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ChatGPTと医学翻訳② 医学翻訳でも「プロンプト」は有効か? 試してみた

ChatGPTと医学翻訳② 医学翻訳でも「プロンプト」は有効か? 試してみた

昨今、ますます話題になっているChatGPTですが、その医学翻訳への活用についてのブログを2023年5月に公開いたしました。

ChatGPTと医学翻訳

 

本稿では、その第2弾として、ChatGPTのプロンプト(ChatGPTへの指示文)にフォーカスしてお届けいたします。

 

目次

指定通りに用語を翻訳

医学翻訳では、専門用語を正しく訳すことが基本中の基本です。ChatGPTのプロンプトをうまく設定することで対処できるでしょうか?

そこで、治験同意・説明文書を題材に、以下のように指示を出してみました。

 

 

人手訳例:この治験では、進行肝臓癌(肝細胞癌)の成人の患者さんの治療において、薬剤A (aaaaaaaaaa)、薬剤B(bbbbbbbbbb)、薬剤C(cccccccccc)という3つの試験薬の安全性、忍容性および臨床効果を検討します。

 

ChatGPTの訳:本治験は、進行肝臓癌(肝細胞癌)を患う成人の患者さんを対象に、試験薬A(aaaaaaaaaa)、試験薬B(bbbbbbbbbb)、および試験薬C(cccccccccc)の安全性、忍容性、および臨床効果を評価するものとなります。

 

注:薬剤名は仮名に変更しています。

 

人手訳例と比較すると、治験同意・説明文書としてはやや不自然ですが、用語の訳は問題なくできているようです。用語の訳を指定するのは有効なプロンプトと言えそうです。

字幕翻訳でのプロンプト

以下のブログでも紹介しましたが、医学翻訳では、学会の講演や座談会、動画コンテンツの字幕を翻訳することがあります。

医療・医薬翻訳 とは?翻訳が難しい理由と、依頼先の選定ポイント

 

字幕翻訳では、文字数に制約があり、また、医師が自然に話すような言葉で訳す必要もあるため、普段、硬い文体で正確な訳を作ることが多い翻訳者さんだと、戸惑うくらい大胆に内容をまとめなければならないことも、ままあります。

 

そこで、プロンプトを工夫することにより、ChatGPTで英文を字幕向きの翻訳ができるか、以下の文で試してみました。

 

 

人手訳例:ここでは、わかりやすく、「肺疾患」、「がんの治療と予防」、「慢性炎症性疾患・遺伝子疾患等」の3つに分類します。(55文字)

 

ChatGPTが出した最初の訳は文字数オーバー(61文字)、次に出てきた訳は文字数を減らしすぎ(33文字)でした。

 

結局、文字数への指示のほかにも、「to keep things simple」の訳を加えるように指示を出したり、「てにをは」の誤りを指摘したりすることで、以下の訳を得ることができました。

 

ChatGPTの訳:簡単にするため、肺疾患、がん治療予防、慢性炎症・遺伝疾患などの病気に分類しました。(41文字)

 

まだ、人手訳例の方が自然でしょうか。それに、「into three」が訳から抜けていたりします。とりあえずChatGPTに訳させて、それをフックに実際の訳を作ってみるというアプローチは考えられるかもしれません。

いずれにしても、人手による訳例に近いレベルの訳に近づけるためには、プロンプトを事前に、またはいろいろ試しながら検討する必要がありそうです。

プロンプトにも「コツ」がある

このようにプロンプトの出し方にもコツがあるようです。

 

今回の例でいえば、制限文字数や話し言葉で書くといった諸々の指示は、改行して箇条書きにした方が、認識漏れが少ないように感じました。

 

ただし、筆者が試した限りでは、上記とは別の以下の文でも、制限文字数についてのプロントをうまく処理できない場面が度々ありました(あきらめず繰り返し指示してなんとか対処しましたが…)。

 

 

また、「話し言葉で」という指示だと、「だからさ」や「…なんだよ」といった砕けすぎの訳が出ることもあります。一工夫して「講演で講師が話すような言葉で」とか、「医師が話すような言葉で」にしてみるとよさそうです。

 

翻訳からは少し話が逸れますが、ブロガーやYouTuberなどを対象に、プロンプト作成法を指南するサイトも出始めており、AIに望ましい結果を出力させるために指示を最適化させる「プロンプトエンジニアリング」というものが、一種のトレンドとなっているようです。ご興味のある方は調べてみてはいかがでしょうか?

まとめ

医学関係のクライアントの皆様、医学翻訳者や翻訳チェッカーの方々にとっても、ChatGPTのプロンプトは興味深いトピックといえます。

 

ChatGPTの1回の質問へのアウトプットの文字数は随時増えているようですが、実用的には、多くても3~4パラグラフ程度の単位で、用語訳を指定して訳させたり、目的に適した訳にさせてみたりするような使い方になるでしょう。

 

したがって、大きな分量の医学コンテンツを扱う場合では、あくまで補助的な利用ということになると思います。

 

弊社では、人手翻訳サービスやポストエディットサービス、ChatGPT連携機能を搭載した自動翻訳ソフトMTrans for Officeもご提供しております。お悩みやご興味などございましたら、是非お気軽にお問合せ下さい。

 

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その他にも、以下のような医療/医学翻訳に関する情報をご提供しております。お役立て頂けますと幸いです。

 

◆ブログ

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