
こんにちは!マニュアルの作成・改善プロジェクトを担当する制作ディレクターです。
弊社はこれまで、アプリケーションのユーザー向け操作マニュアルの作成および支援を行ってきました。最近では、自社専用に開発やカスタマイズされたアプリケーションを導入される企業様からのご依頼が増えてきています。そこで今回は、「自社開発アプリにおける操作マニュアルの有用性」について書いてみたいと思います。
※以降、アプリケーションは、「アプリ」と呼びます。
- 目次
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- 1.自社開発アプリに欠かせない、操作マニュアル
- 1-1.操作マニュアルとは
- 1-2.操作マニュアルの作成メリット
- 2.操作マニュアル作成6つのステップ
- 2-1.【ステップ①】 対象者の選定
- 2-2.【ステップ②】 自社独自の操作方法洗い出し
- 2-3.【ステップ③】 コンテンツ(目次)構成を作成
- 2-4.【ステップ④】 文章表現
- 2-5.【ステップ⑤】 テスト運用・最終調整
- 2-6.【ステップ⑥】 運用・効果検証
- 3.わかりやすい操作マニュアル作成のポイント
- 3-1.網羅的に操作説明をする
- 3-2.知りたい操作への動線を確保する
- 3-3.リード文を記載する
- 3-4.図やイラストを使って視覚的にわかりやすくする
- 3-5.操作手順と操作補足・結果を明確に分ける
- 4.まとめ
- 5.マニュアル作成・改善のご相談はヒューマンサイエンスへ
1.自社開発アプリに欠かせない、操作マニュアル

1-1. 操作マニュアルとは
アプリの操作マニュアルは、ユーザーがアプリを効果的に使用するためにとても重要なツールです。単なる操作方法の説明書ではなく、ユーザーがアプリを通じて達成したい目的を実現するためのガイドとなり、アプリの一部といっても過言ではありません。
理想的な操作マニュアルには、基本的な概要の説明から始まり、各機能の使用目的、操作方法、トラブルシューティング、よくある質問と回答、制限事項、さらには用語解説まで、アプリの操作に必要なすべての内容が含まれます。特に自社開発アプリの場合は、市販のアプリとは異なり、インターネット上に操作方法の解説が無いことや、目的の操作が解説されていないことがあるため、自社で制作した操作マニュアルの存在は非常に重要です。
1-2. 操作マニュアルの作成メリット
操作マニュアルを作成することで得られるメリットは多岐にわたります。ここでは最も効果的なメリットを4つ挙げてみます。
①ユーザーサポートの効率化:
問い合わせ対応に多く費やしてきた時間の削減、それに伴うサポート担当者の負担軽減が見込まれます。
また、操作マニュアルにある記載を基に対応することで、回答の質や正確性の向上、サポート担当者間での対応の統一、サポート担当者へトレーニングでは、トレーニングが最適化され、トレーニング時間自体の短縮も期待できます。
②ユーザー満足度の向上:
ユーザーが自己解決できる操作が増えることで、ストレスのなく操作を行うことができます。また、操作の習得時間の短縮が見込まれ、アプリの機能をスムーズに活用することにつながります。
③運用コストの削減:
軽微なアプリのアップデートがあった場合や、一部の操作方法が変更になった場合など、大幅な改修を必要としないマニュアル更新が必要になった際、すぐに内部でマニュアルの修正・変更を行い、最新マニュアルの共有・周知を容易にすることができます。このことによる時間の短縮や、「① ユーザーサポートの効率化」で記載した効率化によっても、大幅なコスト削減が図れます。
④アプリの価値向上:
上記に挙げたメリットにより、結果的にはユーザーのアプリに対する評価が向上し、アプリ自体の真価が発揮されます。これにより、ユーザーの継続的なアプリ利用、離脱率の低下、さらには口コミによる新規ユーザーの獲得にもつながります。
このように、操作マニュアルを作成することで、多くのメリットを得られることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
① ユーザーサポートの効率化」については、弊社の過去の事例ページもご覧ください。
操作マニュアルのユーザビリティ向上でコールセンターへの入電数削減を実現|株式会社SBI証券様
次は、操作マニュアルの作成の流れを6つのステップに分けて紹介します。
2.操作マニュアル作成6つのステップ

2-1. 【ステップ①】 対象者の選定
操作マニュアルを作成する際、最初に行うべきことは対象となるユーザーを明確にすることです。ユーザーの年齢層やITリテラシーのレベル、業務知識や経験値、使用する端末や環境、アプリを使用する目的など、様々な要素を考慮する必要があります。
例えば、高齢者向けのアプリであれば、より基本的な操作から丁寧に説明する必要があります。また、場合によっては、スマートフォンの基本的な操作方法についても触れる必要があるかもしれません。一方、業務用アプリであれば、業界用語やより専門的な説明を含めることで、効率的な説明が可能になります。
2-2. 【ステップ②】 自社独自の操作方法洗い出し
アプリ固有の操作方法を把握するために、機能の棚卸しを行う必要があります。メニューや画面・ボタンなど、各操作対象の確認を行い、すべての機能をリストアップして、操作方法を抽出します。
続いて、操作パターンを分類し、基本操作から応用操作、管理者向けの操作、トラブルシューティングまで、様々な操作パターンを整理します。
そして、他社製品にない特徴的な機能や、カスタマイズ可能な設定項目、ショートカットキーなど、自社開発アプリならではの独自の操作方法や機能を整理します。これらの要素を丁寧に洗い出すことで、より完成度の高いマニュアルを作成することができます。
2-3. 【ステップ③】 コンテンツ(目次)構成を作成
効果的なマニュアルを作成するためには、適切なコンテンツ構成を考える必要があります。まずは、大きな項目を決め、それをさらに細かい操作手順ごとに分けます。
例えば、以下のように記載します。
「はじめに」:マニュアルの使い方、動作環境、用語説明など
「基本操作」:ログイン方法や画面構成、基本的な操作方法の説明
「機能別操作」:主要機能の使い方や設定変更方法、データ管理方法などを詳しく解説
「トラブルシューティング」:よくあるエラーとその対処方法、お問い合わせ先などを記載
2-4. 【ステップ④】 文章表現
実際の説明文を作成する際は、わかりやすい文章表現を心がけることが重要です。簡潔な文章を使用し、専門用語を使用する場合は適切な解説を加えます。また、用語の使い方を統一することで、読み手の混乱を防ぐことができます。
視覚的な説明も効果的です。スクリーンショットや操作手順の図解、アイコンや矢印を活用することで、より直感的な理解を促すことができます。手順の説明は手順であることを明確に、重要なポイントは強調、注意事項は目立つように表示するなど、記載の用途に合った適切スタイルを使用することも、わかりやすさに直結します。
2-5. 【ステップ⑤】 テスト運用・最終調整
作成したマニュアルの品質を確保するためには、様々なテストを実施する必要があります。まず内部テストとして、説明の正確性やリンク、ページ番号の確認、画像の視認性などをチェックします。
次に実際のユーザーによる検証を行い、理解度の確認やフィードバックの収集を行います。得られた指摘事項をもとに修正を加え、説明の補足や、レイアウトの調整を行います。
2-6. 【ステップ⑥】 運用・効果検証
マニュアルの運用を開始したら、その効果を継続的に確認していく必要があります。問い合わせ数の変化やユーザーからの評価、アプリの利用率の変化などを測定します。
また、新機能の追加や説明の改善、最新情報の更新など、継続的な改善も重要です。ユーザーアンケートやサポート担当者の意見、改善提案なども積極的に収集し、マニュアルの質を高めていきます。
まずは対象者を明確にし、その対象者に対してどのように伝え、何を記載すべきかを考え、ユーザー目線に立って操作マニュアルを作成することが重要です。
続いて、わかりやすい操作マニュアル作成するにはどうすればよいのかのポイントについて紹介します。
3.わかりやすい操作マニュアル作成のポイント

3-1. 網羅的に操作説明をする
理想的な操作マニュアルを目指すためには、説明を網羅的に行う必要があります。「基本操作から応用まで」、「初期設定から日常的な操作」、「特殊な使用方法」、「トラブル対応方法」まで、すべての操作について説明を行います。
また、様々な使用シーンを想定することも重要です。通常利用時だけでなく、エラー発生時やカスタマイズ時、データ移行時など、あらゆる状況での操作方法を説明します。
さらに、異なる環境での利用についても考慮が必要です。各種OSへの対応や、モバイル端末での操作方法、ネットワーク環境による違いなども説明に含めます。
3-2. 知りたい操作への動線を確保する
効率的な情報アクセスを実現するためには、コンテンツ(目次)構成の作り方が重要です。階層構造を明確にし、見出しを工夫することやページ番号を付与することで、必要な情報にたどり着きやすくなります。
また、インデックスの作成やキーワード検索機能の実装、クロスリファレンスの追加により、検索性を向上させます。さらに、リンクやタブ、しおりなどを活用することで、ナビゲーションを改善することができます。アプリ自体のメニュー構造に合わせたコンテンツ構成にすることも効果的です。
3-3. リード文を記載する
リード文とは、本文に入る前に記載する序文(または導入文)のことで、コンテンツの見出しのすぐ後に記載される文章を指します。リード文は、コンテンツの内容や操作の概要を記載し、事前に何についてのコンテンツなのかをユーザーが判断する手助けとなります。リード文があることで、ユーザーのマニュアルを読む効果も格段に上がります。
また、ユーザーに事前に概要情報を伝えるという点では、「はじめに」などのマニュアルの冒頭で、記載コンテンツごとの概要説明や目的、具体的な使用シーン、その操作によって得られるメリットなどを解説することも、効果的です。
3-4. 図やイラストを使って視覚的にわかりやすくする
視覚的な説明は、理解を深めるために非常に効果的です。実際の画面をキャプチャしたスクリーンショットを使用し、重要な箇所を強調表示したり、操作順序を矢印で示したりします。
また、フローチャートや操作手順図、概念図など、図解して表すことで、複雑な操作や概念をわかりやすく説明することができます。注意喚起マークや補足情報マーク、ステップ番号などのアイコンやマークも、効果的に使用することも重要です。
3-5. 操作手順と操作補足・結果を明確に分ける
操作手順、操作補足、操作結果を明確に分けて説明することで、ユーザーの理解がより深まります。手順はステップバイステップで説明し、手順の操作に付随する補足説明や各ステップでのチェックポイントも明確に示します。
操作結果については、操作後に表示される画面や成功時・エラー時のメッセージの表示予告などを具体的に説明します。また、完了のサインや正常動作の確認方法、トラブル時の対処法なども、わかりやすく説明します。
操作マニュアルを作成するためには、これらのポイントを押さえ、ユーザーにとってわかりやすく、使いやすい操作マニュアルを目指しましょう。
マニュアル作成のポイントについては、以下の関連ブログも是非ご覧ください。
【マニュアル作成入門】わかりやすいマニュアルのデザインとは?
4. まとめ
操作マニュアルは、アプリの価値を最大限に引き出すための重要なツールです。ユーザーの立場に立ち、わかりやすく、使いやすいマニュアルを作成することで、アプリの導入効果を高めることができます。継続的な改善と更新を行いながら、ユーザーにとって役立つマニュアル作りを心がけることが大切です。
5. マニュアル作成・改善のご相談はヒューマンサイエンスへ
ヒューマンサイエンスは、日本語版のマニュアル作成から英語および多言語翻訳まで、ワンストップでご支援いたします。1985年からの長きにわたり数々のマニュアルを手がけてきた実績があります。以下のようなニーズがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
- 既存の日本語マニュアルや英語マニュアルを分かりやすく改善したい
- 英語マニュアルの作成を検討していて、日本語マニュアルから段階的に進めたい
- 社内で作成された日本語マニュアルを英訳(各国語訳)して活用したい
特長①:大企業・グローバル企業を中心とした豊富なマニュアル制作実績
ヒューマンサイエンスは、製造業やIT業界を中心に、多岐にわたる分野でマニュアル制作実績を積み重ねてきました。これまでに「ドコモ・テクノロジ株式会社」「ヤフー株式会社」「ヤマハ株式会社」など、名だたる企業をクライアントとしてきました。
特長②:経験豊富なコンサルタントによる調査・分析からアウトプットまで
業務マニュアル作成に携わるのは、ヒューマンサイエンスが誇る経験豊富なコンサルタントになります。熟練のコンサルタントが、豊富な経験と提供された資料から、より分かりやすく効果的なマニュアルを提案します。また、情報が整理されていない段階からのマニュアル作成も可能です。担当のコンサルタントがヒアリングを行い、最適なマニュアルを作成いたします。
マニュアル評価・分析・改善提案サービス| ヒューマンサイエンス
特長③:マニュアル化だけでなく、定着支援も重視
ヒューマンサイエンスは、マニュアル作成にとどまらず、”定着化”という重要な段階にも注力しております。マニュアル作成後も、定期的な更新やマニュアル作成セミナーを通じて、マニュアルの定着を支援してまいります。多岐にわたる施策により、現場でのマニュアルの有効活用をサポートいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このブログがわかりやすいマニュアル作成のヒントになれば、うれしく思います。