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多言語組版ノート:段落の境界を明確にする

多言語組版ノート:段落の境界を明確にする

この組版どう思いますか?

 

この組版は取り敢えず普通に読めます。でも、読み続けると次第にメリハリのなさに違和感を覚えてくると思います。どこをどのように修正したら良くなるでしょうか。

 

 

良くない点

 

この組版の難点は段落の境界が不明確なことです。行頭に変化がないのでどこが段落の始まりなのか一見して判りません。また行末にフルストップ(ピリオド)があってもそこが段落の終わりとは限りませんし、行末の長い単語が改行されてたまたま短い行ができるとそこが文末でなくても段落の境界のように見えることでしょう。文章の読みやすさや頭への入りやすさに悪影響が出ています。

改善案1:1行目をインデント

 

段落の境界ははっきりさせましょう。解決法の一つはインデントです。第1段落や見出し直後の段落はそこから文章が始まることが一目瞭然なのでインデントの必要はありません。2番目以降の段落からインデントをします。後述する改善案2と違い、行間が常に一定でリズムが乱れることなく心地よく読めるため書籍組版に適しています。省スペースなので新聞組版にも向いています。

 

フォント・文字サイズ・組幅・行送りなどによって印象が変わるため、一律に「文字サイズが何ptなら何mm下げる」と決めるのは困難です。出発点は文字サイズ、つまり10ptならインデント幅も10ptから調整を始め、段落の境界だと認識できる最低限のインデント幅を見つけ出してください。スペース連打・全角スペースやタブでインデントをするのは避け、段落スタイルにインデント幅を設定しましょう。

 

改善案2:段落の間隔を空ける

もう一つの解決法は段落の間隔を空けることです。1行だと空け過ぎで半行空きがよく使われます。見開き左右でベースラインが揃わなくなりますが気にする必要はありません。間隔を空けるときは空行を入れるのではなく、段落スタイルに段落前の空きを設定しましょう。これは文章量が増減した際に空行が予期せずページの先頭に来るのを避けるためです。

 

製品マニュアルや教材テキストにはインデントよりも段落間隔を空ける方が適していると思います。「見出し→本文」「図→説明」「画面→手順」のような構成が多く、心地よい通読よりも項目ごとのまとまりを優先したいからです。

改善案1と2の併用は避ける

     

インデントと段落間隔空けはベルトとサスペンダーの関係に似ていて二者択一です。併用するのはおかしいのでどちらか一方だけを使います。

英語以外では

日本語

1字下げです。欧文と違って第1段落も字下げをするのが普通です。段落間隔を空ける場合は字下げの必要はないと思います。

 

中国語

 

2字下げです。欧文と違って第1段落も字下げします。個人的には段落間隔を空ける場合は字下げの必要はないと思うのですが、実際には2字下げた組版は少なくありません。なお日本語の1字下げは中国人の目にはとても中途半端に映るらしく、1字下げるぐらいならいっそ字下げをしない方がましだそうです。中国語を組むときは日本語の感覚から頭を切り替えましょう。

主な参考資料

Nigel French, InDesign Type: Professional Typography with Adobe InDesign (3rd edition), 2014

髙岡昌生『増補改訂版 欧文組版 タイポグラフィの基礎とマナー』烏有書林、2019

劉慶「中国語書体と組版のABC3」TypeTalks 第37回(セミナー)、2016

    

>>関連資料:ポストエディット品質チェックシート ダウンロード

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