業務改善や効率化のための方法として、AIと並んでよく目にする言葉がRPAです。
この記事では
「RPAって何?」
「AIと何が違うのかわからない」
「どんな使い方があるのかわからない」
という方に向けて、RPAの基本的な活用法やAIとの違いを解説します。RPAとAIを連携させた活用事例も紹介します。
- 目次
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- 1. RPAとAIの違い
- 1-1. RPAとは
- 1-2. AIとは
- 1-3. RPAとAIの違い
- 1-4. RPAが注目される背景
- 1-5. RPA導入によるメリット
- 2. RPAツールの種類
- 2-1. デスクトップ型(オンプレミス)
- 2-2. サーバー型(オンプレミス)
- 2-3. クラウド型
- 3. RPAの活用法
- 3-1. データやテキストの入力・転記
- 3-2. 情報の比較・照合
- 3-3. モニタリング
- 4. RPAの3つのクラス
- 4-1. クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
- 4-2. クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
- 4-3. クラス3:CA(Cognitive Automation)
- 5. 今後の進化
- 5-1.おすすめツール
- 6. RPAとAIを連携させた活用事例
- 6-1. 自治体での紙資料のデータ化
- 6-2. AIによる判断とRPAによる定型作業の組み合わせ
- 7. AI活用のご相談はヒューマンサイエンスへ
- 7-1. 教師データ作成数4,800万件の実績
- 7-2. クラウドソーシングを利用しないリソース管理
- 7-3. 最新のアノテーションツールを活用
- 7-4. 自社内にセキュリティルームを完備
1. RPAとAIの違い
RPAとAIそれぞれの概要から違いを見ていきます。
1-1. RPAとは
RPAとは、Robotic Process Automationの略です。ロボットによる業務の自動化を意味します。ここで言う業務とは、コンピュータ上で行うデータの入力や転記、ファイルの複製や移動といった定型業務のことです。人間と同じ操作をロボットが画面上で実行します。RPAを動かすには、最初に人間がロボットに行わせたい作業を指定してRPAに記録させる作業が必要です。
1-2. AIとは
AIとは、Artificial Intelligenceの略です。人工知能そのものを指します。与えられたタスクに対してAI自身が判断を行うことができます。AIを動かすには事前の機械学習が必要です。教師データと呼ばれる訓練用のデータを与えることで、AIがそこから特徴や規則性を見出して判断力を身に付けることができます。
1-3. RPAとAIの違い
RPAとAIの決定的な違いは、システム自身が判断を行えるかどうかです。RPAは人間が指定したことだけをその通りに実行します。それ以上のことはできません。一方AIは事前の学習に基づき、AI自身の判断でタスクを実行することができます。
AIの機械学習と教師データについてはこちらの記事も参考にしてください。
>>教師データとは?AI・機械学習・アノテーションとの関係から作り方まで解説。
1-4. RPAが注目される背景
RPAが注目されている理由は「人材不足の解消」と「業務効率化」があげられます。日本は少子高齢化が進んでおり、さまざまな業種で労働人口の減少が社会問題となっています。とくにIT業界の人材不足は深刻です。
2019年3月に経済産業省が発表した「IT人材需給に関する調査」によると、2030年までに最大約79万人ものIT人材が不足するといわれています。RPAに業務の一部を担わせることで、人材の有効活用が意識されるようになりました。慢性的な人材不足の解消と業務効率化を実現できるツールとして、RPAが注目を浴びているのです。
1-5. RPA導入によるメリット
RPAは人の手で行ってきた業務を任せることができるため、導入により業務の効率化を図れるメリットがあります。多くのRPAはドラッグ・アンド・ドロップなどの操作で設定できるため、高度なプログラミング知識は不要です。この導入のしやすさが人材育成において、課題とされる育成時間を大きく削減できると考えられています。
さらに既存業務の自動化によって浮いた時間を活用できることで、営業や企画などクリエイティブな業務に時間を割くことが可能になります。RPAは機械的な作業の自動化に向いていますが、近年ではAIを備えたものも登場しています。
2. RPAツールの種類
RPAを導入するためのツールは大きく分けて3種類あります。
2-1. デスクトップ型(オンプレミス)
RPAを利用したいマシンそれぞれにツールをインストールする方法です。まずは初期費用をおさえて小さくスタートしたい場合に向いています。
2-2.サーバー型(オンプレミス)
オンプレミスでサーバーと利用マシンにRPAツールをインストールする方法です。サーバー側で各マシンのツールを管理することができます。大規模な運用も可能です。
2-3.クラウド型
提供元のサーバーにインストールされたRPAのシステムをオンラインで利用する方法です。コストを抑えながらリモートでの運用にも対応できます。
3. RPAの活用法
RPAにできるのは単純作業や定型業務です。決まったルールに従って処理する業務や反復作業がRPAの得意分野になります。代表的な活用法を紹介します。
3-1. データやテキストの入力・転記
ブラウザやスプレッドシートなどでデータやテキストを自動入力することができます。ブラウザからスプレッドシートにデータを転記するなど、ツールを横断することも可能です。転記ミスの心配がなく高速な処理が可能です。
例:問い合わせフォームの内容をスプレッドシートに転記する。
3-2. 情報の比較・照合
複数のアプリケーションから情報を収集して、内容を比較、照合することができます。以下のような例があります。
例:情報を集約したレポートを定期的に自動作成する。
3-3. モニタリング
システムなどの状態を定点観測することができます。人間によるチェック業務を軽減するとともに、異常発生時の迅速な対応につながります。
例:システムのデータを監視して、通常と違う動きがあった場合に担当者にメールを送信する。
4. RPAの3つのクラス
RPAには3つのクラスがあります。
4-1. クラス1:RPA(Robotic Process Automation)
上記で解説した従来型のRPAがこのクラス1にあたります。定型業務の自動化に対応しています。例外的な状況に対応することは困難です。
4-2. クラス2:EPA(Enhanced Process Automation)
AIと連携することである程度までの非定型業務にも対応します。一部の例外的な状況にも対応することができます。
4-3. クラス3:CA(Cognitive Automation)
より高いレベルの自動化です。高度なAIとの連携により、データを分析してタスクに合った作業フローをロボット自身が構築することも可能になります。
5. RPA導入による今後の進化
請求書や顧客リストの作成など、情報をただ転記するような機械的な作業はRPAに任せることが可能です。今後はRPAの種類も増えて、活用の幅も広がるでしょう。RPA導入後は人件費が大幅に削減され、人件費に充てていたコストや時間を、前段でも述べたように、自動化できないクリエイティブな活動に充てることができます。
ただし、手書きの画像からテキストを読み取るといった作業はRPAには難しく、自動化をするにはAI技術の介入が必要です。今後はAI(人工知能)を搭載したRPAが普及するといわれています。AI技術の併用により、従来のRPAでは対応が難しかった業務も自動化されていくでしょう。
5-1. RPAのおすすめツール
RPAを業務に活用するにあたり、おすすめのRPAツールをご紹介します。
1.Automation 360|オートメーション・エニウェア(日立ソリューションズ)
「Automation 360」はオートメーション・エニウェアが提供、日立ソリューションズが販売、ユーザー技術サポートを行っている最新のRPAプラットフォームです。クラウド型とオンプレミス型があり、どちらもブラウザで利用できるため自社環境を大きく変えることなく導入できるのが魅力です。
Microsoft AzureやGoogle Cloudなどとホスティングが認定されており、企業の成長に合わせた拡張性を備えています。システムにはAI技術が盛り込まれており、使用者のスキルレベルを問わず業務の自動化を実現することが可能です。
学習サービス「Automation Anywhere University」が展開されており、開発、操作などについて、さまざまな動画コンテンツで学ぶことが可能です。
>>RPA業務自動化ソリューション Automation 360
WinActor|NTTビジネスソリューションズ
「WinActor」はNTTアドバンステクノロジーが提供するRPAソリューションです。NTTグループで開発された純国産RPAツールとして注目を浴びています。
ドラッグ・アンド・ドロップによる操作で自動化実現に向けたシナリオを作成することが可能です。メールやブラウザ、Microsoft Office製品などWindows端末から操作可能なあらゆるソフトに対応しているため、業務効率化を実現できます。
レポート作成やWeb調査、連絡、転記作業など、職種や部署を問わず、あらゆる業務の自動化に活用が可能です。
6. RPAとAIを連携させた活用事例
RPAとAIのそれぞれの得意分野を組み合わせることで、単体で導入するよりも大きな業務効率化を実現できます。実際にAIとRPAを組み合わせた活用事例を紹介します。
6-1. 自治体での紙資料のデータ化
ある自治体では紙資料の内容をシステムに登録する際、これまでは職員の目視確認と手入力によって処理していました。税申告や転入届などの申請が集中する時期には職員がその作業にかかりきりになってしまうため、自動化による業務改善効果を検証することになりました。
・自動化の方法
AI OCRによってテキスト情報の読み取りを自動化します。書類をスキャンした画像からAI OCRによってテキスト領域を抽出し、手書き文字も含めてその内容をコンピュータ上で利用できるデータに変換します。その後RPAによってシステムへの転記と登録が自動で行われます。
・効果
検証の結果、この自動化によって年間1,400時間の工数削減が見込めることがわかりました。
>>AI-OCR、RPAを活用した業務自動化の検証を行いました
6-2. AIによる判断とRPAによる定型作業の組み合わせ
この事例で導入されたAI OCRでは、判読の難しい手書き文字でもAIが内容を予測して判断することができます。前後の文字や事前に学習したデータがその判断基準になります。こうしたAIならではの予測や判断を伴う作業に、RPAの高速な自動入力作業を組み合わせることで大幅な業務効率化が望めることになりました。
7. AI活用のご相談はヒューマンサイエンスへ
7-1. 教師データ作成数4,800万件の実績
「AIを導入したいけれど何から取り組んだらよいのかわからない」
「外注するにも何を依頼すればよいのかわからない」
そんなときはぜひヒューマンサイエンスにご相談ください。ヒューマンサイエンスでは自然言語処理、医療支援、自動車、IT、製造や建築など多岐にわたる業界のAI開発プロジェクトに参画しています。これまでGAFAMをはじめとする多くの企業様との直接のお取引により、総数4,800万件以上の高品質な教師データをご提供してきました。数名規模のプロジェクトからアノテーター150名の長期大型案件まで、業種を問わずさまざまなアノテーションのプロジェクトにご対応します。
>>ヒューマンサイエンスのアノテーションサービス
7-2. クラウドソーシングを利用しないリソース管理
ヒューマンサイエンスではクラウドソーシングは利用せず、当社が直接契約した作業担当者でプロジェクトを進行します。各メンバーの実務経験や、これまでの参加プロジェクトでの評価をしっかりと把握した上で、最大限のパフォーマンスを発揮できるチームを編成しています。
7-3. 最新のアノテーションツールを活用
ヒューマンサイエンスが導入しているアノテーションツールの一つAnnoFabでは、プロジェクトの進行中にもクラウド上でお客様から進捗確認やフィードバックをいただくことが可能です。作業データはローカルのマシンに保存できない仕様とすることで、セキュリティにも配慮しています。
7-4. 自社内にセキュリティルームを完備
ヒューマンサイエンスでは新宿オフィス内に ISMSの基準をクリアしたセキュリティルームを完備しています。守秘性の高いプロジェクトであってもオンサイトでご対応します。当社ではどのプロジェクトでも機密性の確保は非常に重要と捉えています。作業担当者にはセキュリティ教育を継続して実施し、リモートのプロジェクトであっても情報やデータの取り扱いには細心の注意を払っています。