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1. 機械翻訳とは?
機械翻訳とは、コンピュータプログラムを使って、ある言語で書かれた文章を別の言語に自動的に翻訳する技術のことです。自動翻訳、MT(Machine Translation)、AI翻訳とも呼ばれます。有名なサービスとしてDeepLやGoogle翻訳があります。現在は、研究やビジネスだけでなく、海外ニュースの閲覧時や旅行の際など、日常のあらゆる場面で利用されています。ウェブブラウザ内蔵の翻訳機能やスマートフォン用の翻訳アプリなどから簡単に機械翻訳が利用でき、その利便性から普及が進んでいます。
機械翻訳のおかげで情報収集やコミュニケーションが容易になっています。言語を問わず、世界中の情報やコンテンツに簡単にアクセスできるようになり、最新情報を即座に入手できるようになりました。また、異なる言語を話す人々ともコミュニケーションができるようになり、国際交流がもっと身近になっています。機械翻訳は、教育やビジネスで活用されており、留学や海外出張などで役立つだけでなく、研究や開発での情報収集や、海外とのコミュニケーションの効率化にも貢献しています。
「機械翻訳」と「自動翻訳」という言葉は同じ意味で使用されることが多いですが、厳密には使い分けられています。まず、「機械翻訳」という言葉は主に翻訳技術や翻訳作業そのものを指すことが一般的です。例えば、ニューラルネットワークを活用した最新の翻訳アルゴリズムや、翻訳精度を向上させるための研究開発活動などが「機械翻訳」に該当します。これは技術的な側面やプロセスに焦点を当てた用語と言えます。
一方、「自動翻訳」は主にユーザー向けに提供される翻訳システムやサービスを指す場合が多いです。特に、ユーザーの介入なしにリアルタイムで翻訳を行うシステムを指すことが多く、例えばウェブブラウザに組み込まれた翻訳機能や、スマートフォンアプリのリアルタイム音声翻訳機能などが「自動翻訳」に該当します。これらはユーザーが特別な操作を行わなくても、自動的に翻訳が行われるため、「自動翻訳」という名称が適しています。
2. 機械翻訳の仕組み
機械翻訳には主に3種類の仕組みがあります。
• ルールベース機械翻訳
言語学的規則と辞書を使用して翻訳を行います。形態学的解析、構文解析、意味解析を経て、ターゲット言語の文を生成します。
• 統計的機械翻訳
大量の対訳コーパスから統計的パターンを学習し、確率モデルを用いて翻訳を行います。単語ベース、語句ベース、構文ベースなどのアプローチがあります。
• ニューラル翻訳
ディープラーニング技術を使用し、ニューラルネットワークで言語間の変換を学習します。文の意味や文法関係を網羅的なベクトル表現で捉え、より自然な翻訳を実現します。
これらの翻訳方式の詳細については、以下のページをご覧ください。
>機械翻訳の仕組み~直訳タイプと意訳タイプ、ニューラル翻訳とは?~
3. 機械翻訳のメリットとデメリット
機械翻訳のメリットとしては、まず速さが挙げられます。機械翻訳は、人間の翻訳者に比べてはるかに高速に翻訳を行うため、短時間で大量のテキストを翻訳することが可能です。また、コスト面でも翻訳会社に依頼する場合と比べて低コストで利用できます。さらに、多言語に対応しており、サービスによっては100を超える言語を翻訳できます。
機械翻訳のデメリットとしては、精度の問題があります。機械翻訳は完璧ではなく、特に文化的背景や言い回しなどを正確に捉えて翻訳することが難しい場合があります。その結果、訳文の表現がぎこちなくなることがあります。また、文脈に強く依存するような文章の場合、誤訳が発生しやすくなります。そのため、機械翻訳した文書をそのまま使用することは推奨されず、人による確認作業が必須です。特に重要な文書や契約書などは専門の翻訳会社に外注することが望まれます。
>AI翻訳(機械翻訳)のデメリットとは?デメリットを解消して効率的に活用する方法を解説!
4. 機械翻訳の最新動向
機械翻訳の市場は2020年に1億5,380万ドル、2021年から2026年の間に年平均で7.1%成長し、2026年には2億3,067万米ドルに達すると予想されています(出典:Mordor Intelligence社「機械翻訳市場-成長、傾向、COVID-19の影響、および予測(2022年-2027年)」)。日本でも近年DeepLが注目され、企業への機械翻訳の導入が増えています。
5. 機械翻訳の代表「DeepL」と「Google翻訳」とは
DeepLは、ドイツのDeepL社が2017年にリリースした機械翻訳サービスです。当初の対応言語は欧州言語のみでしたが、2020年3月に新しく日本語に対応しました。DeepL社は以前より対訳検索エンジンのLingueeを提供しており、そこで収集した対訳データとディープラーニングを組み合わせて、高精度の機械翻訳サービスを実現しています。
Google翻訳は、Google社が2006年にリリースした機械翻訳サービスです。当初の翻訳精度はあまり高くありませんでしたが、2016年11月にディープラーニングを用いたGoogle Neural Machine Translation (GNMT、Googleニューラル機械翻訳)と呼ばれるシステムに刷新され、特に中国語と日本語の精度が大きく向上しました。機械翻訳は20年以上前から利用されてきましたが、Googleニューラル機械翻訳が登場したことで、機械翻訳の活用がいっそう加速しました。
6. 翻訳精度比較
当社ではIT、医療、機械、契約書、特許の各分野を対象に、DeepL、Google、Microsoft、Amazonの機械翻訳サービスを評価し、BLEUスコアを算出しました。BLEUスコアとは、機械翻訳による訳文と、人が一から訳した訳文(参照訳)とを機械的に比較し、類似度を数値として算出したものです。範囲は 0~1 で 1 に近いほど参照訳に近いことになります。意味が同じでも単語や表現が異なるとスコアは下がりますが、人手評価と相関し、値が大きいほど機械翻訳の精度が高いと考えられます。目安としては、スコアが0.3以上であれば、人が一から翻訳するよりも、機械翻訳の訳文を修正したほうが早いと考えられます(ただし、品質要件に依存します)。
評価結果は以下のとおりです。

IT日英、医療英日・日英、契約書英日・日英、特許英日でDeepLが優れています。評判が良いDeepLですが、分野や言語方向によってはGoogleやMicrosoftなどの他の機械翻訳サービスが優れていることがわかります。分野や言語方向によって機械翻訳サービスを使い分けることが推奨されます。また、同じ分野の中でも文書の種類はさまざまで、求められる翻訳品質も異なります。確実な評価には、実際の業務の文書を翻訳して評価することをお勧めします。
メールの翻訳精度については以下の記事をご覧ください。
>DeepL の翻訳精度は? ビジネスメールでの Google、Microsoft との比較結果
7. 機械翻訳をビジネス利用する際の注意点
ビジネスに機械翻訳を導入するにあたって、セキュリティ面を考慮することが重要です。インターネットでは多数の自動翻訳サービスが無料で提供されていますが、ほとんどの無料サービスで機密保持が保証されていません。無料サービスを利用すると、入力した文章や文書を二次利用される可能性があり、DeepLやGoogle翻訳も例外ではありません。無料の機械翻訳サービスを使って機密情報を翻訳すると機密情報が流出する可能性があり、多くの企業で禁止されています。
DeepLのセキュリティについて詳しくは「DeepL翻訳で機密は保持される?セキュリティは?」をご覧ください。
機械翻訳を利用する際にビジネス用語が正しく翻訳されないことがあります。特に専門性が高い分野や時代の最先端を行く分野では用語の誤訳がよく見られます。機械翻訳サービスには用語集機能が搭載されており、特定の用語に対応する訳語を指定できます。用語の誤訳を回避するには用語集機能を利用することをお勧めします。
DeepLの用語集について詳しくは「DeepLの用語集が日本語に対応」をご覧ください。
8. まとめ
DeepLの登場により機械翻訳サービスが注目され、法人での利用が加速しています。複数の企業から機械翻訳サービスが提供されており、翻訳対象の分野や文書によって翻訳精度は異なります。機密保持の観点から無料の機械翻訳サービスを法人で利用することは勧められません。
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Officeかんたん翻訳ソフトMTrans for Officeとは