
利用者が操作や課題に戸惑う原因は、必ずしもマニュアルなどのドキュメントに書かれている情報の不足だけではありません。
新しい機能や製品は、利用者の目的や困りごとを解決するために作られることが多いと思います。
しかし、マニュアルやガイド、FAQなどを作成する場面では、利用者の目的に合った説明というよりも、機能そのものの説明になっていることがあります。
利用者は「何のために使う機能なのか」が分からないと、その情報が自分に必要なのか判断しにくいことがあります。
本来であれば、UIや画面遷移、業務フローの改善によって解決できる課題もあります。しかし、システムや製品をすぐに変更できるとは限りません。
もちろん、マニュアルは利用者が必要な情報を確認するために欠かせないものです。しかし、利用者が困っているとき、本当に必要なのは操作マニュアルなのでしょうか。
利用者が抱えている課題によっては、マニュアル以外の方法が適している場合もあります。チェックリストやFAQ、動画などの活用が効果的なこともあるかもしれません。
今回は、「どの機能を説明するか」ではなく、「利用者は何をしたいのか」という視点から、情報提供のあり方を考えていきます。
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- 目次
1. マニュアルを作ったのに問い合わせが減らない
実際の現場では、
「マニュアルを整備したのに問い合わせが減らなかった」
というケースが少なくありません。
その理由はさまざまですが、よくある例として次のような状況があります。
・マニュアルの存在を知られていない
・必要な情報がどこにあるか分からない
・利用者が読む前にあきらめてしまう(読みづらい)
・利用者が知りたい内容が書かれていない
このように、問い合わせの原因は必ずしも「マニュアルへの記載の有無」とは限らず、「必要な情報にたどり着けないこと」が問題になっていることがあります。単純に情報量を増やすだけでは解決につながらないということです。
2. 利用者が迷う原因は本当に説明不足?
問い合わせが増えたり、利用者から「分からない」という声が上がったりすると、「説明が足りないのではないか」と考えることがあります。しかし、本当に原因はそれだけなのでしょうか。
例えば、利用者から「操作方法が分からない」という問い合わせが多く寄せられているとします。
この場合、「説明が不足しているのではないか」と考えがちですが、実際には別の原因が隠れていることがあります。
次のようなケースです。
・必要な情報がどこにあるか分からない
・専門用語が多く理解しづらい
・業務の全体像が分からない
・システムや操作パネル上のメニューが分かりにくい
2-1. 「情報がない」と「情報が見つからない」は違う
特に見落としやすいのが、
「情報がない」のではなく、「情報が見つからない」
というケースです。
膨大なページ数の操作マニュアルが存在していて、利用者が「どこを読めばよいか分からない」といった状態ということもありますし、それほど分厚いマニュアルでなくても、必要な情報にすぐたどり着けるのであれば、まったく困らないということもあります。
問い合わせが多いからといって、すぐに情報を増やすのではなく、「利用者は情報を見つけられているか」という視点で考えることが大切です。
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3. 利用者が本当に知りたいことは何か
マニュアルを作るとき、作る側(伝える側)は「伝えたいこと」を中心に考えがちです。
しかし利用者が知りたいのは、「今、自分が困っていること」です。
・ログインできないときの対応方法
・申請を取り消す方法
・エラーが表示されたときの対応方法
・機器が停止した時の問い合わせ先
といったことを知りたいのかもしれません。
4. 利用者に合わせたドキュメント
業務の進め方を知りたい人もいれば、今困っていることだけを解決したい人もいます。
すでに業務を理解していて、抜け漏れなく作業を進めたい人もいるでしょう。
利用者によって求める情報が異なるため、役立つドキュメントの形も変わります。
4-1. チェックリストの方が役立つこともある
例えば、毎月実施する定型業務を考えてみましょう。
業務内容を理解している担当者の場合、「やり方が分からない」ということよりも、必要としているのは「抜け漏れを防ぐ仕組み」ではないでしょうか?
このような場合は、次のようなチェックリストの方が役立つことがあります。

4-2. FAQやチャットボットの方が向いていることもある
同じような問い合わせばかりがくることはありませんか?
例えば
・ログインIDやパスワードを忘れた
・この項目は何を入力するのか
・エラーが表示された
・メールアドレスを変更したい
このような場合、操作マニュアルを開いて書いてある場所を探す工夫がされているマニュアルであれば、まだよいのですが、FAQやチャットボットとしてまとめておいた方が早く解決できることがあります。
利用者が求めているのは、業務全体の理解ではなく、「今困っていることの解決」だからです。
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4-3. 動画の方がスムーズに伝えられることもある
業務の流れや操作のイメージ、利用場面など、文章だけでは伝わりにくい内容を短時間で伝えたい場合に、動画は有効です。

次のようなケースでは、動画の方が効果的なことがあります。
・気軽に見てもらいたい(マニュアルなどドキュメントの文字を読むよりも気楽)
・作業全体の流れをつかんでもらいたい
・口頭説明している内容を、繰り返し見られる形で共有したい
・利用者の印象に残る形で伝えたい
動画は文字を読むよりも心理的なハードルが低く、見てもらいやすいという特徴があります。また、画面の動きや音声を組み合わせることで内容が印象に残りやすく、業務の流れや全体像を短時間で伝えたい場合にも有効です。
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5. ドキュメントで改善できることを整理する
問い合わせが増えたとき、ドキュメントで改善できることがないかを確認してみましょう。
問い合わせの原因によって、取る対応は変わります。
まずは、情報そのものが不足しているのか、それとも情報の見せ方や伝え方に課題があるのかを切り分けて考えることが大切です。
1. 情報に不足はない?
利用者が知りたいことが、どこにも書かれていない状態であれば、マニュアルやFAQなどへ情報を追加する必要があります。
2. 情報が見つけにくい状態にはなっていないか?
情報はあるものの、利用者が見つけられない状態の場合は、
・目次の見直し
・検索性の改善
・FAQの整備
の方が効果的なことがあります。
3. 伝え方は効果的?
利用者が求めているのはマニュアルなのか、動画なのか、チェックリストなのか、FAQなのか。
マニュアル以外の方法が適している可能性もあります。
6. まとめ
問い合わせが増えたとき「マニュアルを作れば解決するのではないか」と考え始めてしまったら、まず、問い合わせの原因を考えてみてください。
例えば
・情報不足
・情報の探しにくさ
・利用者との認識のずれ
・伝え方のミスマッチ
など
まずは課題を整理し、利用者がどのようなことで困っているのか、何を達成したいのかを考えてみてください。その次に「マニュアルを作るのか?」「別の方法で解決できるのではないか?」と考えるのはいかがでしょうか。
情報の伝え方が分かったところで、次回は、「情報を増やすことが本当に利用者のためになるのか」について考えてみたいと思います。
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マニュアル、FAQ、チェックリスト、動画など、どの手段が利用者に適しているのかを検討する際は、利用者の目的や困りごとを整理することが重要です。
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