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SDGs達成のためのAI活用法5選。サステナブルなグリーンAIとは。

SDGs達成のためのAI活用法5選。サステナブルなグリーンAIとは。

2015年の国連サミットでのSDGs採択から7年、すべての企業はその活動において環境への配慮をはじめとする包括的な視点を求められる時代になりました。
この記事では環境問題への取り組みとしてAIを活用した事例を紹介するとともに、AIの開発が地球環境にもたらすネガティブな側面についても検証します。
持続可能なAI開発の方法として注目の集まるグリーンAIについても解説します。



目次

1. AIを活用した環境問題への取り組み

 

はじめにAIを活用して環境問題の改善に取り組んでいる事例を紹介します。

1-1. ケース1: 音声検知で森林伐採を監視

米国のNPOであるRainforest Connectionでは、音を検知することで違法な森林伐採を監視するシステムを提供しています。スマートフォンをマイクとして森林に設置し、クラウド上のAIによってチェーンソーや木材搬出用のトラックの音を識別、現地の携帯電話網を利用して自然保護官に連絡が届くというユニークなシステムによって、従来の監視システムよりも迅速な出動を実現しています。

>>古いスマホが活躍、違法伐採の「音」に耳を立てる

1-2. ケース2: ザトウクジラの生態把握

絶滅危惧種であるザトウクジラの保護にAIの技術が役立てられています。NOAA(米国海洋大気庁)とGoogleが開発したAIでは、環境音の中から特定の音だけを抽出することができます。この技術によって、さまざまな雑音が存在する海中の環境でもザトウクジラの声だけを抽出して記録することが可能になりました。ザトウクジラが活動する時期やエリアを正確に把握することで保護活動の前進につなげています。

>>ザトウクジラの生態把握のためAIでクジラの「声」を聴くGoogleの取り組みが進行中 – GIGAZINE

1-3. ケース3: AI天気予報で農業用水の消費量を削減

オーストラリアのスタートアップ企業The Yieldでは、AI技術を活用した高精度な天候予測サービスを提供しています。このサービスによって農家のスケジュールを効率化し、農業用水の消費量を削減することに成功しています。同時に収穫量を増大させるという成果にもつながりました。
同社は日本においてもヤマハ発動機との提携によりAIを活用したスマート農業の開発を進めています。

>>ヤマハ発動機 豪スタートアップとスマート農業で共同開発契約

1-4. ケース4: 漁船の運航スケジュールを効率化して燃料消費量を削減

同社ではカキの養殖に特化した生産高向上のためのサービスも提供しています。天候による収穫の中止や予定の変更を未然に防ぎ、スケジュールを効率化することで生産高の向上だけではなく漁船の運行に用いられる燃料の削減にも貢献しています。

>>Internet of Oysters: The Yield delivers sunnier results for Australian oyster farmers (英語)

日本でも東京大学とシャープ株式会社がAIを活用した「スマートかき養殖」の実証実験を行っています。

>>AI/IoTを活用した「スマートかき養殖」の実証実験を開始

1-5. ケース5: 衛星画像とAIで地球資源をモニタリング

地球資源のモニタリングには衛星画像とAIの導入が効果的です。広大な敷地を人間の目視だけで監視することは非常に困難です。上空からの画像をもとに、森林破壊や天然ガスの流出状況、北極域の凍土の融解をモニタリングすることで、効果的な環境保護活動を進めています。

>>地球からAIへ: スタートアップ3社がディープラーニングを使って環境をモニタリング

1-6. ケース6: 焼却炉内のゴミをAIで自動識別

ゴミを焼却した熱で発電する「ゴミ焼却発電」で原料となるゴミは、もともと大気中の二酸化炭素を吸収した木や食べ物由来のものです。焼却する際に発生する二酸化炭素は大気中に戻りますが、総量という点では変わらないカーボンニュートラルな発電方法です。ゴミ焼却発電の課題は、燃料となるゴミが均一に混ざっていないため起こる不安定な焼却によるエネルギー回収率の低下です。この課題を解決するために、ゴミを均一化するための攪拌が必要でしたが、従来は作業員の経験に頼っていました。攪拌する装置にゴミを識別するAIを導入することで、より効率的な撹拌が行えます。さらに、燃焼の際の制御にもAIを導入することで、よりエネルギーの回収率も高まります。

>>AIでごみ焼却発電の効率を向上させる

1-7. ケース7: AI渋滞予測モデル

渋滞時のCO2排出量は通常時の約2倍に達することがわかっています。渋滞予測モデルを用いることで、渋滞を事前に抑えることができれば、CO2排出も削減できます。予測モデルは各社開発が進んでおり、例えば、ジオテクノロジーズ株式会社では一般道でも5分単位での予測が可能なモデル開発に成功しています。活用が進めば、渋滞回避によるCO2排出量削減も期待できます。

>>一般道でも5分単位で予測ができる「AI渋滞予測モデル」開発に成功

2. AIの開発が引き起こすエネルギー消費の問題

 

ここからはAIの開発が環境にもたらすネガティブな側面にフォーカスします。

2-1. AI開発と環境負荷の関係

AI開発の背景には、機械学習やディープラーニングといった工程や手法が存在します。AIの開発による環境負荷の問題とは、これらのプロセスに起因するものです。より高精度なAIを実現するためには大量のデータを処理して機械学習を行う必要があります。多量のプロセッサを稼働するための電力と、それらを冷却するための電力の使用量が増大します。これまでAIを導入していなかった企業がAIを導入すれば、その企業の電力使用量は増大します。結果的にAIの開発や導入にはCO2排出量の増大がついて回ります。

2-2.AIの育成にかかるCO2排出量は自動車の5倍

2019年、米国マサチューセッツ大学で、あるAI開発についての環境影響評価(LCA)が実施されました。Transformer(トランスフォーマー)と呼ばれるこの自然言語処理の深層学習モデルのトレーニングでは 2億を超えるパラメータが利用され、その工程が生み出すCO2排出量は自動車1台が新車から廃車となるまでに排出する量の約5倍、ニューヨークとサンフランシスコ間の往復フライトと比較すると300倍に相当するという結果になりました。AIの開発にかかるエネルギーの増大は無視できないレベルの課題として浮上しています。

出典:MIT Technology Review 2019 “Training a single AI model can emit as much carbon as five cars in their lifetimes” より筆者作成。

2-3.生成AIとCO2の排出量

ChatGPTに代表される生成系AIが爆発的な勢いで普及しています。生成系AI開発には大規模サーバーが必要ですが、それらを収容するデータセンターが大量の電力を消費していることが2023年4月に米スタンフォード大学の報告書で明らかとなりました。
報告書によれば、 GPT-3が一年間で排出する CO₂の量は502トンで、これはニューヨークとサンフランシスコ間を飛行機が往復した場合の乗客1人あたりのCO₂排出量0.99トンと比較すると、実に約507倍になります。
また、開発には電力だけでなくサーバー冷却のための水も大量に消費されることがわかっています。一人のユーザーがGPT-3に25から50個の質問をすると、ペットボトルおよそ一本分の水が消費されるとの推計もあります。 このように、AIが進歩し普及すればするほど、環境に対する負荷も比例して高くなるというデメリットがあります。

>>Chat GPTが温暖化を加速させる

3. グリーンAIでサステナブルなAI開発を

3-1. グリーンAIとは

AIが発展する背景には環境負荷の増大が存在します。その一方でAIが環境問題への取り組みとして効果を上げていることも事実です。この相反する状況を改善するための方法として注目を集めているのがグリーンAIです。

 

グリーンAIとは、AIを可能な限り省エネルギーで運用するための研究、手法あるいはそのやり方によって開発されたAIそのもののことを指します。これはAIの品質や精度の点で妥協することとは異なり、包括的な視点から持続可能なAI開発を目指す考え方のことを意味します。
例として以下のような取り組みが挙げられます。

 

・データセンターを設置する際に再生可能エネルギーの供給を受けやすい立地を選択する。
・パブリッククラウドを利用する場合は再生可能エネルギーを積極的に利用する業者を選択する。
・AIの処理や開発においては、より効率的なアルゴリズムを追求してプロセッサの負荷を軽減する。

3-2. レッドAIとは

グリーンAIとは対照的に、包括的な視点を持たずに精度向上だけを追求するAI開発はレッドAIと呼ばれます。コンピュータの処理能力の限界を押し上げるように最大限のエネルギーを注ぎ込む手法です。SDGsの視点からは運用前の見直しが求められます。

3-3. クラウドを利用するだけでカーボンニュートラルに貢献

パブリッククラウドのデータセンターは、すでに再生可能エネルギーでの電力供給や廃棄物の削減を運用方針として公表しています。これらのデータセンターを選択することは、そのままSDGsの達成に貢献することにつながります。

 

マイクロソフトは同社が運営するAzureデータセンターを利用することで、オンプレミスでの運用と比較して最大98%カーボンを削減できるとアナウンスしています。

>>マイクロソフト、CO2排出量に関連するデータ基盤を上半期に提供

 

国内企業のデータセンターにおいても各社がカーボンニュートラルの実現に向けた具体的な目標を掲げています。

>>待ったなし データセンター脱炭素

 

これからのAI開発では、リリースする製品の機能や精度だけではなく開発工程でのSDGsへの配慮が求められます。AIの発展とSDGs達成を両立するために、作業効率の見直しやデータセンターの選択など、できることから始めてみましょう。

4. AI活用のご相談はヒューマンサイエンスへ

4-1.教師データ作成数4,800万件の豊富な実績

ヒューマンサイエンスでは自然言語処理、医療支援、自動車、IT、製造や建築など多岐にわたる業界のAIモデル開発プロジェクトに参画しています。これまでGAFAMをはじめとする多くの企業様との直接のお取引により、総数4,800万件以上の高品質な教師データをご提供してきました。数名規模のプロジェクトからアノテータ150名の長期大型案件まで、業種を問わずさまざまなアノテーションのプロジェクトにご対応しています。 AIモデルを導入したいけれど何から取り組んだらよいのかわからないという企業様も、ぜひ当社にご相談ください。

>>ヒューマンサイエンスのアノテーションサービス

4-2.クラウドソーシングを利用しないリソース管理

ヒューマンサイエンスではクラウドソーシングは利用せず、当社が直接契約した作業担当者でプロジェクトを進行します。各メンバーの実務経験や、これまでの参加プロジェクトでの評価をしっかりと把握した上で、最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを編成しています。

4-3.最新のアノテーションツールを活用

ヒューマンサイエンスが導入しているアノテーションツールの一つAnnoFabでは、プロジェクトの進行中にもクラウド上でお客様から進捗確認やフィードバックをいただくことが可能です。作業データはローカルのマシンに保存できない仕様とすることで、セキュリティにも配慮しています。

4-4. 自社内にセキュリティルームを完備

ヒューマンサイエンスでは新宿オフィス内に ISMSの基準をクリアしたセキュリティルームを完備しています。守秘性の高いプロジェクトであってもオンサイトでご対応します。当社ではどのプロジェクトでも機密性の確保は非常に重要と捉えています。作業担当者にはセキュリティ教育を継続して実施し、リモートのプロジェクトであっても情報やデータの取り扱いには細心の注意を払っています。



 

 

 

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