AI×IoTの活用事例4選。IoT市場の2023年はどうなる？

1. IoTとは

1-1. IoTとは何か

IoT（アイオーティー）とは ”Internet of Things” の略称です。日本語では「モノのインターネット」と訳されます。2000年前後までインターネットはパソコンから接続して利用するものでした。その後の通信技術の進化により、携帯電話やスマートフォン、タブレットなどのモバイル端末からもインターネットに接続することが一般的になりました。さらにデジタル化が進んだ現在では、スマートスピーカーや家電製品、フィットネス器具などの「モノ」をインターネットに接続する技術が注目を集めています。このような「モノ」をインターネットに接続する技術がIoTと呼ばれるものです。

1-2. IoTの仕組み

IoTを搭載したモノはIoTデバイスと呼ばれます。IoTデバイスにはセンサーやカメラ、マイク、無線通信などが搭載されており、モノの状態や動きを感知してデータを取得することができます。取得した情報をインターネットを介して人や他のモノに伝送することがIoTの基本的な仕組みです。IoTとは、モノをインターネットにつなぐことで膨大な量の情報収集を実現する方法であるとも言えます。

2. IoTとAIの相乗効果

2-1. AIとは

IoTと混同されることもあるAIについてその役割を改めて整理します。AIとは ”Artificial Intelligence” の略称です。日本語では「人工知能」と訳されます。データを解析する頭脳としての機能を持つもので、与えられたタスクに対してAI自身が判断を行うことが特徴です。

2-2.意外と長いAIの歴史

実はAIと呼ばれるものには明確な定義はありません。現在のスマートフォンやスマートスピーカーに搭載されているSiriやAlexaなどのAIアシスタントは代表的なAIの例ですが、一方で1970年代から存在していたような、コンピュータと対戦できるゲームなどもAIと呼ぶことができます。AIはIoTとは異なり、その意味付けにおいて必ずしもインターネットとは関連しません。AIとは、データを解析して判断を行うという役割を担うもののことであるとも言えます。

2-3.AI開発でIoTが果たす役割

IoTとAIの相性は抜群です。IoTが情報を収集するのに対して、AIは情報を分析することができます。両者を組み合わせることで、IoTが収集したデータをAIが分析して有効活用することができます。

 

AIが開発される工程でのIoTの役割をみてみましょう。

AIが開発されるまでには機械学習という工程があります。AIは機械学習のプロセスで教師データと呼ばれる訓練用のデータを繰り返し読み込んで、そこから特徴や規則性を覚えることで精度が向上します。その教師データの素材となるのがIoTによって収集されたビッグデータです。機械学習で効果を上げるには、できるだけたくさんの教師データを用意することが原則です。AIの開発でIoTによるデータの収集が担う役割は非常に大きなものとなっています。

 

機械学習と教師データについての記事はこちら
>>教師データとは？AI・機械学習・アノテーションとの関係から作り方まで解説。

2-4.IoTとAIの組み合わせが生む相乗効果

AIの精度向上の恩恵は、そのまま消費者が持つIoTデバイスに還元されます。IoTとAIを組み合わせることで消費者はより高精度なAIを利用できると同時に、開発者は大量のデータをスムーズに収集できるという、両者にとっての好循環が生まれます。

3. IoTとAIを組み合わせた活用事例

実際のIoT/AIの活用事例を紹介します。

3-1. IoTカメラで在宅医療支援

在宅療養者の見守りにIoTが活用されています。療養者の自宅にAIでしか見ることのできないIoTカメラを設置して、転倒していないか、長時間動かない状態が続いていないかをモニタリングします。療養者のプライバシーへの配慮として、画像の解析はAIが異常を検知した後に家族の了解を得てから行われます。対象者がスマートウォッチを装着して自宅からナースコールを押すことやバイタルチェックを行うことも可能です。

>>スマートホームメディカルケア | 在宅医療支援サービス

3-2. IoTタグで紛失防止

鍵や財布など紛失を防止したいものに、小型のIoTタグを取り付けてユーザーのスマートフォンと連携させます。このIoTタグにはBluetoothを利用したビーコン（Beacon）と呼ばれるIoT技術が搭載されており、位置情報を特定する機能があります。スマートフォンを持ったユーザーが対象物から離れるとビーコンの電波が届かなくなることによってスマートフォンに通知が届きます。対象物を落としてそのまま去ろうとしたときなどに通知を見て落とした場所まですぐに戻ることができます。AppleがリリースしているAirTagもこのビーコンの技術を利用したIoTデバイスのひとつです。

>>Appleの落とし物トラッカー「AirTag」を郵送して追跡してみた結果はこんな感じ

3-3. IoT端末で店舗型マーケティング

同じくビーコンを利用した活用例です。まず店舗に固定型のビーコン機器を設置します。顧客にはあらかじめビーコンと連携するモバイルアプリをスマートフォンなどにインストールしてもらいます。来店してビーコンの電波を受信できる状態になった顧客はクーポンなどのノベルティをその場で受け取ることができます。顧客の店舗内での行動を把握することで、より精度の高いマーケティングにつなげます。

>>いま注目のIoT技術「ビーコン」を、小売業界が活用する方法とは？

3-4. IoTドライブレコーダーによる安全運転支援

IoTを搭載したドライブレコーダーでは、撮影した映像に含まれる情報がインターネットを介してシステムに伝送されます。それによりAIが危険を検知してすぐに運転者に知らせることができます。今後コネクテッドカーのようにIoT化された自動車が普及すると、より精度の高い渋滞予測サービスなどが提供されることも期待できます。

>>IoTでトラック運転事故を減らす！日立が新システム10万台導入へ

4. 今後のIoT市場の成長分野は？

 

現在のIoTデバイスの普及状況と、今後の成長分野を検証します。

4-1. IoTデバイスの普及状況

これは世界のIoTデバイスの台数を分野別に集計したデータです。

出典：2021 総務省 情報通信白書より筆者作成

 

もっとも普及が進んでいるのはスマートフォンをはじめとするモバイル機器を擁する通信分野です。この分野のIoT市場はすでに成熟していると言えるでしょう。次いでスマート工場やスマートシティなどの都市インフラや物流、小売業を擁する産業用途、家電やフィットネス器具、スマートスピーカーを擁するコンシューマ分野で普及が進んでいます。

4-2. これからのIoT市場の成長予想

今後のIoT市場で成長が予想される分野は何でしょうか。
これは2023年までのIoTデバイス台数の年平均成長率を予想したデータです。

 

出典：2021 総務省 情報通信白書より筆者作成

 

最も高い成長率が予想されるのは医療分野です。人口全体の高齢化と関連した需要の伸びが予想されます。すでに普及の進むコンシューマ分野や産業用途でも引き続き高い成長率が予想されます。自動運転やコネクテッドカーを擁する自動車・宇宙航空分野がそれに続きます。反対にすでに市場が成熟した通信分野は1.7%、コンピュータ分野は1.1%の減少と、低成長が予想されています。

4-3. 5Gで期待されるIoTのさらなる普及

第5世代の移動通信システムである5Gの商用サービスが日本でも2020年から開始されました。その最大伝送速度は従来の4Gと比較して100倍（理論値）とも言われており、さまざまなIoTデバイスを同時にインターネットに接続しても安定した通信を行うことが可能になっています。通信環境の進化により、IoTの市場拡大はこれからも加速していくと考えられています。

5. AI×IoTのご相談はヒューマンサイエンスへ

5-1. 教師データ作成数4,800万件の実績

「AIを導入したいけれど何から取り組んだらよいのかわからない」
「外注するにも何を依頼すればよいのかわからない」
そんなときはぜひヒューマンサイエンスにご相談ください。ヒューマンサイエンスでは自然言語処理、医療支援、自動車、IT、製造や建築など多岐にわたる業界のAI開発プロジェクトに参画しています。これまでGAFAMをはじめとする多くの企業様との直接のお取引により、総数4,800万件以上の高品質な教師データをご提供してきました。数名規模のプロジェクトからアノテーター150名の長期大型案件まで、業種を問わずさまざまなアノテーションのプロジェクトにご対応します。
>>ヒューマンサイエンスのアノテーションサービス

5-2. クラウドソーシングを利用しないリソース管理

ヒューマンサイエンスではクラウドソーシングは利用せず、当社が直接契約した作業担当者でプロジェクトを進行します。各メンバーの実務経験や、これまでの参加プロジェクトでの評価をしっかりと把握した上で、最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを編成しています。

5-3. 最新のアノテーションツールを活用

ヒューマンサイエンスが導入しているアノテーションツールの一つAnnoFabでは、プロジェクトの進行中にもクラウド上でお客様から進捗確認やフィードバックをいただくことが可能です。作業データはローカルのマシンに保存できない仕様とすることで、セキュリティにも配慮しています。

5-4. 自社内にセキュリティルームを完備

ヒューマンサイエンスでは新宿オフィス内に ISMSの基準をクリアしたセキュリティルームを完備しています。守秘性の高いプロジェクトであってもオンサイトでご対応します。当社ではどのプロジェクトでも機密性の確保は非常に重要と捉えています。作業担当者にはセキュリティ教育を継続して実施し、リモートのプロジェクトであっても情報やデータの取り扱いには細心の注意を払っています。