AIにできることから発想すると、ビジネスでの活用方法が見えてきます。
この記事では、
「AIに何の仕事を任せるべきかがわからない」
「人間とAIの担当業務の分け方がわからない」
「どういう作業がAIに向いているのかわからない」
という方に向けて、AIにできることを軸に業種別の活用事例を紹介します。
- 目次
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- 1. AIと機械学習の関係|機械学習とは?AIとの違いと活用の流れを解説
- 1-1. AI、機械学習、教師データ、アノテーションの関係
- 2. 機械学習の業種別活用例12選|画像・音声・自然言語処理ごとに紹介
- 2-1. 見て判断する(画像認識)
- ― ケース1: 自動運転
- ― ケース2: 公共交通の利便性向上
- ― ケース3: 医療支援
- ― ケース4: 物流管理
- ― ケース5: 在庫管理
- ― ケース6: 設備老朽化のスクリーニング
- ― ケース7: 書類の自動処理
- 2-2. 聞いて判断する(音声認識)
- ― ケース8: 音楽認識アプリ
- ― ケース9: 設備異常の予知保全
- 2-3. 言葉を使う(自然言語処理)
- ― ケース10: AIアシスタント
- ― ケース11: ヘルプデスク対応
- ― ケース12: 翻訳
- 3. 機械学習の限界と注意点|AIでできないこととは?
- 3-1. クリエイティブな作業
- 3-2. 道徳的判断
- 3-3. 人間の感情の理解
- 4. 業種別に見るAI導入の現状と課題
- 4-1. 業種別にみるAIの導入状況
- 5. 日本で機械学習が注目される理由|導入が進む3つの背景
- 5-1. 働き方改革の推進
- 5-2. 業務改善効果の実感
- 6. 機械学習の考え方|事例にとらわれない活用を
- 7. よくある質問(FAQ)|機械学習でよく聞かれる疑問
- 8. ヒューマンサイエンスの教師データ作成、LLM RAGデータ構造化代行サービス
1. AIと機械学習の関係|機械学習とは?AIとの違いと活用の流れを解説

1-1. AI、機械学習、教師データ、アノテーションの関係
AIにできることを理解するために、はじめにAIが働く仕組みについて整理します。AIを動かすためには、まず人間がAIにデータを与えて学習させるプロセスが必要です。問題と解答の情報が含まれたデータを何度も繰り返し与えると、AIがそこから規則性や特徴を見出して判断する力を持つようになります。この訓練が機械学習です。以下によく使われる用語を整理します。
AI:人工知能そのものを指します。
機械学習:AIが動作するためのトレーニングです。
教師データ:機械学習に利用するデータです。
アノテーション:教師データを作る作業です。
AI開発のプロセスを図で示すとこのようになります。

アノテーションについてはこちら
>>アノテーションとは?その意味からAI・機械学習との関係まで解説。
教師データについてはこちら
>>教師データとは?AI・機械学習・アノテーションとの関係から作り方まで解説。
AIによる業務効率化の事例はこちら
>> AIの活用で業務効率化。8割が効果を実感する機械学習プロジェクトの導入事例4選。
2. 機械学習の業種別活用例12選|画像・音声・自然言語処理ごとに紹介
AIが学習を重ねて判断力を持つようになると、いろいろなタスクを任せることが可能になります。ここからはAIにできることを軸に、業種別の活用事例を紹介します。
2-1. 見て判断する(画像認識)
画像や動画を見て、どこに何があるかを識別することができます。対象の動きを追跡することも可能です。
ケース1: 自動運転
自動運転や運転支援では車載カメラの映像から対向車、歩行者、標識などをAIが識別します。通常の映像を利用した2Dの方法に加えて、LiDAR(Light Detection And Ranging)で取得された3Dデータの活用も進んでいます。

ケース2: 公共交通の利便性向上
公共交通機関の利用状況をAIが把握することで、乗客の安全性や利便性を向上させます。最近では人流や移動時間をシミュレーションすることで「密」を避ける試みもなされています。
>> 日立製作所、AI・シミュレーション技術で「密」回避のためのサービス開始

ケース3: 医療支援
診断業務の効率化にAIが活用されています。レントゲンやエコー、MRIの画像から病変や腫瘍とみられる領域をAIが抽出します。Googleが発表した医療用画像認識AIでは、スマートフォンで撮影した皮膚画像から病変を認識して診断を行います。
>> グーグルが開発した“医療用”の画像認識AI、その実用化までの課題

ケース4: 物流管理
検品や仕分けなどの倉庫管理に活用されます。段ボールの数量やラベルの表記をAIが認識して自動で仕分けできます。現場の作業者の動きを認識し、動線の改善にも役立てられます。
ケース5: 在庫管理
小売業界では店頭在庫の管理に活用。商品棚の画像から在庫や欠品の状況を自動で把握します。

ケース6: 設備老朽化のスクリーニング
建造物や設備の画像から塗装剥がれやひび割れなどの特徴を抽出し、老朽化のサインを識別します。
>> 鉄塔の点検をドローンとAIに–規制改革に向け小林史明デジタル庁副大臣が視察
ケース7: 書類の自動処理
契約書や請求書をAI OCRでテキスト化し、記録や計算を自動化します。手書き文字にも対応します。
2-2. 聞いて判断する(音声認識)
音声を聞いて識別を行います。
ケース8: 音楽認識アプリ
周囲で流れている楽曲を認識し、タイトルやアーティスト名を提示します(例:Shazam)。
ケース9: 設備異常の予知保全
設備の通常時の音を学習し、外れ値の異音を検知して早期に異常を発見します。
2-3. 言葉を使う(自然言語処理)
人間が使う言葉の意味を理解し、作文や発話も可能です。
ケース10: AIアシスタント
音声認識×自然言語処理で意図を解釈し、リクエストに対応します。
ケース11: ヘルプデスク対応
チャットボットが問い合わせ文を理解して適切に応答します。
>> コールセンターへの電話の用件をAIが聞き取り、TMJが音声自動応答サービス
ケース12: 翻訳
テキストや画像上の文字を認識して翻訳します(例:カメラでの逐次翻訳)。
3. 機械学習の限界と注意点|AIでできないこととは?
ここまでAIの活用事例を見てきましたが、AIでは実現が難しい領域もあります。
3-1. クリエイティブな作業
生成系AIの出力は過去データに基づく生成であり、人間の直感や独自経験に基づく創作とは異なります。創造力の補完ツールとして活用します。
3-2. 道徳的判断
倫理的判断はAIに備わらないため、学習データの偏り点検や改善は人間が担います。
3-3. 人間の感情の理解
AIは感情や意識を持たないため、感情的な理解や共感はできません。
4. 業種別に見るAI導入の現状と課題

4-1. 業種別にみるAIの導入状況
これは業種別のAI実装状況を調査したデータです。

出典:O’Reilly AI Adoption in the Enterprise 2021 より筆者作成
コンピューター、金融、小売りでは実装が進む一方、教育・行政は実装率が低く、個人情報や社会的役割、環境配慮などエシカル面が課題になりやすいと考えられます。
5. 日本で機械学習が注目される理由|導入が進む3つの背景

日本におけるAI導入が注目される主な背景は次の通りです。
5-1. 働き方改革の推進
単純作業をAIに任せることで、人間は企画や学習などに時間を割けます。
5-2. 業務改善効果の実感
AI導入企業への調査では、8割以上が効果を実感したとの結果があります。

出典:総務省 2021 情報通信白書より筆者作成
6. 機械学習の考え方|事例にとらわれない活用を
AI導入を検討する際、多くの企業が「既存の事例」を参照するのではないでしょうか。しかし事例はあくまで過去の成功例であり、自社にそのまま適用できるとは限りません。むしろ重要なのは、事例を参考にしつつ 「自社ならではの活用余地はどこか」 を見極める視点です。
たとえば、
・もしこの工程をAIに任せたら、生産性はどれほど向上するか
・この業務を自動化できれば、人材をどの新規領域に振り向けられるか
・顧客体験を改善する新たな切り口を、AIによってどこまで広げられるか
といった問いを立てることが、導入の第一歩となります。
AIは画像認識・音声認識・自然言語処理といった複数の技術を組み合わせることで、事例にとどまらない応用が可能です。つまり「どんな課題を解決したいのか」を明確にし、そこから逆算する形でAIの役割をデザインすることが、差別化と競争優位につながります。
事例をなぞるのではなく、事例を起点に自社独自の発想へ展開する。これがAI導入を成功に導く鍵と言えるでしょう。
7. よくある質問(FAQ)|機械学習でよく聞かれる疑問
Q1. 機械学習にはどのくらいのコストがかかりますか?
A. コストはプロジェクトの規模や目的によって大きく異なるため一概には言えません。自社データの整備やアノテーションに社内リソースを割く場合は、通常業務に加えてこれらの業務も行う必要があるため、その分のコストがかかります。こうした場合でも、外部ベンダーに委託することで効率的に進められるケースもあります。また、小規模なPoCから始めれば、リスクを抑えて効果を検証できるでしょう。
Q2. 自社にAIやデータサイエンスの専門家がいなくても導入できますか?
A. 専門知識がなくても導入は可能な場合もあります。最近ではノーコードやローコードで利用できるAIツールも増えており、非エンジニアであってもAIモデルの学習やアプリケーション開発への敷居が格段に下がっています。また、専門家がいなくとも、外部パートナーに教師データ作成やモデル開発を委託する企業も多くあります。
Q3. 機械学習で最初に取り組むべきステップは何ですか?
A. 最初に「どの業務課題を解決したいか」を明確にすることが重要です。その後、小規模なデータセットを用いてPoCを実施し、効果を検証したうえで本格的な導入に進むのが失敗しにくい流れです。いきなり大規模導入を目指すのではなく、段階的に進めると良いでしょう。
Q4. データのセキュリティや機密保持はどう確保すれば良いですか?
A. データを外部に委託する場合は、ISMS認証やセキュリティルーム完備などの体制を持つベンダーを選ぶことが大切です。クラウドソーシングではなく、契約済みの作業者で管理している企業に依頼することで、リスクを大幅に低減することが期待できます。リモート環境であっても作業者へのアクセス制御や管理、セキュリティ教育を徹底しているかを確認するのもポイントです。
8. ヒューマンサイエンスの教師データ作成、LLM RAGデータ構造化代行サービス
教師データ作成数4,800万件の豊富な実績
ヒューマンサイエンスでは自然言語処理に始まり、医療支援、自動車、IT、製造や建築など多岐にわたる業界のAIモデル開発プロジェクトに参画しています。これまでGAFAMをはじめとする多くの企業様との直接のお取引により、総数4,800万件以上の高品質な教師データをご提供してきました。数名規模のプロジェクトからアノテーター150名体制の長期大型案件まで、業種を問わず様々な教師データ作成やデータラベリング、データの構造化に対応しています。
クラウドソーシングを利用しないリソース管理
ヒューマンサイエンスではクラウドソーシングは利用せず、当社が直接契約した作業担当者でプロジェクトを進行します。各メンバーの実務経験や、これまでの参加プロジェクトでの評価をしっかりと把握した上で、最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを編成しています。
生成系AI LLMデータセット作成・構造化、「AIに最適化するマニュアル作成・整備支援」にも対応
データ整理ためのラベリングや識別系AIの教師データ作成のみでなく、生成系AI・LLM RAG構築のためのドキュメントデータの構造化にも対応します。創業当初から主な事業・サービスとしてマニュアル制作を行い、現在では「将来的な生成AI・RAG導入・活用に向けての業務ナレッジ整備やマニュアル化の支援」も行っております。さまざまなドキュメントの構造を熟知している当社ならではのノウハウを活かした最適なソリューションを提供いたします。
自社内にセキュリティルームを完備
ヒューマンサイエンスでは、新宿オフィス内にISMSの基準をクリアしたセキュリティルームを完備しています。そのため、守秘性の高いデータを扱うプロジェクトであってもセキュリティを担保することが可能です。当社ではどのプロジェクトでも機密性の確保は非常に重要と捉えています。リモートのプロジェクトであっても、ハード面の対策のみならず、作業担当者にはセキュリティ教育を継続して実施するなど、当社の情報セキュリティ管理体制はお客様より高いご評価をいただいております。
内製支援
弊社ではお客様の作業や状況にマッチしたアノテーション経験人材やプロジェクトマネージャーの人材派遣にも対応しています。お客様常駐下でチームを編成することも可能です。またお客様の作業者やプロジェクトマネージャーの人材育成支援や、お客様の状況に応じたツールの選定、自動化や作業方法など、品質・生産性を向上させる最適なプロセスの構築など、アノテーションやデータラベリングに関するお客様のお困りごとを支援いたします。

テキストアノテーション
音声アノテーション
画像・動画アノテーション
生成AI、LLM、RAGデータ構造化
AIモデル開発
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