
こんにちは!コンサルタントのSです。
普段は、製造業界や人材業界の企業様に対して、マニュアルやFAQ改善のサポートをしています。
早速ですが、みなさんは「RPA」という言葉を聞いたことがありますか?「RPA」は、近年、企業の業務効率化やデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める上で、重要なキーワードとなっています。私の担当する製造業や人材業界でも、業務効率化のためにRPAを活用したいと考えている企業様は多くいらっしゃいます。
本ブログでは、実際にRPAで何ができるのか、導入にはどのような課題があるのかを詳しく解説していきます。また、弊社が強みとするナレッジマネジメントの視点から、RPA導入のポイントについても解説していきます。
- 目次
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- 1.RPAの基礎知識
- 1-1.RPAとは
- 1-2.RPAのメリット
- 1-3.AIとの違い
- 1-4.RPAの3つのクラス
- 2.RPAでできること
- 2-1.データ入力
- 2-2.情報収集・データ抽出
- 2-3.レポート作成・送信
- 2-4.ワークフローの自動化
- 2-5.業務プロセスの監視
- 2-6.バックアップ・復元の自動化
- 3.RPAの成功事例
- 3-1.ネット銀行様の事例
- 3-2.飲料品販売会社様の事例
- 3-3.製造業の企業様の事例
- 4.RPA導入を成功させるポイント
- 4-1.導入前に業務整理を行う
- 4-2.運用コスト/体制を想定する
- 4-3.ベンダーによるサポートを活用する
- 5.まとめ
- 6.マニュアル作成・改善のご相談はヒューマンサイエンスへ
1. RPAの基礎知識

1-1. RPAとは
まず、「RPA」とは何でしょうか。
RPAとは、「Robotic Process Automation」の略で、「ロボットによる業務の自動化」という意味です。簡単に言えば、人間がパソコンを使って行っている定型的な作業を、ソフトウェアのロボットが代わりに行ってくれる技術のことです。「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」とも呼ばれ、有効活用をすることができれば、大幅な業務効率化を行うことができます。
たとえば、毎日同じような形式のエクセルファイルにデータを入力する作業や、決まったフォーマットのメールを送信する作業など、繰り返し行う単純作業をRPAが自動で行うことにより、担当者は今までと同じ時間でより多くの業務を行うことができるようになります。人の手では30分かかっていた作業が1分で完了するようになるなど、大幅な効率化が可能です。
またRPAの特徴は、プログラミングの知識がなくても、直感的な操作のみで設定できる点です。先ほど挙げたような時間のかかる単純作業を、特別な知識なく自動化できます。これにより、使用する人を選ぶことなく、多くの社員が業務の効率化を行えます。
次に、これらのRPAのメリットを詳しく見ていきます。
1-2. RPAのメリット
業務の効率化
RPAを導入することの最も大きなメリットは、やはり業務の大幅な効率化です。24時間365日稼働が可能で、人間の作業時間を大幅に削減できます。
クリエイティブな業務への注力
また、単純作業から解放されることで、社員は企画や戦略立案など、よりクリエイティブな仕事に時間を使えるようになります。これは企業の競争力向上にもつながる大きなメリットといえるでしょう。
業務品質の向上
さらに、RPAは設定された通りに正確に作業を行うため、入力ミスやケアレスミスを防ぐことができます。これにより、作業品質の向上とともに、修正作業などの付随的な業務も削減できます。
コスト削減
そして、これらのメリットにより、最終的には業務コストの大幅な削減が実現できます。人件費の削減だけでなく、ミス対応のコストも減らすことができ、社員はより利益を生み出す業務に集中することができるようになります。
1-3. AIとの違い
RPAは時々、AIと混同されることがありますが、この二つは大きく異なる技術です。
最も大きな違いは、RPAはあらかじめ決められたルールに従って作業を実行するのに対し、AIは様々なデータを学習しながら、状況に応じた判断を下します。
現在では、RPAとAI を掛け合わせることで、それぞれの強みを生かした技術も登場しています。
1-4. RPAの3つのクラス
一般的にRPAと呼ばれている技術は、搭載されている機能や特徴をもとに、以下のような3つのクラスに分類されています。
① クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
最も基本的なRPAで、定められたルールに従って作業を実行します。例えば、データの入力やコピー&ペーストなどの単純作業の自動化を行うことができます。
② クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
RPAにAI技術を組み合わせることにより、画像認識やOCR(文字認識)などの機能を備えた、より高度なRPAです。紙の書類をスキャンしてデータ化するといった、非定型作業ができます。
③ クラス3:CA(Cognitive Automation)
EPA同様、AIを組み合わせたRPAで、最も高度なものです。データの分析や予測、高度な判断を必要とする作業も自動化できます。
これらの分類をもとに、自社のニーズに沿ったRPAを導入することが大切です
ここまで、RPAの基本的な知識について解説してきました。
この先では具体的にRPAを導入することでどのようなメリットがあるのか、詳しく見ていきましょう。
2. RPAでできること

2-1. データ入力
RPAが活用される代表的な業務のひとつに、データ入力があります。企業の様々な部門でデータ入力が行われていますが、RPAはこれらの作業を効率的に自動化できます。
例えば、経理部門では請求書データの入力から給与計算に関するデータ入力まで、幅広い作業を自動化できます。また、営業部門での顧客情報の入力や、物流部門での受発注データの入力なども、RPAが得意とする定型的な入力作業の代表例です。
2-2. 情報収集・データ抽出
インターネット上の情報を自動で収集し、必要なデータを抽出する作業もRPAの得意分野です。例えば、ECサイトでの競合他社の価格情報を定期的に収集したり、SNSやレビューサイトでの口コミ情報を収集したりすることができます。また、ニュースサイトから関連記事を抽出したり、市場データを定期的に収集して整理したりする作業も自動化が可能です。これらの情報を必要なフォーマットで整理し、分析に活用することで、マーケティングや経営判断に役立てることができます。
2-3. レポート作成・送信
定期的なレポート作成もRPAの活用が効果的な業務の一つです。日次の売上レポートや月次の業績レポートなど、定型的なフォーマットで作成する資料は、データの取得から作成、送信まで一連の作業を自動化できます。アンケート結果の集計とレポート化や、定期的な業務報告メールの作成と送信なども、RPAを活用することで効率化が図れます。
2-4. ワークフローの自動化
複数のシステムを横断する業務プロセスも、RPAによって効率的に自動化できます。例えば、異なるシステム間でのデータ連携や承認プロセスの自動化、定型文書の作成と配信、さらにはスケジュール管理や会議室予約まで、幅広いワークフローを自動化することが可能です。これにより、業務の連続性が高まり、プロセス全体の効率化が実現できます。
2-5. 業務プロセスの監視
RPAは業務プロセスの監視役としても活躍します。データ入力時のエラーチェックやシステムの異常検知、在庫状況の監視、期限切れ商品の確認など、常時監視が必要な業務を自動化できます。問題が発見された場合には、即座に担当者に通知することで、迅速な対応が可能になります。
2-6. バックアップ・復元の自動化
データ管理の面でもRPAは重要な役割を果たします。定期的なデータバックアップやシステムの自動復元、ファイルの自動整理とアーカイブ、クラウドストレージとの同期など、重要なデータの保護と管理を自動化することで、セキュリティの向上にも貢献します。
3. RPAの成功事例

ここまで、RPAの基本知識と活用が期待される場面についてみてきました。RPAとはどのようなもので、どんな場面で活用ができるのか、おわかりいただけたかと思います。
ここから先は、実際にRPAが導入され、業務の効率化に成功した事例についてご紹介したいと思います。
3-1. ネット銀行様の事例
とあるネット銀行様のモニタリングセンターで、RPAを導入して業務自動化を図りました。
同センターでは、口座開設前の審査や開設後のモニタリング、口座照会対応など、多岐にわたる重要な業務を担当していました。RPAの導入を主導した担当者は、「単純な作業が多く、システム化できないだろうか」と考え、RPAに目を付けました。
実際にRPAの導入を行い、取引停止等の通知書を送付する業務やカードの不正利用停止の自動化に成功しました。後者に関しては、RPAを導入したことで、休日・夜間を問わず業務が遂行可能となりました。
導入効果について、担当者は、「単純作業から解放され、人の判断が必要な高度な業務に専念できるようになりました」と評価しています。また、こうした定性的な成果のほか、投資費用以上のコスト削減も達成し、定量的な面でも大きな成果を得られました。
3-2. 飲料品販売会社様の事例
とある飲料品販売会社様では、2023年にRPAを導入し、業務効率化とDX推進に着手しました。
当時、同社には手作業や属人化した業務が多くありました。特に、退職者が作成したマクロによる日報作成や、100項目近い月次処理の手作業が課題となっていました。
こうした作業の改善を目的としてRPAを導入したところ、3ヶ月で効果が得られました。
現在は、RPAの全社展開を進めながら、データ活用や生成AI導入も視野に入れた取り組みを進められています。
3-3. 製造業の企業様の事例
とある製造業の企業様は、出荷業務における送り状作成作業に大きな課題を抱えていました。1日に大量に作成しなければならず、運送会社ごとに異なるフォーマットでの出力が必要で、さらに手書きでの追記作業もありました。これらは出荷担当者の大きな負担となっていました。
この状況を改善すべく、同社はRPAを導入。基幹システムと連携した送り状自動発行システムを構築しました。さらに複数のRPAとの組み合わせにより、送り状番号の自動通知も実現。出荷案内書も自動的にPDF化して全15拠点のサーバーにアップロードする仕組みを整えました。
この改革により、月100時間以上の業務時間削減を達成し、出荷担当者の残業時間も短縮されたとのことです。送り状作成に必要なコストの削減など副次的な効果も得られました。また、顧客からの問い合わせ対応が生じなくなったとの効果もあり、全社として大きな効率化が実現できたと評価されています。
4. RPA導入を成功させるポイント

ここまで、実際にRPAが導入され、業務の効率化に成功した事例を見てきました。ここからは、ご紹介した事例のように、RPAを有効的に活用するためのポイントをご紹介したいと思います。
4-1. 導入前に業務整理を行う
RPA導入の成否を分けるポイントは、実は導入前の準備にあります。多くの企業がRPAの導入を急ぐあまり、現状の業務分析を十分に行わないまま実装に着手し、期待した効果を得られないケースが少なくありません。
まず重要なのは、RPA化を検討している業務を含む全体業務の可視化です。どの業務にどれだけの時間とコストがかかっているのか、それはなぜなのかを明確にする必要があります。例えば、一見単純な入力作業に見えても、その前後の確認作業や例外処理に多大な時間を要しているかもしれません。また、部署間での作業の重複や、不必要な承認プロセスが存在する可能性もあります。
業務の可視化により問題点が特定できたら、次は業務の標準化です。社員によって業務のやり方が異なり、共有もされていない、といった属人的な業務プロセスは、RPAの導入を困難にします。また、例外的な処理が多い業務もRPA化には適していません。そのため、業務を整理し、可能な限り標準的なプロセスに統一することが重要です。
業務整理の進め方について具体的に知りたい方は、ぜひ以下のブログもご覧ください。
テンプレートやツールを探すのも大事。でも、その前に… 業務マニュアルに欠かせない最初のステップ | 株式会社ヒューマンサイエンス
さまざまなRPAがありますが、安定性が高く、サポートも充実したものとして、ユーザックシステム社の「Autoジョブ名人」があります。Autoジョブ名人は受注業務の自動化からスタートしたRPAですが、現在は受注業務以外の業務も含め多くの企業に導入されています。
ヒューマンサイエンスは、Autoジョブ名人の導入を検討しているお客様へ、導入前の業務整理から自動化すべき業務の洗い出しまでをサポートしています。
ナレッジマネジメントソリューション
また、RPA導入前に業務プロセス自体を見直すことで、より効率的なプロセスを構築できる可能性があります。例えば、これまで当たり前のように行っていた確認作業が実は不要だったり、複数のシステムへの重複入力を一本化できたりすることもあります。
このように、RPAの導入成功には、現状の可視化と業務の標準化という地道な準備作業が不可欠です。これらのステップを確実に実施することで、より効果的なRPA導入が実現できます。
4-2.運用コスト/体制を想定する
RPAの導入において見落としがちなのが、導入後の運用メンテナンスです。基幹システムのバージョンアップやOSの更新に伴うRPAの修正、予期せぬエラーへの対応など、継続的なメンテナンスが必要となります。
また、RPAを効果的に運用するには、社内での担当者の教育・育成も欠かせません。RPAの修正ができる人材、エラー時の対応ができる人材、さらにはそのバックアップ要員も必要です。担当者の異動や退職も考慮し、複数名での体制構築が望ましいでしょう。
そのため、RPA導入を検討する際は、初期費用だけでなく、これらの運用コストや人材育成にかかる費用、体制維持のための工数なども含めて、総合的な導入計画を立てることが重要です。
4-3.ベンダーによるサポートを活用する
RPA開発においては、ベンダーのサポートを積極的に活用することをお勧めします。開発支援や技術的なアドバイス、自動化可能性の事前検証、トラブル時のサポートなど、ベンダーの専門知識を活用することで、より効率的な導入が可能になります。
特に初期の開発段階では、どの業務がRPA化に適しているか、どのような手順で自動化を進めるべきかといった判断が必要になります。また、開発中に発生する技術的な課題や、本番稼働後のトラブルにも迅速な対応が求められます。
これらの場面で、豊富な導入実績を持つベンダーのサポートを活用することは、プロジェクトの成功確率を高める重要な要素となります。
5. まとめ
本ブログではRPAによる業務効率化について、基本知識から実際の活用事例、そして導入のポイントまでをご紹介しました。RPAとはどのようなもので、どのように業務で活用できるのか、お分かりいただけたかと思います。
RPAは業務効率化の強力なツールですが、導入には適切な計画と準備が必要です。業務の現状を十分に分析し、段階的に導入を進め、適切なサポート体制を整え、継続的な改善を行うことが成功の鍵となります。
特に重要なのは、導入前の業務整理と、運用体制の整備です。どの業務をどのような順序で自動化していくか、どのように保守・運用体制を構築するか、といった具体的な計画が必要になります。
株式会社ヒューマンサイエンスは、そうした業務整理のサポートに強みを持っている会社です。RPA導入のための業務整理に興味がある、具体的なやり方を知りたいという方は、下記のブログも参考にしてください。
テンプレートやツールを探すのも大事。でも、その前に… 業務マニュアルに欠かせない最初のステップ | 株式会社ヒューマンサイエンス
RPAは単なる自動化ツールではなく、働き方改革や企業の競争力強化につながる重要な技術です。人材の有効活用や業務品質の向上、さらには新たな価値創造にもつながる可能性を秘めています。本記事を参考に、自社に合ったRPA導入を検討してみてはいかがでしょうか。
6. マニュアル作成・改善のご相談はヒューマンサイエンスへ
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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