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医療系AIのアノテーションにおける課題と解決〜ノウハウを持つ外注ベンダーの活用〜

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2024.10.7

医療系AIのアノテーションにおける課題と解決〜ノウハウを持つ外注ベンダーの活用〜



ディープラーニングによってAIによる画像の物体検出技術は目覚ましく進化しました。特定のタスクで高精度の識別を可能とする「識別系AI」は、車や人など比較的識別しやすいタスクはもちろん、マグロの尾の切断面からその品質を判定するなどの「職人の眼」を必要とする識別タスクまで幅広い領域で導入されています。この流れの中で、高い専門性と経験が必要とされる医療系においても「識別系AI」の開発が進んでいます。医療診断や手術・治療の際に、経験豊富な「医師の眼」をAIによって補うことができ、医師の負担を減らすとともに、診断精度の向上・医療過誤の防止・遠隔医療の補助など様々な利活用が期待できます。


今回は識別系AIの開発で多くの場合必要になるアノテーション作業について、医療業界ならではの課題にフォーカスしながら、その課題を解決する一つの方法としての外注ベンダー活用についてご説明いたします。

目次

1. アノテーション作業とは

内視鏡やCTスキャンなどの医療画像に基づいて医師が病気の診断を行う際、AIが診断を補うことで、病変の見逃しなどの医療過誤を防ぐことが期待できます。こうしたAIを開発するためには、AIに学習をさせるための教師データ作成が必要です。このデータを作成する作業がアノテーションです。

画像アノテーションでは専用ツールなどを使って画像の中にある病変部位や体組織(オブジェクトやターゲットと呼ばれます)に印をつける作業となります。バウンディングボックスと呼ばれる四角形でオブジェクトを囲む場合や、セグメンテーションと呼ばれる、オブジェクトの輪郭をなぞるアノテーションが一般的な方法です。こうしたアノテーションを大量の画像(数千〜数万画像)に行います。

2. 医療系アノテーション作業の課題

医療系AI開発を行う場合、大きく、病院や大学などの医療機関が主体で行う場合と、AI開発を行う医療系メーカーなど企業主体で行う場合とに大きく分けられるかと思いますが、アノテーション作業に関しての共通、個別の課題をそれぞれ見ていきましょう。

専門性が求められるアノテーション作業

共通の課題としてまずあげられるのが、アノテーション作業の専門性からくる作業者確保の難しさでしょう。

アノテーションでは先に述べたオブジェクトを正確に発見・識別できる作業者が必要となります。車や人など一般的な物体のアノテーションでは、車の識別は一般的な人であれば可能なため作業者の確保は比較的容易ですが、医療関係の画像ではそうはいきません。なぜなら、アノテーターには病変部位や体組織を正しく見極める能力が求められ、それは誰にでも容易にできるわけではないからです。

とはいえ、医師にアノテーション作業を依頼することも簡単ではありません。先に述べた通りアノテーションは大量の画像に対して行う必要があります。場合によって1日に数時間、期間にして数週間から数ヶ月といったまとまった時間をアノテーション作業に割当てる必要があり、医師が本来の業務に加えてこれを行うことは、本来の業務時間外に行う、もしくは業務時間の一部を割り当てることになり、簡単に行えることではありません。さらに、医師が自ら作業を行うと一般の作業者に比べてコストが高くなってしまいます。

また、仮に医師のアノテーション作業が可能となったとしても、品質や進捗状況を管理するためのマネジメントも行わなければなりません。マネジメントのために専任のPMを置くことが望ましいですが、医療機関が自ら行う場合、医師がマネジメントすることになると本来の業務を圧迫することになり、やはりコストがかかってしまいます。

医療機関と提携する難しさ

医療系メーカーなどがAI開発を行う際は、医療機関と提携を結ぶ場合が多くあるかと思われます。医療現場と連携を強化することで、メーカー企業単体では得ることが難しい医師の視点に立った意見や知識を取り入れることができます。また、オープンデータではない医療画像などを入手する場合も医療機関と提携する必要が出てきます。高度な専門性や判断を求められる作業では、専門家である医師の監修やチェックなどのお墨付きを得ることも欠かせません

とはいえ、提携を結ぶ際には契約にまつわる事前の取り決めなど、膨大で煩雑な手続きに時間がかかることも想像に難くありません。提携を結んだとしても、やはり一筋縄ではいかないことが多く起こりがちです。医療系メーカーと医療機関という二つの異なる組織では、当然組織文化や仕事の進め方も異なりますから、思うように事が進まないこともあるでしょう。

例えば、教師データ制作(用件定義〜データ完成)の一連のプロセスの中で、どのように医師に関与してもらうかを考えてみましょう。医師の本業の合間という時間的制約もありますし、医師をメーカーの指揮・管理下には置くことは難しいため、さまざまな調整が必要になります。また開発案件毎に求められる専門性や難易度も異なるため、医師にどの程度作業プロセスに関与してもらうかは、結局、開発案件毎に手探りになってしまいます。

弊社にご相談いただく医療系メーカー様からも、こうした提携についての悩みをご相談いただくこともしばしばあります。

3. アノテーションを外注化することのメリット

AI開発を行う医療機関や医療系メーカーでアノテーションを内製しようとしても難しい状況であることがお分かりいただけたでしょうか。とはいえ、医療系AIの開発のニーズはこれまで以上に高まっています。それに伴いアノテーションもスピードを持って進めていく必要があります。そこで、医療系に強いベンダーに外注するのも一つの方法です。医療系アノテーションを外注化することは難しい、という考えもあるかとは思いますが、外注化によって得られるメリットや実現性をご説明いたします。


●一般の作業者でコスト削減

特に医療系などの難易度、専門性が高い分野のアノテーションに数多くの実績やノウハウがあるベンダーに依頼することが前提にはなりますが、腫瘍や出血といった病変部位などの識別といったものでも、作業難度(病変部位の識別が比較的容易であるなど)によっては、医師でなくともアノテーション作業が可能な場合もあります。こうしたアノテーションであれば、実際に作業を行いながら、医師や有識者からのフィードバックを重ねることでノウハウを吸収し、スキルトランスファーを適切に行うことで一般の作業者によるアノテーションも可能となります。

もしアノテーション作業からチェック・受入まで全プロセスを一般の作業者で完結させることが心配であれば、医師監修という方法もあります。例えば、アノテーション業務は一般の作業者が行い、チェック作業などを医師が行うといった方法です。この方法であれば、医師の本来の業務をさほど圧迫することなく、かつ高品質のアノテーションが期待できます。

一般の作業者で行うことができれば、医師による作業、内製化に比べて圧倒的にコストを抑えることが可能です。これがアノテーション作業を外注化する際の大きなメリットの一つと言えます。


●専任のPMによるマネジメント

必要な作業者を集めアサインするといったアノテーションチーム体制の構築や、作業の際の質疑対応などのコミュニケーション管理、品質や進捗管理などのアノテーション全般のマネジメント業務をアノテーションプロジェクトの経験豊富なPMに任せることができるのもメリットです。これにより医師や開発エンジニアによるマネジメントの必要がなくなり、マネジメントコストを抑えることが可能です。

4. アノテーションベンダーに相談する際には

アノテーションを専門としている外注ベンダーに相談する際には、次のことについて考慮しましょう。

●目的とするアノテーションに経験がある

ほとんどのアノテーションベンダーが画像アノテーションについて経験があるでしょう。ですが、医療系画像については場合によってはあまり経験のないベンダーもあるかもしれません。経験のあるアノテーションベンダーであれば、目的とするアノテーションに対応できるマネジメントやリソース体制を持っていることが期待できます。

●医師監修など医師が関わるアノテーション作業が可能

医師の監修もしくは医師の手によるアノテーションを必要とする場合もあるでしょう。ベンダーに相談する場合は、そうした要望に対応できる医師のリソースを持っている、もしくは体制を構築できるかどうかを確認しましょう。

●オンサイト作業などで高セキュリティ要件に対応できる

医療系データの多くは匿名加工情報などでデータの取り扱いに高いセキュリティ要件が求められるため、クラウドワーカーを確保して作業を進めるベンダーの場合ですと、必然的にリモートワークになり、ネットワーク経由やクラウド環境での作業者とのデータ共有やデータ保管がNG、クローズド環境で作業を行う必要がある、外部にデータを持ち出せない、などといった高セキュリティ要件の作業には対応できない場合があります。専用のセキュリティルームを持っている、指定場所でのオンサイト作業にも対応しているといったセキュリティ要件に対応できるベンダーであるかどうかを確認しましょう。

5. ヒューマンサイエンスの医療系アノテーションサービス

弊社では医療系のアノテーションにさまざまな課題があることや、お客様からいただくご相談や昨今の医療系AI開発のニーズの高まりを通して実感しております。そこで弊社のこれまでの経験を活かして、医療系アノテーションサービスの強化を実施いたしました。

●医療系画像の豊富なアノテーション経験

弊社では手術画像やMRI画像など、スキルトランスファーが必要とされる難易度や専門性の高い医療系画像アノテーションに多くの経験がございます。医療系画像アノテーションプロジェクトの経験豊富なPMに加え、作業経験者も多く、難易度や専門性が高く、スキルトランスファーが必要な案件であっても高品質のアノテーションを実現いたします。

●医師監修や医師によるアノテーションへの対応

一般の作業者だけで全ての作業を行うのは、やはり心配な場合もあるでしょう。そうした場合に一部チェック作業などで医師の監修をつけるなどのご要望もいただきます。こうしたご要望に応えるべく医師の監修体制もさらに強化しており、より難易度の高いアノテーションにも対応可能です。また、一般の作業者ではなく医師によるアノテーションをご要望の場合でも、リソース確保から品質・進捗管理までPMが伴走して万全のマネジメントサービスをご提供いたします。

●クラウドソーシングを利用しないリソース管理

ヒューマンサイエンスではクラウドソーシングは利用せず、当社が直接契約した作業担当者でプロジェクトを進行します。各メンバーの実務経験や、これまでの参加プロジェクトでの評価をしっかりと把握した上で、最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを編成しています。

●自社内にセキュリティルームを完備

ヒューマンサイエンスでは、新宿オフィス内にISMSの基準をクリアしたセキュリティルームを完備しています。そのため、医療系などの守秘性の高いデータを扱うプロジェクトであってもセキュリティを担保することが可能です。当社ではどのプロジェクトでも機密性の確保は非常に重要と捉えています。リモートのプロジェクトであっても、ハード面の対策のみならず、作業担当者にはセキュリティ教育を継続して実施するなど、当社の情報セキュリティ管理体制はお客様より高いご評価をいただいております。

●アノテーションのみならず生成系AI LLMデータセット作成・構造化にも対応

データ整理ためのラベリングや識別系AIのアノテーションのみでなく、生成系AI・LLM RAG構築のためのドキュメントデータの構造化にも対応します。創業当初から主な事業・サービスとしてマニュアル制作を行い、様々なドキュメントの構造を熟知している当社ならではのノウハウを活かした最適なソリューションを提供いたします。

 

 

 

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