする情報は、その中の一部である場合も少なくありません。
そのため、内容をそのまま抜粋するだけでは、利用者にとって使いやすい資料にならないことがあります。
2. 情報を「減らす」ではなく「選ぶ」
さて、「情報を減らそう」と思っても、何を減らせば良いのか、悩みますよね。
「情報を減らす」ではなく「記載する情報を選ぶ」と考えてみてはいかがでしょうか?
次のような観点で必要な情報を選んでみます。
・この情報がないと作業できないか
・この情報がないと間違う可能性があるか
・利用頻度が高いか
・利用者の業務に関係するか
など

2-1. 製品マニュアルに掲載されている内容を省略しても大丈夫?
簡易マニュアルには掲載しない情報は、不要な情報ではありません。
しかし、利用者がその目的を達成するために必須ではない場合は、今知る必要のない情報を掲載しないことで、目的の内容を探しやすくなります。
次のような情報の場合、省略対象になりえます。
・目的達成に必要ない機能
・利用頻度が低い特殊な運用
・詳細な仕様説明
など
しかし、同じ情報でも、利用者によって必要性は変わります。
ある利用者にとって利用頻度が低い操作でも、別の利用者にとっては利用頻度が高い重要な操作である場合があります。
そのため、「利用頻度が低いから削除する」「製品マニュアルに書いてあるから掲載する」といった単純な判断ではなく、利用者の目的や業務に合わせて判断することが重要です。
2-2. 省略するのに、情報を追加するって…
簡易マニュアルは、単なる抜粋版ではありません。
利用者が理解しやすくなるように、実機を確認したり、利用者がどこで迷っているかをヒアリングしたりしながら、補足する情報や運用時に必要な項目などを追加します。
例えば、製品マニュアルには操作手順だけが掲載されていても、利用者が迷わず作業するためには、次のような情報を追加した方がよい場合があります。
・操作する目的・理由
・判断基準
・注意事項
・用語説明
・よくあるつまずき
・目的達成までの操作順や次の操作
など
これにより、利用者が実際の利用場面で活用しやすい資料になることを目指します。
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3. 情報の取捨選択は意外と難しい

「情報を減らす」ではなく「記載する情報を選ぶ」とか、「利用者の目的や業務に合わせて判断する」とか、いろいろ言ってきましたが、必要な情報だけを選び出す作業は簡単ではありません。
情報を減らし過ぎると利用者は作業できませんし、情報が多すぎると必要な内容が埋もれてしまいます。
例えば、管理者には必須の情報でも、一般利用者には不要な場合があります。逆に、管理者向けのマニュアルでは省略できる内容でも、新任担当者向けのマニュアルでは、詳しい説明が必要になることがあります。
そのため、製品を理解しているだけでは十分ではなく、利用者がどのような業務を行い、どこで迷い、どのような判断をするのかを理解した上で情報を選ぶ必要があります。
3-1. 簡易マニュアルを作る前に確認しましょう
簡易マニュアルを作る前に、まず製品とマニュアルの利用者や利用シーンを把握することが重要です。
これらを確認せずに簡易マニュアルを作成すると…
・利用者が知りたい内容と掲載内容が合っていない
・業務の流れとマニュアルの構成が合っていない
といった問題が発生しやすくなります。
そのため、まず利用者や利用シーンを理解することが重要です。
・利用者は誰か(製品に慣れている人なのか、初めて製品に触れる人なのか、類似の製品を使ったことがあるのか、ベテラン社員なのか、新入社員なのか …)
・何を達成したいのか
・いつどこで
・今どのような課題が起きているのか
など
この情報により、説明の仕方や提供する方法などが変わってきます。
(どこまで踏み込んだ説明が必要なのか、手順を多めに書いた方が良いのか、フロー図で示す方がよいのか、PCで閲覧できるようにするのか、プリントアウトして確認するのか…)
4. 利用者が使いやすいように再構成しましょう
そのマニュアルを使う場面や用途により、構成(掲載順や見せ方)も重要です。
利用者が情報を探しやすく、迷わず行動できるように工夫することで、マニュアルの使いやすさは大きく変わります。
掲載する情報を決めた後は、利用者が探しやすく、理解しやすい形に整理することも重要です。
・機能ごとの説明を業務の流れに沿って並び替える
・システム用語を利用者が理解しやすい表現に変更する
・関連する作業をまとめて掲載する
・次に行う作業への導線を入れる
・直感的にイメージできるようにする
・利用頻度の高い作業を優先して掲載する
など
5. まとめ
「簡易マニュアル」は、必ずしも製品マニュアルを短くした資料ではありません。
利用者が目的を達成しやすいように、必要な情報を選び、再構成して作成されることがあります。
そのため、マニュアルが使われる状況や今起きている課題を把握し、「何を載せるか」だけではなく、「何を載せないか」「何を補足するか」も判断しながら制作する必要があります。
簡易マニュアルでは、「どれだけ減らしたか」よりも、「利用者に必要な情報を届けられているか」が大切になります。
また、製品マニュアルとは別に簡易マニュアルを作る場合、製品の仕様変更時に両方を更新する必要があります。簡易マニュアルを作る際は、この更新の手間も踏まえて、運用方法(更新のタイミングや担当)も合わせて検討しておくと安心です。
情報を「選ぶ」作業は、頭で分かっていても、実際に行うのは簡単ではありません。何を載せ、何を載せないかの判断には、利用者への理解と客観的な視点が欠かせないからです。
簡易マニュアルを作成する際は、「何を書くか」だけではなく、「誰のために、何を伝えるのか」を意識しながら情報を整理することが重要です。
簡易マニュアルの中でも、特に「初めて利用する人」向けの資料は、「スタートガイド」や「入門ガイド」と呼ばれることがあります。次回は、この「スタートガイド」について考えます。
【関連サービス】
簡易マニュアルの構成検討や制作でお困りの際は、ヒューマンサイエンスのマニュアル制作サービスもご活用ください。
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