
こんにちは!コンサルタントのKです。
普段は、製造業界や医薬業界の企業様に対して、マニュアルの作成・改善プロジェクトを担当しています。今回は、日常業務で見聞きしたお話や学んだTipsを紹介します。
1. マニュアルは「見やすい」ことが重要

上司や先輩からマニュアルを渡されて、「このマニュアル、なんだか読む気しないな…」と思ったことはありませんか?そのようなマニュアルは、だんだん読まなくなっていきますよね。
業務マニュアルが活用されないことを悩んでいる企業様に、実際のマニュアルを見せていただくと、「うーん、これは読むのがツライだろうなあ」と感じることが多いです。そのようなマニュアルには、たいてい以下の傾向があります。
・文章がぎっしり書かれている
・一文がやたらと長い
・見た目のメリハリがない
・情報がただ雑然と詰め込まれている
逆にいえば、こうならないように意識するだけで、かなり見やすいマニュアルになります。マニュアルを活用してもらうためには、見やすいマニュアルを作り、読み手に「読みたい」「読めそう」「読んでみよう」と思わせることが重要です。「それくらい分かってるよ!」という声も聞こえてきそうですが、いざ自分がマニュアルを書いてみると、意外とできないものです。
そんな皆さまのために、見やすいマニュアルを作るためのポイントを説明します。
2. 見やすいマニュアルを作るための3つのポイント

「読みたい」と思ってもらえる見やすいマニュアルを作るためには、以下3つのポイントが重要です。
①ぱっと見の印象をよくする
②読み手の視点に立って書く
③見出しを作る
①ぱっと見の印象をよくする
見た目の印象がよいと、読み手に「このマニュアルは読みやすそうだ」と思わせることができます。以下のような点を工夫しましょう。
・レイアウトにメリハリをつける
タイトルの文字を大きくする、本文を字下げするなどして、レイアウトにメリハリをつけましょう。補足事項や注意事項については、使用するアイコンやスタイルを決め、本文と明確に区別します。例えばWordやPowerPointでマニュアルを作成する場合は、どの情報にどのスタイルを使うのかを決めて含めてテンプレートを作っておくと、効率的にマニュアルを作ることができます。
ただし、アイコンを多用したり、文字の色をつけすぎたりすると、内容以外の情報量が多くなり、見づらくなってしまいます。過剰な装飾はしないように気をつけましょう。
・余白を作る
文字がぎっしり詰まっていると、読み手はまず「読むのが大変そう」と思ってしまいます。ページには適度に余白を作りましょう。適切なバランスで余白を作ることで、情報のまとまりが分かりやすくなり、必要な情報にたどり着きやすくなる効果も期待できます。
・視覚的要素を加える
図や画像などを使用して、視覚的に理解できるようにします。帳票の記入方法などは、文字だけで説明するより、実際の帳票の画像を載せて記入例を示した方が、素早く理解してもらえるでしょう。
また、情報を表形式にまとめて示すと、項目と説明が整理されて見やすくなります。
②読み手の視点に立って書く
読み手の視点に立って書くために気をつけるべき点を、2つご紹介します。
・簡潔な文章にする
長い文章が続くと、読み手は「これを最後まで読まなきゃいけないのか…」とげんなりしてしまいます。簡潔な文章にすることを心がけ、一文を40~50文字程度に収めると、テンポよく読むことができます。
説明が長くなってしまう場合は、一つの文章にいくつもの内容を入れてしまっていることが多いです。読み直して確認し、複数の文章に分けたり、箇条書きにしたりして分割しましょう。また、漢字が多い文章も読みにくい印象を与えます。漢字とひらがなの比率は、3対7が目安です。
・読み手に伝わる言葉で説明する
読み手の視点に立った内容、表現を考えるには、そのマニュアルの読み手の姿(知識レベル、思考、感じ方など)を具体的にイメージすることが大切です。これから入社する新入社員、入社○年目の後輩といった対象者を思い浮かべてみるとよいでしょう。
マニュアルを書いていると、「あれを補足したい」「これも説明したい」と、つい多くの情報を並べがちです。しかし、知識レベル以上の情報を見せられても、読み手は混乱するばかりで理解は進みません。その情報が本当に対象者に必要な情報か、難しすぎる表現を使っていないかをチェックして、読み手に伝わる言葉で説明しましょう。
③見出しを作る
見出しを立てて、一連の情報のまとまりを明確にしましょう。ただ文字を羅列するだけでは、目的の情報を探しにくくなってしまいます。
読み手は、見出しから必要な情報を探します。本文の内容が直感的に分かるような見出しをつけましょう例えば、機械を使って加熱する作業の手順を説明する場合、「加熱」ではなく「加熱する」という見出しがよいです。「加熱」だけでは、加熱の仕組みを説明しているのか、加熱の方法を説明しているのか、判断できないからです。
お手持ちのマニュアルは、これら①~③ができているでしょうか。
「ここができていなかったな」と感じる点がありましたら、ぜひその点を改善してみてください。読み手に「読みたい」と思わせるような、見やすいマニュアルに改善することができるはずです。
「読みたい」と思わせるマニュアルについてさらに知りたい方は、以下のブログも参考にしてみてください。
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●事例:株式会社デンソー様
株式会社デンソー様では、提供している地域情報配信システムを幅広いユーザーがすぐに使用できるようにするため、従来よりもさらに分かりやすいマニュアルの制作に取り組みました。特に「高齢者に分かりやすいマニュアル」を目指して、見やすい内容に改訂しました。シンプルなデザインと具体的な表現を採用した結果、初歩的な操作に関する問い合わせを減らすことができました。
株式会社デンソー様の事例