
スマートフォンに搭載されたSiriやアレクサといった音声アシスタントによって、機械への音声入力が身近になっています。キーボードなどの入力インターフェースを必要とせず、より直感的な入力が可能なのが音声入力の利点です。しかし、音声はそのままでは機械が理解できないデータであるため、機械が音声を理解できるように、テキストに変換する「音声認識」技術が使われています。近年、この音声認識の精度が急速に上がっていますが、それを支えるのがAIによる技術革新です。
音声をテキスト化する技術
AIが音声認識技術を用い、音声をテキスト化する場合には、対象物の特徴を元にして、識別することができるパターン認識という技術を用いて文字起こしをします。
調査、探したいジャンルなどをAIに学習させることで、AIは音声データからテキスト化をすることが可能となります。
音声に限らず、顔や建造物などは論理的な情報ではなく処理しづらいものですが、パターン認識を活用することで、AIの処理できる情報の幅を大きく広げることができるようになります。
アルゴリズムの重要性
ところで、コンピューターを動かすためには「アルゴリズム」が必要になります。すべてのコンピューターやwebサイトは一定のアルゴリズムに沿って動いてます。
アルゴリズムは、与えられた問題や課題に対して、正しい回答を導き出すプロセスや計算方法のようなもので、用意された設問やパターンに沿って判断していくことで、コンピューターはユーザーの求める正しい情報を提示することができようになります。
もちろん、AIのパターン認識も、音声や画像などの情報を学習させるためのアルゴリズムがなければ、正しく動作させることができなくなってしまいます。
この記事では、AIによる音声認識の基本的な仕組みを紹介するとともに、実際の活用事例についても解説します。
- 目次
- 1.音声認識の仕組み
- 1-1.音響分析
- 1-2.音響モデル
- 1-3.発音辞書
- 1-4.言語モデル
- 2.AI音声認識を活用するメリット
- 2-1.業務の効率化
- 2-2.入力ミスの減少
- 2-3.ハンズフリーでの入力が可能
- 2-4.顧客体験の向上
- 3.AI音声認識で効率化できる業務
- 3-1.会議の議事録作成
- 3-2.カスタマーサポートの対応
- 3-3.データ入力作業
- 3-4.ドキュメント作成
- 3-5.翻訳業務
- 3-6.タスク管理
- 3-7.音声アシスタントによる業務支援
- 3-8.教育現場での活用
- 4.AI音声認識の活用事例
- 4-1.活用事例1:駅構内インフォメーションセンターの多言語対応型AIロボット導入
- 4-2.活用事例2:コールセンターでの業務改善・効率化
- 4-3.活用事例3:会議の議事録の自動化
- 4-4.活用事例4:債権回収コールセンターにおける交渉記録作成の効率化
- 5.AI音声認識導入のステップ
- 6.まとめ
- 7. ヒューマンサイエンスの教師データ作成、LLM RAGデータ構造化代行サービス
1.音声認識の仕組み (4つのステップを経て音声からテキストへ)
マイクなどの録音機器によって入力された音声データは、様々な波形が混ざった状態です。その中から人の声を特定することは私達の耳では容易ですが、機械にとっては簡単なことではありません。また、言葉に対応する波形を特定できても、それをテキストデータなどに変換しなければ、機械が正しく認識し、正しい指示を出すことはできません。また、テキスト変換の際にも同音異義語などを正しく選択する必要があります。これらを解決するために、主に4つのステップを経て音声をテキスト化していきます。それぞれのステップで使われる技術が次に紹介する音響分析、音響モデル、言語モデル、発音辞書です。
1-1.音響分析
音響分析とは、入力された音声の特徴量(周波数、音の強弱など)を分析した上で、AIで扱いやすいデータとして抽出、変換していく作業のことです。そもそもAIは、人間と同じように生の音声データから音声を認識することはできません。例えば街中で様々な騒音の中でも人間は特定の人の話し声を簡単に認識できます。しかし、音響分析前のデータではAIは様々な音が混ざった状態として認識しています。そのため、AIが人間の音声を認識できるようにデジタル化し、背景音などのノイズの除去を行う必要があります。このプロセスが音響分析です。こうして抽出された人間の音声データをもとに、AIは音声認識を進めていきます。
1-2.音響モデル
音響モデルとは、音響分析によって抽出されたデータを、AIが事前に学習したデータと照らし合わせ、音素を抽出していく作業のことです。音素とは「発話を細分化した場合に意味を持つ最小単位」であり、日本語であれば母音、子音、撥音などが音素とされます。文字に例えると「お・も・て・な・し」のそれぞれの文字というイメージです。音素抽出のための学習データは数千人、数千時間に及ぶ様々な人間の声を処理したものが用いられます。こうして、音素を抽出することによって、AIが音声をテキスト化する上で必要な情報が整います。
1-3.発音辞書
音響モデルによって発話の最小単位となる音素が決まると、その音素を正しい単語に再構成する必要があります。そのために使われるのが発音辞書です。これは音響モデルによって抽出された音素を組み合わせて、単語として構成していく際のデータベースの役割を担っています。この発音辞書を利用した音素の連結によって、初めて単語に相当する単語音響モデルを構築することができるのです。先程の音響モデルでは「お・も・て・な・し」であった音素が結合され「おもてなし」となるイメージです。こうして単語が構成されると次は言語モデルに進みます。
1-4.言語モデル
言語モデルとは、人間が話したり書いたりする「言葉」を、単語の出現確率でモデル化したものです。出現確率とは例えば「お客様をおもてなし」という発話は「お客様を表無し」ともなりえますが、確率的には低いでしょう。昨今ではニューラルネットワークによる言語モデルが広く使われています。大規模言語モデルとして2020年に登場したGPT-3では1750億のパラメータを使用しています。
これらの技術により私達の会話はAIに認識され、テキスト化、さらにはデバイスの操作に活用できるようになります。
2.AI音声認識を活用するメリット
音声認識技術を活用することには、さまざまなメリットがあります。ここでは、特に注目すべきポイントをいくつかご紹介します。
2-1.業務の効率化
音声認識技術を導入することで、業務の効率化が大幅に進みます。例えば、会議や商談の際に議事録を作成する場合、従来は録音した音声を聞きながら手作業でタイピングを行う必要がありました。しかし、音声認識技術を活用することで、音声をリアルタイムでテキスト化でき、作業時間を大幅に削減できます。これにより、社員のより効率的なリソースの配分が可能となり生産性の向上が期待できます。
2-2.入力ミスの減少
人間が手作業で入力を行う場合、ヒューマンエラーによるタイピングミスや、聞き間違いなどは避けられません。しかし、音声認識技術を利用すれば、聞き間違いや入力ミスを大幅に減少させることが可能です。もちろん、雑音や話者の声量などに注意を払う必要がありますが、人間が最終チェックを行うことで精度の高い文字起こしを実現することが可能です。結果としてデータの正確性が向上し、業務の信頼性が高まります。
2-3.ハンズフリーでの入力が可能
音声認識技術を用いることでハンズフリーでの入力が可能になります。手を使わずに音声をテキスト化できるため、他の業務を並行して行うことができ、タイピングが苦手な方や、文字起こしに時間を費やしている方にとっては、業務効率の向上が見込めます。また、体の不自由な方でも容易に情報を入力できるようになり、アクセシビリティの向上にも寄与します。
2-4.顧客体験の向上
音声認識技術は、カスタマーサービスの分野でも大いに役立ちます。例えば、コールセンターでの顧客対応において、顧客の音声をリアルタイムでテキスト化し、オペレーターに提示することで、迅速かつ的確な対応が可能になります。これにより、顧客満足度の向上が期待でき、企業のブランドイメージの向上にもつながります。
3.AI音声認識で効率化できる業務
3-1.会議の議事録作成
会議中にAI音声認識を活用することで、発言をリアルタイムでテキスト化できます。これにより、議事録作成の時間を大幅に短縮し、内容の正確性も向上します。例えば、会議用アプリケーションの自動字幕機能を利用すれば、会議終了後すぐに議事録を共有することが可能です。
3-2.カスタマーサポートの対応
コールセンターでは、AI音声認識を使って顧客の問い合わせを自動でテキスト化し、オペレーターが迅速に対応できるようにします。これにより、対応時間が短縮され、顧客満足度の向上につながります。
3-3.データ入力作業
音声認識を利用して、データ入力作業を効率化することができます。特に、医療現場やフィールドワークなど、手作業が難しい環境でのデータ入力に効果的です。医療従事者が音声で患者情報を入力する際などの活用が期待されております。
3-4.ドキュメント作成
長文のレポートやメールの作成も、音声認識を活用することでスムーズに行えます。これによりタイピングの手間を省き、アイデアを迅速に形にすることができます。文書作成ソフトの音声入力機能を使えば、文章作成がより快適になります。
3-5.翻訳業務
AI音声認識と翻訳機能を組み合わせることで、リアルタイムの翻訳が可能になり、国際会議や多言語対応が必要な場面で役立ちます。翻訳サービスの音声入力機能を使えば、異なる言語間のコミュニケーションが円滑になります。
3-6. タスク管理
音声認識を活用して、タスク管理アプリに直接タスクを追加することができます。これにより、思いついた瞬間にタスクを記録でき、忘れ防止にも役立ちます。タスク管理ツールの中には、音声でリマインドをしてくれる機能が付いたものもあります。
3-7.音声アシスタントによる業務支援
音声アシスタントを利用することで、日常業務の多くを効率化できます。スケジュール確認やメールの送信、天気情報の取得など、音声で簡単に操作が可能です。
3-8.教育現場での活用
教育現場では、音声認識を使って講義内容をテキスト化し、ノートとして学生に提供することができます。これにより、学生は講義に集中でき、復習時に役立ちます。講義の録音を文字起こしするツールなどもあり広く活用され始めています。
AI音声認識技術は、これらの業務を効率化するだけでなく、働き方そのものを変革する可能性を秘めています。導入を検討することで、業務効率を改善することができる可能性もあるため一度検討することもいいかもしれません。
>ブログ:【2026年版】主要LLMを徹底比較:ChatGPT、Perplexity、Grok、Geminiの使い分けガイド
4. AI音声認識の活用事例
AI音声認識を活用することで、サービスの拡充、業務の効率化が実現できます。今回は4つの活用事例をご紹介いたします。
4-1. 活用事例1:駅構内インフォメーションセンターの多言語対応型AIロボット導入
駅のインフォメーションセンターに、旅行客などを対象にした、多言語音声認識AIを搭載する対話型ロボットを設置することで、問い合わせや窓口対応の効率化が期待できます。
さらに、対話ログから利用者のニーズを把握してサービスを反映させることで、より利用者に求められるサービスを提供できるようになります。対話ログを分析することで顧客の声や満足度を収集・分析し、サービスに反映できる点も、音声認識AIの強みです。単なる音声ガイドの役割だけでなく、顧客満足度向上やサービス拡充に繋がるメリットが期待できます。
>>駅改札そばに設置した対話ロボット、東京都交通局の担当者が指摘する課題
4-2.活用事例2:コールセンターでの業務改善・効率化
音声認識の技術が最も導入されている分野がコールセンターです。従来、コールセンターで通話データをテキスト化する際には、人が音声データを聞いて書き起こしをしなければなりませんでした。音声認識技術の発展により、こうしたAIの自動化による書き起こしの精度は非常に高くなっています。
またコールセンターの電子マニュアルは、紙媒体にすると数千ページ分に及ぶこともあり、オペレーターがFAQを探すのに、かなりの工数がかかってしまいます。こうした課題に対して音声認識AIを導入することで業務改善とお客様満足度の向上が期待できます。
>>リアルタイム音声認識でコールセンター業務が大幅に効率化
4-3.活用事例3:会議の議事録の自動化
これまで会議の議事録は担当者がリアルタイムで記録していくか、もしくは録音された音声データを聞きながら書き起こしする必要がありました。リアルタイムでは聞き漏れ、聞き間違いなどが起こる可能性があります。また書き起こしは二度手間になりますし、内容によっては大幅に時間をとられてしまうこともあります。よりスピーディな業務が求められる中、書き起こし作業は他の業務遂行を圧迫することもあり、時間のかかるルーティーンとして担当者の生産性を低下させる一因となります。こうした課題に対して音声認識AIを導入することで業務改善が期待できます。
>>議事録作成から取材にも応用し幅広い文字起こしを効率化
運用の工夫も相まり、認識精度が90%以上にアップ
4-4.活用事例4:債権回収コールセンターにおける交渉記録作成の効率化
債権回収業務を行うコールセンターでは、顧客との会話内容を正確に記録する必要があり、交渉記録の作成に多くの時間がかかることが課題となっていました。
従来は通話後に録音音声を聞きながら手作業で書き起こしを行っており、通話時間以上の時間を要するケースもあり、オペレーターの稼働を圧迫していました。
こうした課題に対して音声認識AIを導入することで、通話内容の自動テキスト化が可能となり、後に続くプロセスの効率化が期待できます。
また、会話内容がテキストとして蓄積されることで、記録の客観性の担保や業務品質の向上にもつながります。
>>【AI音声認識 導入事例】業務効率化に成功!債権回収コールセンター・ニッテレ債権回収株式会社を取材しました。
5.AI音声認識導入のステップ
AI音声認識を効果的に活用するためには、段階的に導入を進めることが重要です。ここでは導入の流れを5つのステップに分けてご紹介します。
Step1:要件定義
まずは、どの業務に音声認識を導入するのかを明確にします。 「議事録作成の効率化」「コールセンター対応の高度化」など、目的を具体化することで最適なシステム設計が可能になります。
Step2:データ整備
音声認識の精度はデータ品質に大きく依存します。 業務特有の用語や言い回しを反映したAI学習用の音声データを整備することが重要です。
Step3:システム構築・連携
音声認識エンジンの選定と、既存システム(CRMやFAQシステムなど)との連携を行います。 リアルタイム処理かバッチ処理かなど、運用に応じた設計が求められます。
Step4:評価・チューニング
実際の業務データを用いて精度検証を行い、誤認識の傾向を分析します。 評価結果に応じて追加学習を行い、モデルのチューニングを実施して精度を改善していきます。
Step5:運用・改善
導入後も継続的にログを分析し、改善を繰り返すことが重要です。
6.まとめ
今回はAIによる音声認識の仕組みやメリット、活用事例などをご紹介いたしました。
昨今、AI音声認識の活用範囲はますます広がっています。それに伴い、AIが学習するための教師データ作成の必要性も高まっています。
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7.ヒューマンサイエンスの教師データ作成、LLM RAGデータ構造化代行サービス
教師データ作成数4,800万件の豊富な実績
ヒューマンサイエンスでは自然言語処理に始まり、医療支援、自動車、IT、製造や建築など多岐にわたる業界のAIモデル開発プロジェクトに参画しています。これまでGAFAMをはじめとする多くの企業様との直接のお取引により、総数4,800万件以上の高品質な教師データをご提供してきました。数名規模のプロジェクトからアノテーター150名体制の長期大型案件まで、業種を問わず様々な教師データ作成やデータラベリング、データの構造化に対応しています。
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