6月に入り、2018年も半分が過ぎようとしています。今年前半のハイライトといえば、平昌オリンピックでしょうか。多くのアスリートが感動を与えてくれました。その平昌オリンピックで、このようなニュースがあったことをご存知ですか。
ノルウェーの料理チームがGoogle翻訳で卵を1,500個発注したところ、その10倍の15,000個が納品されたとのことです。返品できたので笑い話で済んだようでしたが、実際に自分の身の回りでこのようなこと起きたとしたらどうなるでしょう。
数値の誤りは大きなアクシデントにつながることがあります。金額はもちろんのこと、時間、速度、ハードディスク容量などなど。ウェブサイトや資料などでこれらの情報を第三者に伝えるのであれば、伝える前にこれらの情報に誤りが無いことを確認しなければなりません。
ニューラル機械翻訳の登場により、機械翻訳の精度はこれまで以上に飛躍的に向上しました。ただし、このような数値のミスはしばしば発生します。そこで必要になるのが、本日ご説明する『ポストエディット』です。
『ポストエディット』とは、機械翻訳の結果(翻訳文)を確認して、手直しする作業のことです。この作業を行う人をポストエディターといいます。これまで一般的な翻訳作業というと、翻訳者が翻訳し、レビューアが翻訳文をチェックするという流れでした。機械翻訳になると、翻訳の部分は機械が行い、ポストエディターが原文と翻訳文を確認しながら手直しするという流れになります。そのため、工程の一部を機械に任せられるので、全体的な翻訳工数を短縮することが可能になりました。
ただし、先述のとおり、最新の機械翻訳技術にもウィークポイントがいくつかあります。今回はポストエディット時に修正しておきたい、4つのポイントをご紹介します。
- ポストエディット時に注意したい4つのポイント!
- 1. 数値
- 2. タグ
- 3. スタイル・言い回しの不統一
- 4. 用語
1. 数値
こちらは、あるオンライン翻訳ツールで翻訳した結果になります。ちょっとしたお遊びですので、英文の精度については細かく見ていきませんが、赤線の数値にご注目ください。原文と異なる数値が訳文に当てられています。最新の機械翻訳技術は、とても流暢な訳文を生成できるようになりましたが、極稀にこのような数値のミスが発生します。上記の例文は極端な例ですが、お客様に送る予定のお見積もりがこのような訳になってしまうのは避けたいですよね。ポストエディットのステップを入れて、必ず数値のミスは解消しておきましょう。
2. タグ
HTMLやXMLなどのタグ付きファイルを翻訳する場合、気をつけなければならないのが「タグ」です。タグには、文字を修飾する修飾タグや状況によって表示内容を変える変数タグなどがあります。これらを含む文を翻訳すると、あるべきタグが訳文から抜け落ちてしまったり、逆に追加されてしまったりすることもあります。そのため、ポストエディット時に原文と訳文でタグの構造を見比べ、必要に応じて正しく配置し直します。また、一文に多くのタグが含まれている場合、機械翻訳自体の精度が著しく下がることがあります。このような翻訳は訳し直しが必要になるので、HTMLやXMLなどのタグ付きファイルを機械翻訳する際にはポストエディットが不可欠といえます。
3. スタイル・言い回しの不統一
翻訳するときに注意したいのは、読み手を混乱させないように、言い回しやスタイルを統一することです。上記の例を見てみると、英文の構造は同じですが、日本語の構造は異なっています。また、よくある例として、「サーバ」と「サーバー」や「ユーザ」と「ユーザー」などの表記ゆれも発生します。一般的な文書ではここまで統一する必要はありませんが、手順書やマニュアルなどを翻訳する際には言い回しを統一したほうが読み手に親切です。これもポストエディット時に修正しておきたいポイントですね。
4. 用語
最後に注意しておきたいのが、「用語」です。上記の赤線部分は同じガイドを指しているはずですが、訳文(英文)では異なる訳語になっています。このような「用語の不統一」によって、コンテンツ内に不統一が生じてしまい、その結果としてブランド力の低下につながる可能性もあります。ポストエディットで用語をきちんと整えましょう。
以上が、ポストエディット時に最低限注意しておきたい4つのポイントになります。お客様にメールを送る前やコンテンツを公開する前にこれらの点を必要に応じて手直しするだけで訳文の精度を向上できるので、ぜひお試しください。
ヒューマンサイエンスでは、普段のビジネスで最新の機械翻訳テクノロジーを利用できるクラウド型MTソフトの「MTrans Team」、プロ翻訳者向けのNMTソリューションの「MTrans for Trados / Memsource」をご用意しております。これらのツールには用語集機能や表記ゆれを抑える機能が備わっているので、ポストエディットの負担を軽減できます。また、ヒューマンサイエンスは、ポストエディットの支援に特化した新しいツール「MTrans Post-Edit Booster」をリリースしました。日々ポストエディットをご担当されている方にぜひご覧いただきたいツールです。ご興味がありましたらお気軽にお問い合わせください。
関連サービス
ニューラル機械翻訳連携ソリューション MTrans for Trados / Memsource
自動ポストエディットツール MTrans Post-Edit Booster