
- 目次
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- 1.AsciiDocとMarkdownとは?
- 1-1.軽量マークアップ言語とは?
- 1-2.AsciiDocとは?
- 1-3.Markdownとは?
- 2.AsciiDocとMarkdownはどう使い分ける?活用シーン別の使い方を紹介
- 2-1.AsciiDocの活用方法
- 2-2.Markdownの活用方法
- 2-3.AsciiDocとMarkdownの使い分け
- 3.AsciiDocとMarkdownのメリット
- 3-1.AsciiDocのメリット
- 3-2.Markdownのメリット
- 4.AsciiDoc vs.Markdown違いを比較!
- 4-1.目次自動生成
- 4-2.上付き/下付き文字
- 4-3.表のセル結合
- 4-4.外部ファイルインポート
- 4-5. その他の高度な機能
- 5.AsciiDocの活用事例
IT企業向けドキュメントソリューションのご紹介

1. AsciiDocとMarkdownとは?

AsciiDocとMarkdownはどちらもプレーンテキストで記述できる軽量マークアップ言語ですが、それぞれ異なる特徴と用途を持っています。
本記事では、技術文書作成を効率化したい方や、AsciiDocとMarkdownの違いに悩んでいる方向けに、それぞれの特徴や適した活用場面をわかりやすく解説します。
1-1. 軽量マークアップ言語とは?
軽量マークアップ言語とは、文章の構造や装飾を、シンプルな記号を使って記述するための言語です。従来のマークアップ言語(HTMLやXMLなど)は、タグと呼ばれる記号で文章を囲むことで、構造や装飾を表現します。ただし、タグが多くなると文章が読みにくくなり、記述も複雑になるという課題がありました。そこで利用が進んでいるのが、軽量マークアップ言語です。軽量マークアップ言語では、よりシンプルな記号を使うことで、文章の構造や装飾を記述できます。そのため、文章が読みやすく、記述も容易になります。ただし、簡易なマークアップとなるため、従来のマークアップ言語と比較すると、表現力が制限される場合があります。
また、プレーンテキストで記述できるため、特別なソフトウェアは必要なく、一般的なテキストエディタで編集できます。しかし、そのままではWebブラウザで表示したり、印刷したりすることができません。そのため、HTMLやPDFなどの形式に変換する必要があります。
1-2. AsciiDocとは?
AsciiDocは、プレーンテキストで記述できる強力なマークアップ言語であり、技術文書やマニュアルなど、複雑な構造を持つドキュメントの作成に特に適しています。Markdownと比較すると、より高度な文書構造を記述できる点が特徴です。また、HTML、PDF、EPUBなど、多様な出力形式に対応しているため、作成したドキュメントを様々な媒体で公開することが可能です。
AsciiDocの仕様は明確に定義されているため、一貫性のある文書作成を支援します。そのため、複数人で共同作業を行う場合や、長期にわたってメンテナンスが必要なドキュメントを作成する場合にも適しています。ただし、Markdownと比較すると記法が複雑であるため、習得に時間がかかる可能性があります。しかし、その分、高度な表現力と柔軟性を備えており、複雑なドキュメント作成のニーズに応えることができます。
1-3. Markdownとは?
Markdownは、文章作成をシンプルかつ効率的に行うための、最も普及している軽量マークアップ言語のひとつです。特殊な記号を少し使うだけで、見出しやリスト、強調といった文章の構造や装飾を表現できます。HTMLのような複雑なタグを覚える必要がないため、誰でも手軽に文章作成を始められます。書かれた文章は、そのまま読んでも意味が通じるように設計されており、ソースコードも読みやすく、修正や編集が容易です。Markdownは、その汎用性の高さから、ブログ記事の作成や技術文書の記述など、様々な場面で利用されています。また、書かれたMarkdown文書は、HTML、PDF、Wordなど、様々な形式に変換できるため、用途に合わせて柔軟に対応できます。
2. AsciiDocとMarkdownはどう使い分ける?活用シーン別の使い方を紹介

2-1. AsciiDocの活用方法
AsciiDocは、高度な文書構造と豊富な機能を備えているため、以下のような用途に適しています。
• 技術文書、マニュアル:複雑な構造を持つ技術文書やマニュアルの作成に向いています。表、相互参照、インクルードなどの機能により、正確で分かりやすい文書を作成できます。
• 書籍、論文:図表や数式を多用する書籍や論文の作成に適しています。多様な出力形式に対応しているため、印刷や電子書籍など、さまざまな媒体で公開できます。
• 仕様書:仕様が明確で、一貫性のある文書作成が可能です。複数人で共同作業を行う場合や、長期にわたってメンテナンスが必要な文書作成に適しています。
• 大規模なドキュメント作成:長文のドキュメントを分割して管理し、後で一つにまとめられるような機能があるため、大規模なドキュメントの作成にも適しています。
2-2. Markdownの活用方法
Markdownは、シンプルで習得しやすい記法が特徴であり、以下のような用途に適しています。
• ブログ記事、Webコンテンツ:シンプルな記法で、手軽にWebコンテンツを作成できます。多くのブログサービスやCMSでサポートされています。
• READMEファイル、ドキュメント:ソフトウェアのREADMEファイルや、簡単なドキュメントの作成に適しています。GitHubなどのコード共有サービスで広く利用されています。
• メモ、議事録:シンプルな記法で、素早くメモや議事録を作成できます。テキストエディタで編集できるため、手軽に利用できます。
• コミュニケーションツール:チャットツールや、メッセージアプリなどで、テキスト装飾のために使用されることがあります。
2-3. AsciiDocとMarkdownの使い分け
作成するドキュメントの種類や目的に応じて、最適な言語を選択することが重要です。シンプルなドキュメントやWebコンテンツの作成には、Markdownが適しています。一方、複雑な構造や高度な表現力が求められる場合には、AsciiDocがより効果的です。両者の特徴を理解し、適切に使い分けることで、効率的かつ効果的なドキュメント作成が可能となります。
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3. AsciiDocとMarkdownのメリット

AsciiDocとMarkdownのメリットをそれぞれまとめます。
3-1. AsciiDocのメリット
AsciiDocは、技術文書や書籍など、複雑な構造を持つドキュメントを作成するための強力なマークアップ言語です。HTMLやMarkdownと比較して、より高度な機能と柔軟性を備えています。
• 高い可読性:HTMLのような複雑なタグを使用しないため、プレーンテキストのままでも非常に読みやすいです。また、文章構造が明確になり、内容を把握しやすくなります。
• 多様な出力形式:HTML、PDF、EPUB、DocBookなど、さまざまな形式に変換できます。これにより、Web公開、印刷、電子書籍など、多様な媒体に対応できます。
• 高い表現力:Markdownよりも比較的高度な文書構造を記述できます。以下のような機能により、複雑なドキュメント作成を効率化します。
◦ 目次自動生成:ドキュメント構造に基づいて、自動的に目次を生成します。
◦ 上付き/下付き文字:文章中の特定の文字を上付き文字や下付き文字として表示できます。
◦ 表のセル結合:表のセルを結合し、複雑な表を作成できます。
• 外部ファイルインポート:他のAsciiDocファイルや画像ファイルなどをインポートし、ドキュメントに組み込むことができます。
• GitHubとの連携:GitHubでAsciiDocファイルを編集し、変更履歴を管理できます。これにより、複数人での共同作業や、ドキュメントのバージョン管理が容易になります。
3-2. Markdownのメリット
Markdownは、シンプルな記法で文章構造を記述できる軽量マークアップ言語であり、その利便性から幅広い分野で活用されています。
• 高い可読性:HTMLのような複雑なタグを使用しないため、テキストファイルとしてそのまま読んでも内容を理解しやすいです。またシンプルな記号で文章構造を表現するため、ソースコードも読みやすく、編集も簡単です。
• 多様な出力形式:Markdownで記述した文書は、HTML、PDF、docx、pptxなど、さまざまな形式に変換できます。これにより、Webページの作成、ドキュメントの作成、プレゼンテーション資料の作成など、幅広い用途に対応できます。
• 可逆性:Markdownは、HTMLやWordなどの形式から変換して、再度Markdown形式に戻すことが可能です。この可逆性により、編集や修正が容易になり、異なる形式間でのデータのやり取りがスムーズになります。
4. AsciiDoc vs.Markdown違いを比較!
特徴 | AsciiDoc | Markdown |
---|---|---|
表現力※ | Markdownより勝る | AsciiDocより劣る |
可読性 | 高い | 高い |
可逆性 | ない | ある |
複雑な構造 | 可能 | 制限あり |
出力形式 | 多様 | Web中心 |
用途 | マニュアル、技術文書、論文など | ドキュメント、ブログ、仕様書など |
仕様 | 明確 | 方言が多い |
テーブル機能 | 高機能 | 機能は限定的 |
認知度 | 低い | 高い(いろいろなツールに採用されているなど) |
※表現力に違いについて
AsciiDocがMarkdownよりも表現力に優れていると言われるのは、より複雑なドキュメント構造や高度な書式設定を可能にする機能が豊富であるためです。以下に、具体的な記法の比較を交えながら、その違いを説明します。
4-1. 目次自動生成
AsciiDoc:見出しレベルに応じて自動的に目次を生成できます。
TOCマクロを使用することで、ドキュメントの構造に基づいた目次を簡単に作成できます。
例:TOC
Markdown:標準機能では目次自動生成はサポートされていません。
一部のMarkdown処理系や拡張機能を使用することで、目次を生成できますが、AsciiDocほど柔軟ではありません。
4-2. 上付き/下付き文字
AsciiDoc:上付き文字と下付き文字を直接記述できます。
例:H~2~O, E=mc^2^
Markdown:標準機能では上付き/下付き文字はサポートされていません。
HTMLの<sup>や<sub>タグを使用することで同様の表現ができますが、可読性が低下します。
4-3. 表のセル結合
AsciiDoc:表のセルを水平方向および垂直方向に結合できます。
例:
|===
| 列1 | 列2
| a | b
| 2+^| c
| d | e
|===
Markdown:標準機能ではセルの結合はサポートされていません。
HTMLのcolspanやrowspan属性を使用することで同様の表現ができますが、記法が複雑になります。
4-4. 外部ファイルインポート
AsciiDoc:includeマクロを使用して、他のAsciiDocファイルやソースコードなどをインポートできます。
例: include::other_file.adoc[]
Markdown:標準機能では外部ファイルのインポートはサポートされていません。
一部のMarkdown処理系や拡張機能を使用することで同様の機能を実現できますが、AsciiDocほど柔軟ではありません。
4-5. その他の高度な機能
相互参照:ドキュメント内の特定のセクションや図表への参照を簡単に作成できます。
条件付き記述:特定の条件に基づいて、ドキュメントの一部を表示/非表示にできます。
これらの例からもわかるように、AsciiDocはMarkdownよりも高度なドキュメント作成を可能にする機能が豊富です。そのため、技術文書や書籍など、複雑な構造を持つドキュメントの作成に適しています。
5. AsciiDocの活用事例

AsciiDocの活用事例として、ヤマハ株式会社様の事例を紹介します。
●課題
・ネットワーク製品のマニュアル制作にて、見栄えを妥協せず、HTMLの直書きによる課題を解消したい
・従来のDTPツールを使用したマニュアル制作の課題を解消したい
●解決策
・Asciidoc(軽量マークアップ言語)を採用し、HTMLマニュアルを制作する
・効率化と費用削減を図った新たなマニュアル制作システムを構築する
●導入内容
・軽量マークアップ言語で執筆した原稿データを、データ変換コンバーター(Asciidoctor、Asciidoctor‐PDF)でHTML/PDFデータを同時に自動生成させる仕組みを構築。
・レイアウトデザインの強化
●導入効果
約30%以上のコスト削減を実現
ヤマハ株式会社様の事例については以下のページで詳しく紹介しております。
ぜひご覧ください。
AsciiDocとGitHubでPDF、HTMLマニュアルのデータを部署をまたいで一元管理
6. まとめ
軽量マークアップ言語は、シンプルな記号を使って文章の構造や装飾を記述するため、現在では様々なツールやドキュメント上で活用されています。表現力は従来のHTMLやXMLと比べて劣る部分がありますが、編集も容易で可読性も高いです。AsciidocやMarkdownでマニュアルを構築することにより、メンテナンス性を高めたり、様々な形式のドキュメントに展開しやすくし、制作効率の向上や制作コスト削減が可能になると考えています。
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