カスタマーサクセス業務における人や組織上の課題にはどんなものがあるのか、またその課題を解決するための考えられる改善策を以下にまとめてみます。
- 目次
1. カスタマーサクセスの課題とは?
カスタマーサクセス業務における人や組織上の課題にはどんなものがあるのか、またその課題を解決するための考えられる改善策を以下にまとめてみます。
1-1. カスタマーサクセスとは?
まず「カスタマーサクセス」についての概要を、簡潔に振り返ります。カスタマーサクセス(Customer Success)は、顧客が製品やサービスを最大限に活用し、成功を収めるための取り組みを指します。製品やサービスを購入してから、顧客がその価値を最大限に引き出せるように伴走する取り組みです。
例えば、サブスクのサービスを提供しても使い方を丁寧にレクチャーし伴走しなければ、顧客はその価値を最大限に受けることができなくなり、継続的な利用をしてもらえなくなる可能性が高くなります。そのためにも、カスタマーサクセスに関連する業務についての課題を把握し、改善していく必要があります。
1-2. スタマーサクセスの組織としての課題
人・組織の課題
- モチベーションの維持:カスタマーサクセスの業務は顧客対応が中心であり、ストレスが溜まりやすい環境といえます。そのため、担当者のモチベーションが低下しやすくなります。
- 人的リソースの不足:目の前のタスクをこなすのに手一杯となり、長期的な目線でのサービス品質の向上と業務効率化に向けた取り組みができないことがあります。特に日本では、カスタマーサクセスの取り組みがまだ新しいため、専任のスタッフが少ないことが一般的で、カスタマーサクセスの活動を進めるための十分な人員が確保できないことが多いかもしれません。
- 組織計画が不十分:カスタマーサクセス部門としての、現状課題の分析と改善の指標設定ができていないことがあります。
ユーザーへの効果性の課題
- 提供コンテンツの課題:マニュアルやeラーニングなどの、ユーザー向けコンテンツについての課題があります。その内容が分かりにくい、必要な情報が書かれていない、担当者ごとに書き方がバラバラ(勘や経験に依存している)などの理由で、提供コンテンツの品質が悪くなることがあります。そのため、ユーザーの製品やサービスに対する理解度が上がりません。
システムの課題
ユーザー向けコンテンツの作成から公開までに時間がかかるため、開発と並行してコンテンツを準備するのが難しくなり、製品やサービスとコンテンツの連携が不十分となる場合があります。またコンテンツを準備しても、運用フローが煩雑で手間がかかることも多いです。
2. 課題解決の鍵となるのは「コンテンツ」の見直し
カスタマーサクセス業務の課題解決の鍵となるのは「コンテンツ」にあることが多いです。その理由について以下にまとめます。
2-1. カスタマーサクセスを成功させるためには、これらが重要
1. 顧客教育とオンボーディング
新規顧客が製品やサービスを使いこなせないことが多いです。これにより、初期段階での解約リスクが高まります。高品質なオンボーディングのためのコンテンツを提供することで、顧客がスムーズに製品を使い始められるようにします。例えば、チュートリアル動画、ガイドブック、FAQなどが有効です。
2. 継続的な価値提供
顧客が製品の価値を感じ続けることが難しい場合があります。特に、利用が進むにつれて新たな価値を見出せないと、解約のリスクが高まります。定期的に更新されるコンテンツ(ブログ記事、ウェビナー、ケーススタディなど)を通じて、製品の新機能や活用方法を紹介し、顧客に継続的な価値を提供します。
3. 顧客の自己解決能力の向上
顧客が問題に直面した際に、サポートに依存しすぎることがあります。これにより、サポートチームの負担が増加します。自己解決を促進するためのコンテンツ(ナレッジベース、コミュニティフォーラム、チャットボットなど)を提供し、顧客が自分で問題を解決できるようにします。
4. 顧客エンゲージメントの強化
顧客との関係が希薄になると、エンゲージメントが低下し、解約のリスクが高まります。パーソナライズされたコンテンツ(ニュースレター、特別オファー、顧客事例など)を通じて、顧客との関係を強化し、エンゲージメントを高めます。
5. データドリブンなアプローチ
顧客のニーズや行動を正確に把握できないと、適切なサポートが提供できません。顧客データを分析し、その結果に基づいてコンテンツを最適化することで、より効果的なサポートを提供します。例えば、利用状況に応じたパーソナライズドコンテンツの提供が考えられます。
これらのコンテンツ戦略を活用することで、カスタマーサクセスの課題を効果的に解決し、顧客満足度と継続率を向上させることができます。
ただし、コンテンツの「質」も重要となってきます。コンテンツを運用しながら、コンテンツそのものの改善・品質向上も進めることにより、より製品やサービスを使い続けてもらえるようにユーザーを適切に支援することができます。継続的にマニュアル(トレーニングテキスト)や教育コンテンツの充実・品質向上を図り、様々なコンテンツを充実させることにより、効率的なカスタマーサクセス業務を実現できます。それは、人員が足りない中でも、効率的かつ属人化もなくせる手段ともなります。
3. カスタマーサクセスのマニュアル・教育コンテンツの作り方のポイント
カスタマーサクセスのマニュアルや教育コンテンツを作成する際のポイントを以下にまとめます。
1. 目的と対象を明確にする
マニュアルや教育コンテンツの目的を明確にし、対象となるユーザー(新入社員、既存社員、顧客など)を特定します。これにより、コンテンツの方向性や内容がブレずに作成できます。
2. シンプルで分かりやすい構成
情報をシンプルに整理し、分かりやすい構成にします。見出しや箇条書きを活用し、視覚的に理解しやすいレイアウトを心がけます。図やイラストを使うことで、さらに理解を助けることができます。
3. 実践的な内容
理論だけでなく、具体的な事例や実践的な手順を盛り込みます。例えば、顧客対応のシナリオや成功事例を紹介することで、実際の業務に役立つ内容にします。
4. インタラクティブな要素
動画やクイズ、シミュレーションなどのインタラクティブな要素を取り入れることで、学習効果を高めます。特にeラーニングコンテンツでは、受講者が積極的に参加できる仕組みが重要です。
5. 継続的な更新
マニュアルや教育コンテンツは一度作成して終わりではなく、継続的に更新することが重要です。製品やサービスの変更に応じて内容を見直し、最新の情報を提供します。
6. フィードバックの活用
コンテンツを利用したユーザーからのフィードバックを収集し、改善に役立てます。アンケートやインタビューを通じて、どの部分が理解しにくかったか、どの情報が役立ったかを把握します。
7. 一貫性のあるトーンとスタイル
マニュアルや教育コンテンツ全体で一貫性のあるトーンとスタイルを維持します。これにより、ユーザーが混乱せずに学習を進められます。
これらのポイントを押さえることで、効果的なカスタマーサクセスのマニュアルや教育コンテンツを作成することができます。
また、このようなコンテンツの制作や管理するためのツールを活用することにより、カスタマーサクセス業務の効率を向上できます。
3-1. 最適な情報共有ツールやLMSを導入する
カスタマーサクセスのマニュアルや教育コンテンツを効果的に作成するためには、最適な情報共有ツールや学習管理システム(LMS)の導入も大切な要素です。もちろん製品やサービスの規模によってはツールを導入しない場合もありますが、多くのサービスではツールによってコンテンツを管理することが多くなっています。
1. 情報共有ツールの導入
情報共有ツールを活用することで、マニュアルや教育コンテンツの作成・管理が効率化されます。以下のようなツールがあります。
- SharePoint:Microsoftが提供するクラウドベースの情報共有プラットフォームです。ファイルのアップロードや共同編集、構造化された情報の掲示板としての活用、Webサイトの構築など、多岐にわたる機能を備えています。
- Confluence:Atlassianが提供するナレッジマネジメントツールで、文書ファイルの作成や情報の蓄積、検索、共有が簡単に行えます。社内ポータルや業務マニュアルの管理に適しています。
- Toaster Team:AIを活用してマニュアルを自動作成するツールです。業務手順の学習と生産性を高め、即戦力人材の育成と定着を実現します。動画マニュアルの作成や用語集の管理にも対応しています。
2. 学習管理システム(LMS)の導入
LMSを導入することで、教育コンテンツの配信や学習進捗の管理が容易になります。以下にLMSの例をまとめます。
- Moodle:オープンソースのLMSで、カスタマイズ性が高く、さまざまな教育コンテンツを配信できます。
- Totara Learn:企業内での人材育成に特化した機能を持っています。オープンソースであり、企業のニーズに合わせて柔軟にカスタマイズ可能です。
- learningBOX:専門知識がなくても簡単に操作できます。低コストで運用でき、クイズ作成、成績管理、動画やPDFの教材登録など、eラーニングに必要な機能が揃っています。
- LearnWorlds:AIを活用したインタラクティブな学習体験を提供しています。eコマースにも対応し、学習コースの販売やマーケティング機能が充実しており、オンラインコースの収益化が可能となっています。ブランドに合わせたカスタマイズも可能です。
3-2. 既存マニュアル・教育コンテンツの見直し
既存のマニュアルや教育コンテンツを継続的に見直すことも大切です。以下のような要素を検討しつつ改善を進めることができます。
- 改訂の目的と範囲を明確にする:なぜ見直しが必要なのか、その目的を明確にします。例えば、新しいツールの導入、業務プロセスの変更、法規制の改定などが理由となります。また、どの部分を見直すのか、範囲を具体的に設定します。
- 現行マニュアルの評価・分析:現行のマニュアルや教育コンテンツを評価し、改善点を洗い出します。現場の担当者や利用者からフィードバックを収集し、どの部分がわかりにくいか、どの情報が不足しているかを確認します。
- 改訂内容の計画:改訂が必要な箇所をリストアップし、優先順位をつけます。改訂のスケジュールを作成し、誰がどの部分を担当するかを明確にします。改訂内容が多岐にわたる場合は、段階的に進めることも検討します。
コンテンツの改善に向けて上記のように準備できますが、そのためのリソースが限られている場合があります。そのようなときには、マニュアル・教育コンテンツの専門家による、コンテンツの評価・分析サービスを活用できます。
3-3. 問題点をもとに改善する
評価・分析した結果をもとに改善計画にしたがって、実際にマニュアルや教育コンテンツを修正します。
- コンテンツの修正と更新:最新の情報を反映し、わかりやすい表現に改めます。必要に応じて、図や動画を追加して視覚的に理解しやすくします。
- 改訂履歴の管理:改訂履歴をしっかりと管理し、いつ、どの部分が、どのように変更されたかを記録します。これにより、後から変更内容を確認することが容易になります。
- フィードバックと改善:改訂後のマニュアルや教育コンテンツを実際に使用してもらい、再度フィードバックを収集します。必要に応じて、さらに改善を加えます。これにより、常に最新で最適な状態を維持します。
- 定期的な見直し:定期的にマニュアルや教育コンテンツを見直すスケジュールを設定します。例えば、四半期ごとや半年ごとに見直しを行うことで、常に最新の情報を提供できます。
制作リソースが不足している場合にも、専門家による制作サービスがあるので活用できます。
4. まとめ
多くのBtoB企業(特にSaaS企業)で、カスタマーサクセスの優先順位が高くなっています。カスタマーサクセス部門の業務は非常に多岐に渡るため、その業務プロセスの効率化や改善が求められます。ヒューマンサイエンスのサービスは、カスタマーサクセス部門の業務効率化とCX(顧客体験)の向上につながる施策を実施できます。
サービスの紹介
カスタマーサクセスのための、または顧客の満足度を高めるためのノウハウの情報共有を効率的に行うには、ドキュメントやコンテンツの整備も大切です。そのためのリソースも確保する必要があります。ただし、顧客満足度を上げるためのマニュアル作成やトレーニングコンテンツの整備・充実には多くの人員と時間が必要で、優先順位は高いものの負荷が大きい業務となりつつあります。
ヒューマンサイエンスでは、カスタマーサクセス部門のお客様向けのサービスが多くあります。特に、カスタマーサクセス部門が顧客へ提供するコンテンツの品質が、カスタマーサクセスを成功させるための鍵と考えています。そのために必要なこととして、マニュアルの改善や制作、FAQの充実、またトレーニングコンテンツの制作などが挙げられます。どれも自社内で進めようとすると、コストがかかります。また、その質も分かりやすい内容でなければ意味がありません。ヒューマンサイエンスでは、分かりやすいマニュアルやeラーニングコンテンツの制作実績が多くあります。以下のようなサービスをご用意しています。
- マニュアルやトレーニングテキストの品質改善 お客様の環境に最適の取扱説明書、技術資料、ヘルプ、FAQを提案します。現状のマニュアル評価から始まり、多言語対応の仕組みづくりやCMS構築運用までコンサルティングします。動画マニュアルの制作も請け負うことができます。
- 教育コンテンツの制作やLMS(学習管理システム)の導入支援
マニュアルと同様に、お客様の環境に最適の教育コンテンツを提案します。現状のコンテンツ評価から始まり、LMSの最適化や多言語対応も可能です。
- 既存コンテンツの有効性・最適性の分析サービス
マニュアルやコンテンツの現状について、ヒアリング・分析を行いレポートを提出します。 - 分析に基づく・改善提案・サンプル制作サービス
評価・分析結果をもとに、リライト例、マニュアルサンプル、教育サンプルコンテンツを提出します。
- 既存コンテンツの有効性・最適性の分析サービス
- チャットボット導入・構築支援 カスタマーサポートの効率化のため、多くの企業でチャットボットの導入が進んでいます。お客様の環境に最適のチャットボットを提案します。チャットボットシステムの導入支援から、コンテンツの制作までワンストップで対応可能です。
ヒューマンサイエンスでは、このようにドキュメント(マニュアル)と教材の制作支援をワンストップでご提供しています。
実績
カスタマーサクセス部門向けの実績としては以下があります。
ウィングアーク1st株式会社様:カスタマーサクセス部門向けコンテンツ評価・改善コンサルティング・コンテンツ制作サービス
カスタマーサクセスに必要な、分かりやすい「マニュアル」や「動画マニュアル」、またeラーニングコンテンツの制作をワンストップで対応できるサービスも提供しておりますのでご活用ください。