
高度に専門性の高い医療コンテンツにおいてAIを活用して翻訳することはできるでしょうか?本ブログではその方法についてお伝えします。
- 目次
1. 医療翻訳にAIが活用され始めている背景とメリット

かつて医療翻訳は、その専門性の高さからAIの使用や機械翻訳になじまないとされる意見が主流でした。しかし、近年のAIの発達により、医療翻訳のニーズがある現場ではAI・機械翻訳への注目が高まっています。
1-1. 医療翻訳にAIが活用され始めている背景
医薬品の治験や有害事象の報告、医療機器の薬事業務や取扱説明書の作成などは、いずれも迅速に進めることが求められます。
また、医療業界においてもコスト削減が重要であることは例外ではありません。
もともと時間短縮やコスト削減と親和性が高いAI翻訳ですが、近年、精度も向上しているため注目を集めています。
1-2. 医療翻訳にAIを用いるメリット
上記の時間短縮、コスト削減のメリットのほかに、専用の機械翻訳エンジンを介さずとも、ChatGPTに翻訳をさせればある程度の精度の結果を得ることもできますし、プロンプトの工夫次第で用語集の作成や誤字脱字などの文章の不備の検知など、翻訳の周辺作業に活用できるというメリットもあります。
医療翻訳にAIを用いる意義は大きくなっています。
2. ルールベース・統計ベースの機械翻訳とニューラル機械翻訳

機械翻訳には、ルールベース・統計ベースの機械翻訳とニューラル機械翻訳があり、それぞれに特徴があります。
2-1. ルールベース・統計ベースの機械翻訳
ルールや統計的なアルゴリズムに基づいて行われる機械翻訳は、過去の翻訳データや語彙、文法規則に基づいて、基本的には単純に言語間の変換を行います。ルールやデータに基づく処理を特徴としますが、意味のニュアンスや文脈を適切に反映しにくい、自然な文章を生成しにくいなどの課題があります。
2-2. ニューラル機械翻訳
ニューラル機械翻訳(NMT)は、人工知能、特にディープラーニング技術を活用して、より自然で文脈に合った翻訳を行います。ニューラルネットワークを使用して、大量のデータからパターンや関係性を学び、言語の理解を深めます。この手法は、文脈をより正確に把握し、語彙や構造の柔軟な変換を可能にします。
ディープラーニングを用いて、文脈やニュアンスを考慮した自然な翻訳を実現することで、より精度が高く、自然な表現を生成しやすいです。
2-3. ルールベース・統計ベースの機械翻訳とニューラル機械翻訳の違い
ルールベース・統計ベースの機械翻訳は伝統的なアルゴリズムに依存し、直訳的で意味が取りにくい場合がありますが、専門用語等では的確な訳が提供される可能性があります。
一方のニューラル機械翻訳はディープラーニングを活用して文脈や意味をより正確に反映し、自然な翻訳を提供する、より進化した機械翻訳の形であるといえます。
AI翻訳・機械翻訳を解説するウェブサイトやブログは数多く存在しますが、ヒューマンサイエンスでも、以下のブログでAI翻訳・機械翻訳について詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
3. AIツールを翻訳周辺作業に活用

前述のとおり、ChatGPTは、プロンプトの工夫次第で用語集作成や文章の不備の検知などを迅速に行うことができます。これは翻訳のコスト削減や品質向上に大いに資するものです。
このことから、ChatGPTをベースにしたチェックツールの開発し活用するなどの展開が考えられるでしょう。
4. 医療翻訳にAI翻訳を取り入れる際の注意点

医療翻訳においては、複雑で高度な文書独特の表現(治験文書、症例報告、医療機器取扱説明書等)や病名や有害事象名など専門用語の適格な翻訳が必要です。
当たり前のことですが、ルールベース・統計ベースの翻訳にせよ、ニューラル機械翻訳にせよ、翻訳エンジンが「治験文書の文体を守ろう」とか「有害事象名をMedDRAに則した訳にしよう」という意思をもって訳しているわけではなく、あくまで機械処理の精度が向上したために正しい訳が得られる確率が高まっているだけです(用語集を適用させること等で精度をさらに上げることは可能です)。
また、複雑な構文や「」や()などを多用した文では誤訳の確率も高まります。
高い正確性が求められる医療翻訳においては、機械翻訳後の修正作業(ポストエディット)は必須といえます。ケースによっては人による翻訳が適切な場合もあるでしょう。
その一方で、社内向け文書など高い精度が求められない文書では、ポストエディットを最低限に抑えることも考えられます。
このように、AI翻訳と人による翻訳をうまく使い分けることが求められます。
5. ヒューマンサイエンスのAI翻訳への取り組み

ヒューマンサイエンスでは、お客様からの翻訳依頼に対し、機械翻訳・AI翻訳の活用したサービスを提供いたします。
また、弊社は、DeepLやGoogle、Microsoft、OpenAIの翻訳エンジンを活用できる自動翻訳ソフト「MTrans for Office」を提供しています。OpenAIは、翻訳だけでなく、プロンプト次第で文章の生成や書き換え、文章校正も行うことができ、業務効率化や多言語対応をサポートします。社内での翻訳業務向けにAIベースのチェックツールの開発や、ChatGPTを用いた翻訳周辺作業の効率アップにも取り組んでいます。ChatGPTを用いた翻訳周辺作業の効率アップについては、以下のブログをぜひご覧ください。
6. AIを活用した翻訳はヒューマンサイエンスにお任せください
ヒューマンサイエンスは、機械翻訳や翻訳支援ツールを用いた翻訳業務の効率化に定評があります。
また、人手翻訳サービスやポストエディットサービスもご提供しております。Trados等の翻訳支援(CAT)ツールや、自動翻訳ツールを活用し、翻訳の効率化と品質向上に取り組み、お客様の更なる発展に貢献してまいります。
ドキュメントテクノロジー・メディカルサイエンスの知識ともに高い専門性を備えた、ヒューマンサイエンスのメディカル翻訳をぜひお試しください。
お悩みやご興味などございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。