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ツールを活用した多言語翻訳の品質管理~チェックすべき観点とは?~

ツールを活用した多言語翻訳の品質管理~チェックすべき観点とは?~

多言語翻訳の品質チェックはどうすべき?

「英語以外の多言語翻訳を行いたい。翻訳者に丸投げするのは心配だが、かといって、自分はネイティブでないのに、どう品質をチェックすれば良いの?」

「翻訳会社に依頼しても、スタッフは全ての言語が分かるわけではないのに、何をチェックしてもらえるのだろう?」

 

多言語翻訳のご対応をされているご担当者様の中には、このような不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

翻訳が納品されて「チェックしてください」と言われても、言語も分からないのに……とか、翻訳会社が「社内チェックしています」と言っているけれど、本当にできているの?といった不安のある方に、是非この記事を参考にしていただければと思います。

目次

非ネイティブでもチェック可能なポイント

もちろん、表現の流暢さや細かなニュアンスなど、翻訳者に判断を委ねるべき部分もありますが、非ネイティブが確認できる点も多くあります。

例えば、引用符をはじめとする記号の種類が正しいかや、数値が原文と訳文で異なっていないかなどが挙げられます。

下図をご覧ください。

 

 

これは引用符に焦点を当て、言語ごとに使用すべき記号の種類を比較したものです。少しの言語を取り上げるだけでも、かなりの違いが出ていますね。

文意には関係なくても、間違っているとその言語の文書としては違和感を生じさせるようなポイントです。

こういった点であれば、正解さえ分かっていれば言語が分からなくてもチェックできます。

 

しかし、いくら品質を向上させたくても、チェックにかけられる時間は有限です。

これらを全て目視でチェックするのは時間がかかりすぎる、と考えて断念される方もいらっしゃるでしょう。

 

実は、今挙げたような点は、ツールを使用して漏れもなく時間もかけずにチェックすることができるのです。

 

本記事では、このように、ツールを使用することで非ネイティブでも洩れなくチェックすることが可能な観点と、そのチェック方法を2回に分けてご紹介します。

今回はチェック観点のご紹介です。

ツールで検出できる多言語翻訳の品質チェック観点

ツールでチェックできる観点は、大きく分けると下記が挙げられます。

■スタイル(引用符、数値または英数字、単位など)

■用語(固有名詞、UI、専門用語など)

■不統一(原文が同じなのに、異なる訳文になっている)

■スペルチェック

それぞれ簡単にご紹介していきます。

 

■スタイル(引用符、数値または英数字、単位など)

ツールでチェックできるスタイルは多くあります。

代表的なものは以下の8点です。

 

①引用符

例:
英語 Sample
フランス語 « Sample »
ドイツ語 Sample

言語ごとに引用符の種類が正しいかをチェックできます。

言語によっては大きく違うため、間違っているとその言語の文書としては違和感を生じさせます。

 

②単位および単位前後のスペース
例:
50%
100 m
単位と数値の間のスペース有無が正しいかをチェックできます。

 

③数値

数値が原文と訳文で一致しているかをチェックできます。

特にマニュアルでは数値の間違いは致命的なので、漏れなくチェックする必要があります。

 

④桁区切りの形式

例:千の位の桁区切り
英語 1,000 カンマを使用する
フランス語 1 000 半角スペースを使用する

言語ごとに桁区切りの形式が正しいかをチェックできます。

言語によっては小数点と線の位の桁区切りが逆の場合もあるので、漏れなくチェックする必要があります。

 

⑤英字

原文が日本語や中国語・韓国語の場合、原文に登場する英字が訳文で正確に使用されているかをチェックできます。

数字とアルファベットが組み合わさった製品コードや型番の確認に有効です。

 

⑥句点の有無や種類

ピリオドやクエスチョンマークが原文と訳文で一致しているかをチェックできます。

 

⑦不要なスペース

不要なスペースが無いかをチェックできます。

 

⑧ハイフンとダッシュの使い分け

ハイフンとダッシュの使い分けが正しいかをチェックできます。

目視でチェックするのが特に難しい項目です。

 

また、上記の他にも、翻訳対象物の特徴に合わせて任意にチェック項目を増やしたり、減らしたりすることもできます。

 

チェック項目の設定

チェック項目の構築には、公開されている言語スタイルガイドも参考にしてみると良いでしょう。 たとえば、Microsoft社は非常に多くの言語のスタイルガイド「Localization Style Guides」を公開しています(https://www.microsoft.com/en-us/language/styleguides)。

例えば、フランス語のスタイルガイドを読んでみると、下記のような内容が含まれています。

 

ハイフン、ダッシュの使い分け

・ハイフンは単語の音節間を分割する時、複合語のパーツをつなぐ時などに使用される。
・enダッシュはマイナス記号としてや、数値の範囲を示す記号として使用される。
・emダッシュは独立した要素を文中で切り離したり挿入したりするために使用する。ただし、英語でダッシュを使用する文でも、フランス語ではコンマやコロン、括弧に置換えるのが良いケースが多い。

 

その他の記号の扱い

・英語のセミコロンは、フランス語ではコンマに置換えたほうが良いケースが多い。

・引用符(ギュメ)と引用文の間にはノンブレークスペースを使用する。

・引用文に含まれない句読点(文末の句点など)は必ず引用符の外に出す(英語ではここは厳密でないのに対して)。

・特定の記号(: ; ! : ?)の前にはノンブレークスペースを使用する。

 

こうした資料から、対象言語で何をチェックの対象にすべきかの手がかりを得られます。また、チェック時に留意すべき点も明らかになるでしょう。

例えば、英語→フランス語翻訳のツールチェックの際、「句読点やスペースは原文と訳文で異なっているのが正の場合がある」と留意しておく必要があると分かります。

 

Microsoft社は、上記の他にも「Globalization documentation」(https://learn.microsoft.com/en-us/globalization/)の「Regional setting and formats」という項目で、いくつかの言語の数値や日付のフォーマットを説明しています。こちらも参考になります。

 

■用語(固有名詞、UI、専門用語など)

あらかじめ用意した用語集で指定されている用語が訳文で使用されているかを機械的に検出し、チェックを行います。

ツールに用語集を読み込ませ、原文で用語集に登録された用語が登場した際、対応する訳語が使用されているかどうかを照合する仕組みです。

 

UIや固有名詞は、特に訳を統一しなければなりません。マニュアルと実際のボタンの表記が違えば、ユーザーは戸惑ってしまいます。

専門用語も基本的には同じ訳語が使われているべきものですね。

ただ用語は「間違っているかもしれない」ことはわかっても、言語がわからないと正確に修正するのが難しい場合があります。

言語によっては、用語集の登録用語と単純に置き換えるとその前後を変えなければならなかったり、用語そのものを語形変化させなければならなかったりします。

その場合には、翻訳者に確認を取る必要があるでしょう。

 

用語集を作れない!

そもそも用語集を用意できない、という場合には、Web上に公開されている用語集を参考にできます。例えばヨーロッパ言語であれば、IATE (Interactive Terminology for Europe)という欧州言語のための用語集があります(https://iate.europa.eu/home)。

これは欧州議会などの公的機関でも使用されている用語集です。

また、弊社では翻訳と同時に用語集作成のご対応もさせていただいておりますので、ご相談ください。

 

■不統一(原文が同じだが、訳文が異なっている)

原文で同じ文が複数回出てくる場合に、別の表現に訳してしまっていないかを確認します。

もちろん、意図的に訳文表現を変える必要がある場合は修正しません。

 

■スペルチェック

スペルミスが無いかのチェックです。

CATツールで多数の言語のスペルチェックが可能です。

(※CATツール=Computer-Assisted Translation tool。翻訳支援ツール。)

まとめ

今回のブログでは、多言語翻訳のツールチェック観点をご紹介しました。

言語ルールを押さえてツールチェックを実施することで、形式的な観点であれば非ネイティブでも複数の言語の品質管理を行うことができます。

次回のブログでは、今回ご紹介したチェック観点それぞれのチェック方法を具体例とともにご紹介します。

参考資料

コントヨコ「欧文を扱う上での誤りやすい例」CSS Nite LP21(セミナー)、2012

https://cssnite.jp/archives/post_2378.html

 

Microsoft “Localization Style Guides” 最終閲覧日2023/2/15

https://www.microsoft.com/en-us/language/styleguides

 

Microsoft “Globalization documentation” 最終閲覧日2023/2/15

https://learn.microsoft.com/en-us/globalization/

 

“Interactive Terminology for Europe” 最終閲覧日2023/2/15

https://iate.europa.eu/home

 

>>関連記事

「CATツールとは?メリット・デメリットなど解説」

https://www.science.co.jp/nmt/blog/31230/

 

「多言語組版ノート:引用符」

https://www.science.co.jp/nmt/blog/27365/

 

「多言語組版ノート:句読点」

https://www.science.co.jp/nmt/blog/27370/

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