
こんにちは!コンサルタントのLです。
普段、業務マニュアルの作成や改善プロジェクトを担当している私が、今回は「業務マニュアル作成の成功メソッド」をお伝えします。業務マニュアルは、会社の知識を共有し、業務の標準化を図るために欠かせないツールです。でも、ただ作成するだけではなく、効果的に活用し、ちゃんと定着させることが重要です。このブログでは、私の経験や実際の事例を交えながら、わかりやすいマニュアルを作成するための手順とポイントを解説します。
1. わかりやすい業務マニュアルとは

業務マニュアルの目的は、企業や部署によってさまざまですが、どんな場合でも大事なのは「わかりやすさ」です。業務の属人化を解消したり、スムーズにスキルを引き継いだりするためには、内容が理解しやすくてアクセスしやすいマニュアルが必要です。お客様から「業務マニュアルがあるのに、誰も読んでくれない」という声を多く聞きます。これは、内容が難しすぎる、必要な情報が見つけにくいといったことが原因です。
マニュアルの「わかりやすさ」を実現するには、以下のようなポイントがあります。
・明確な構成:目次を明確にし、ユーザーが知りたい情報にすぐアクセスできるようにします。
・簡潔な言葉:専門用語や難しい表現は避けて、誰にでも理解できるようにします。
・ビジュアル要素の活用:図や写真、動画を使って、視覚的に理解を助けます。
【DL資料】“良いマニュアル”5つのポイント
マニュアル作成に着手する前に、他社のマニュアル作成事例を知ることで、 「作成のポイント」や「つまずきがちな課題」を把握し、マニュアル作成のヒントとすることができます。
2.業務マニュアル作成の前に考えるべきこと

業務マニュアル作成に向けて、まずはしっかりと計画を立てることが重要です。「とりあえず作ってみる」というアプローチでは、あとあとになって手戻りが増えて、かえって時間と労力がかかります。
そこで、弊社がお客様のマニュアル作成を支援するときに最初に行う項目をいくつかご紹介します。
マニュアルのコンセプトを決める
やみくもにマニュアルを作り始めるのではなく、まずはマニュアルのコンセプトを決めましょう。明確なコンセプトをあらかじめ決めておくことで、内容にブレが生じにくくなり、目的に合ったマニュアルを作ることができます。
具体的には、以下のような点を検討します。
・メインターゲット:誰がこのマニュアルを使うのか(新入社員、中堅社員、管理職など)
・利用シーン:マニュアルはどのような状況で使われるのか(業務の開始時、トラブル発生時、定期的な業務チェックなど)
・現状の課題:現在どのような問題があり、マニュアルで何を解決したいのか(属人化、業務の遅延、新人教育の難しさなど)
マニュアル作成のスケジュールを決める
マニュアルの制作期間は、ボリュームによっては数か月~1年以上かかることもあります。途中で挫折しないよう、マニュアル作成担当者は当初計画したスケジュールに沿って進捗を確認しながら進めていくことが重要です。
まずはざっくりと、いつまでに何を実施するかを検討します。ボリュームや種類の多いマニュアルであれば、一気に作るのではなく、段階的に作成することを考えましょう。マニュアルの作成中は、他部署との連携や実施事項によってスケジュールを調整する必要があるため、ここではおおまかな目安を立てておきます。
具体的には、以下のような点を検討します。
・マイルストーン設定:各章の完成予定日や、盛り込む情報のインプット期限を設定し、定期的に進捗を確認します。
・レビューのタイミング:完成した章ごとにレビューを行い、フィードバックを反映させる時間を確保します。
担当者の役割分担:マニュアル作成には複数のメンバーが関わることが多いので、各担当者の役割を明確にしておくとスムーズです。誰がどの部分を担当するのかを決めておくことで、作業の重複を防ぎ、効率的に進めることができます。
マニュアル作成に関わるメンバーを検討する
マニュアル作成は1人で進めるのではなく複数の関係者を巻き込むことが大切です。具体的には、以下のようなメンバーを検討します。
・作成者:マニュアルの執筆を担当する人
・レビュー者:専門知識を持つ人、または実際のユーザー
・フィードバック提供者:マニュアルを実際に使う予定のスタッフ
最低でも、作成者・レビュー者は必要です。可能であれば、フィードバック提供者も確保しましょう。マニュアルのコンセプトに基づいて、例えば、対象ユーザーや業務上関係のある部門から選出すると、よりマニュアルの活用に即して作成を進めることができます。
【DL資料】他社事例から学ぶマニュアル作成の進め方
マニュアル作成に着手する前に、他社のマニュアル作成事例を知ることで、 「作成のポイント」や「つまずきがちな課題」を把握し、マニュアル作成のヒントとすることができます。
3. 効率的な業務マニュアル作成の手順

マニュアルのコンセプトや作成スケジュール、関係するメンバーが決まったら、いよいよマニュアルの中身を作り始めます。ここでは、実際に弊社が行っている効率的なマニュアル作成のステップをご紹介します。
①記載する情報を洗い出す
②マニュアルの構成(目次構成)を検討する
③マニュアルのレイアウト・スタイルを決定する
④マニュアルをレビューする
①記載する情報を洗い出す
マニュアルを一から作る場合、弊社では「業務整理シート」を使って、記載する情報を整理していきます。Excelで表を作成し、縦軸と横軸で情報を整理します。

縦軸には業務の流れを、横軸には業務の詳細(手順)、担当者(部署)、実施タイミング、参考資料などを入れます。 情報を洗い出す際には、実際に業務を担当している人に直接インタビューを行い、その経験や知識をもとに業務手順をまとめます。これにより、現実の業務に沿った内容が反映されます。
②マニュアルの構成(目次構成)を検討する
記載する情報が決まったら、マニュアルの構成を検討します。多いのは、業務の流れに沿って構成するパターンですが、他にも初級編・応用編でまとめたり、別途トラブルシューティングを設けたりなど、さまざまなやり方があります。構成も、マニュアルのコンセプト(対象ユーザー・使用用途)に基づいて検討しましょう。
マニュアル作成担当者は、目次ができあがった時点で、作成スケジュール全体を見直します。章ごとの分量を鑑みたうえで、各章の執筆にどれくらいの期間を要するのか、どの章から執筆を始めるのが効率的か、複数の章を並行して執筆できそうかなどの観点で、スケジュールを見直し、詳細化していきましょう。
③マニュアルのレイアウト・スタイルを決定する
マニュアルをわかりにくくする要因として、“見づらい”が挙げられます。見づらくなる主な要因としては、情報の並べ方とスタイルの不統一です。具体的には、以下のようなポイントに注意します。
・情報の並べ方:情報の並べ方は「概要から詳細へ」が鉄則です。最初に概要や前提を記載し、詳細は後に続けることで、読み手がスムーズに情報を取得できるようにします。
・スタイルの統一:タイトル・手順・注意事項・補足事項など、それぞれの種類によってスタイルを統一することによって、見やすくなるだけではなく、作成効率も上がります。
ここで重要な点は、マニュアル作成担当者はレイアウトやスタイルが決まった時点で、一度関係者との認識合わせをすることです。まずは10ページほどのサンプルを作成し、この方針で残りを書き進めて問題なさそうか合意を得ておきましょう。
①~③の内容に基づいて、マニュアルを執筆した後は、レビューを実施します。上司や実際のユーザーへレビューを依頼し、情報に過不足がないか確認すると、より完成度の高いマニュアルとなります。レビューの際は、以下の点に注意します。
具体的なフィードバック:単に「良い」「悪い」ではなく、具体的な改善点を提示してもらうことが重要です。
対象ユーザーに使用してもらう:実際にマニュアルを使ってもらい、使い勝手についてフィードバックを得ることも有効です。
【DL資料】マニュアル作成に必要な3つのアプローチ
マニュアル作成における3つのアプローチ方法を「目次設計」、「各ページの情報整理」、「文章作成」に分けて紹介しています。ぜひご活用くださいませ。
4. 業務マニュアルを定着させるポイント
①フィードバックを集めて改善する
マニュアルを使う現場から定期的にフィードバックを集めてアップデートしていきましょう。フィードバックをもらうための窓口を用意して、社員が気軽に意見を言える環境を整えることも大切です。
② アクセスしやすい場所に置く
マニュアルは社内ポータルサイトやクラウドにアップして、誰でも簡単にアクセスできるようにしましょう。検索機能を充実させるとさらに効果的です。
③ 利用を促進する仕掛けを作る
インセンティブを設けたり、社内キャンペーンを行ったりして、マニュアルを使う習慣をつけることも大切です。新人研修や社内勉強会で使うのも効果的です。
④ 業務フローに組み込む
マニュアルを使うことを業務フローに組み込むと、自然に利用が進みます。マニュアルを確認することを手順に含めたり、チェックリストに加えたりしましょう。
⑤ 定期的に内容を見直す
業務やルールが変わったときは、マニュアルもアップデートが必要です。常に最新情報を反映することで、現場での活用が促進されます。
【DL資料】プロが教える業務マニュアル作成・定着のコツ
マニュアルを制作するにあたり、最適な運用・定着のためのメソッドや、各社様の導入事例をご紹介します。
5. まとめ
今回は、マニュアル作成の手順に加えて、マニュアル作成をスムーズに進めるためのポイントをお伝えしました。業務マニュアルはただの文書ではなく、会社の「知識の資産」です。しっかりとした計画と組織的なアプローチを持って取り組み、社内の知識を最大限に活かしましょう。また、外部の知見を取り入れることで視野が広がることもあるので、ぜひ検討してみてください。
私たちヒューマンサイエンスは、1985年以来、数多くのマニュアルを作成してきた実績を持っています。業務マニュアル作成にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。お悩み相談から、改善方針策定、カスタマイズマニュアルの作成まで、一貫してサポートいたします。
ヒューマンサイエンスは、1985年以来、数多くのマニュアルを作成してきた実績を持っています。まさに、マニュアル作成におけるプロフェッショナル集団です。現状課題の整理から、改善方針策定、カスタマイズマニュアルの作成まで一貫してご支援することができます。業務マニュアルの作成でお困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
特長①:大企業・グローバル企業を中心に豊富なマニュアル制作実績
ヒューマンサイエンスは、製造業やIT業界を中心に243社・3148件のマニュアル制作実績があります。「ドコモ・テクノロジ株式会社」「ヤフー株式会社」「ヤマハ株式会社」など、名だたる企業をクライアントとしてきました。
特長②:経験豊富なコンサルタントによる調査・分析~アウトプット
業務マニュアル作成に携わるのは、ヒューマンサイエンスが誇る経験豊富なコンサルタントになります。熟練のコンサルタントが、豊富な経験と提供された資料から、より分かりやすい業務マニュアルを提案します。また資料がない段階からでもマニュアル化が可能です。担当のコンサルタントがヒアリングを行い、マニュアル作成を行います。
特長③:マニュアル化だけでなく、定着支援も行っている
ヒューマンサイエンスは、マニュアル作成以降、大事なフェーズである”定着化”も担当しています。例えば、マニュアル作成後も、マニュアルの更新やマニュアル作成セミナーを実施していきます。様々な施策を打つことで、現場にマニュアルが定着していくようにアプローチをします。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
このブログが見やすいマニュアル作りへのヒントになれば、うれしく思います。
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