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ツールを活用した多言語翻訳の品質管理~実践編~

ツールを活用した多言語翻訳の品質管理~実践編~

前回の記事では、非ネイティブでもツールを使用して確認できる多言語翻訳のチェック観点をご紹介しました。
今回は、弊社で実際に行っている各観点のチェック方法を、画面キャプチャとともにご紹介していきます。

目次

多言語翻訳のツールチェック方法①~スタイル~

数値/英字

原文と訳文の中の数値(英数字)が一致しているかチェックします。
ここでは、弊社で作成したチェックツールである「HSXChecker」を使用します。
翻訳が完了したTrados(RWS社製の有料翻訳支援ツール)のsdlxliffファイル(原文と訳文が対訳になったバイリンガルファイル)をインポートしてクエリ(チェック)を開始すると…

 

 

数秒でチェック処理が完了し、数値のエラーが検出されました。
黄色ハイライト部分を見ると、原文の日付は「11月」ですが、訳文では「12」月になってしまっていますね。
このように、ツールを使用すると、膨大な文書であっても短時間でエラーを特定することができます。
エラー箇所が黄色くハイライト付きで表示されるのも分かりやすく、見逃しを防止することができます。

 

また、原文が2バイト文字の言語の場合は、同じように英数字もチェックできます。
下図の通り、この文書では、「DEF456」とすべきところを「DEG457」と間違えてしまっているようです。
このチェックは、英数字が組み合わさった型番などの確認に有効です。
ただし、この機能は「原文に含まれる英数字(=1バイト文字)が訳文にあるか」を照合しています。
そのため、原文が英語などの1バイト文字の言語の場合は、文章全体が一致(翻訳されていない)していないとすべてエラー検出されてしまいます。
「原文が1バイト文字の言語だが、型番をチェックしたい」という場合は、用語集に型番を含めて、後述の用語チェック機能で確認するといった工夫を行い、目的に合わせて適切なチェック方法を検討することが大切です。

 

 

引用符

前回の記事でもご紹介した通り、引用符の形は言語ごとに異なります。

 例:
 英語 “Sample”
 フランス語 « Sample »
 ドイツ語 „Sample“

 

開き引用符と閉じ引用符の正しい組み合わせをツールに登録することで、引用符の誤り(記号の種類の誤り・引用符の数の誤り)をツールチェックで検出しています。

 

今回は、QA Distiller(Yamagata Europe社)という無料のチェックツールを使用したチェック例をご紹介します。QA DistillerはHS XCheckerと同じくバイリンガルファイルを読み込んで検証するチェックツールですが、特に多言語をチェックするための機能が豊富です。チェック内容だけでなく、言語に応じてもチェックツールの選定を行っています。
下記は、„xxx“の形を用いるのが正しい言語でのチェック結果です。
開き引用符と閉じ引用符がペアで使用されていない箇所が検出されています。
エラーとして表示された赤字部分を見ると、この文で引用符が必要なのは「„<xr/>“」だけの筈ですが、「„i」の後に余分な開き引用符が混入しているとわかります。

 

 

この例は余分な引用符が検出されたものでしたが、使用している引用符の形がそもそも誤っているという場合も、もちろんエラー検出されます。

 例:上記言語の正しい形である„xxx“のかわりに、英語と同様に“xxx”が使用されてしまっている。

 

単位の表記(スペースの有無)

「%」や「cm」といった単位前のスペースの要否も、言語により異なります。かつ、小さな点ですので、翻訳時に人の目では見逃しやすい箇所でもあります。

スペースが必要な言語で、翻訳者が誤ってスペースを入力し忘れていた場合、下のキャプチャのように検出されます。

 

 

スペース

訳文に不要なスペースが混じっていないかはTradosに組み込まれているチェックツールであるTrados QA Checkerや、既にご紹介したQA Distillerといったツールで検出可能です。
まずはQA Distillerで検出した例です。
画面下部の「Target」に続く文を見てみると、赤字部分[0020][0020]が訳文に出現しています。[0020]とはスペースを意味していますので、ここではスペースが2つ連続してしまっているというエラーが検出されています。

 

 

一方、Trados QA Checkerでは次のように検出します。
下図では、「2バイト文字の文字列の中にスペースが混じっている場合にエラー表示する」という項目をTrados QA Checkerに登録し、中国語の中に不要なスペースがある文章を検出しました。
画面下部を見ると、確かにエラーが出た1215行の中国語訳に不要スペースがありますので、こちらを削除して修正を行います。

 

 

不要なスペースも、翻訳者が訳文を入力したり修正したりする際に、誤入力しやすい点です。「注意する」だけではゼロにできないエラーを、不必要な労力をかけずに漏れなくチェックするためにも、ツールによるチェックは有用なのです。

句点の有無

ピリオドやクエスチョンマークといった句点の有無が、原文と訳文で一致していない箇所を検出できます。
下の例では、原文ではピリオドがあるのに対し、訳文ではピリオドがありません。
ただし、このような主語と動詞が無い不完全な文章では、意図的にピリオドを省いている場合もあります。確証が持てない場合は翻訳者に修正方針を相談の上で正確な修正を行っています。

 

 

桁区切りの形式

千の位の桁区切りに使用される記号は、言語によりカンマ、ピリオド、スペースと異なる場合があります。

例えば、同じ「千」であっても、下記のように言語によりスタイルが異なります。
 1,000 (英語等)
 1.000 (デンマーク語等)
 1 000 (フランス語等)
下記の例では、デンマーク語の文章ですのでピリオド「.」で桁区切りをし、「1.422」や「1.512」と入力すべきです。しかし、翻訳者が誤って桁区切りのピリオドを入力し忘れていた箇所を検出しています。

 

 

多言語翻訳のツールチェック方法②~用語~

あらかじめ用意した用語集で指定されている用語が訳文で使用されているかを、機械的にチェックします。
ツールに用語集を読み込ませ、原文で用語集に登録された用語が登場した際、対応する訳語が使用されているかどうかを照合する仕組みです。

 

前回の記事でもご紹介した通り、特にUIや固有名詞、専門用語を用語集に含めてチェック・訳語統一することで、翻訳品質を向上させる高い効果を期待できます。

 

用語チェックはTrados QA Checker、QA Distillerといった複数のツールで実施できますが、今回はQA Distillerでの実践例をご紹介します。

 

下記は、「フレーム」の訳に「帧」を使用することを用語集で指定してツールチェックを行った結果です。
訳文では「帧」が使用されていないことがわかります。

 

 

ただ、用語の修正はここまででご紹介したスペースやピリオド等の言語が分からなくても正解がはっきりしているものとは異なり、単純な修正ではさらに誤ってしまう可能性があります。

その時々の文脈により意図的に異なる用語を用いていたり、用語集の用語を使用可能であったとしても語形変化をさせる必要があったりと、翻訳者の判断が必要になります。

このように、機械的に検出したエラーも必要に応じてきちんと翻訳者へ確認し、正確な修正を行うことが重要です。

多言語翻訳のツールチェック方法③~不統一~

不統一のチェックは、Trados QA Checker、QA Distiller、Xbench(ApSIC社)など複数のツールで可能です。XbenchはQA Distillerと同様にバイリンガルファイルを読み込んで様々な観点のチェックを行える他、翻訳メモリの検索等にも有用なツールです。有料版と無料版があり、対応しているファイル形式等機能面に差があります。

今回はXbenchでの不統一チェック例をご紹介します。

下図が英語⇒マルタ語の翻訳文書に対してXbenchを使用して訳文の不統一を検出した例です。同じ英文に対し、2種類のマルタ語の文章が使用されていることが分かりました。

検出された差異が数値や単純な記号の有無の場合はこのまま非ネイティブが修正できる場合もありますが、このように表現が異なっている場合は、翻訳者に確認してどちらか一方の訳に統一しています。

 

 

まとめ

今回のブログでは、弊社で実際に行っている多言語翻訳のツールチェックの具体例を、スタイル、用語、不統一の3つにわけてご紹介しました。

スペースやピリオドなどは翻訳者が見落としやすい点です。もちろん、フィードバックを行い注意を促してこれらのミスを減らすことは大切ですが、ゼロにするのは難しいのが実情です。

翻訳者に任せるだけではなく、ツールを活用することで非ネイティブでも漏れなくチェックを行い、翻訳の品質管理を行うことができるようになります。

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