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機械翻訳の仕組み~直訳タイプと意訳タイプ、ニューラル翻訳とは?~

機械翻訳の仕組み~直訳タイプと意訳タイプ、ニューラル翻訳とは?~

機械翻訳の仕組み~直訳タイプと意訳タイプ、ニューラル翻訳とは?~

目次

1.機械翻訳とは?

機械翻訳(Machine Translation)は、コンピュータプログラムを使って、ある言語で書かれた文章を別の言語に自動的に翻訳する技術のことです。自動翻訳、MT、AI翻訳とも呼ばれます。現在は、研究やビジネスだけでなく、海外ニュースの閲覧時や旅行の際など、日常のあらゆる場面で利用されています。ウェブブラウザ内蔵の翻訳機能やスマートフォン用の翻訳アプリなどから簡単に自動翻訳が利用でき、その利便性から普及が進んでいます。

機械翻訳の主な特徴としては、まず速さが挙げられます。機械翻訳は、人間の翻訳者に比べてはるかに高速に翻訳を行うため、短時間で大量のテキストを翻訳することが可能です。また、コスト面でも翻訳会社に依頼する場合と比べて低コストで利用できます。さらに、多言語に対応しており、サービスによっては100を超える言語を翻訳できます。

機械翻訳には利点も存在しますが、同時に欠点もあります。まず利点としては、利用者が増え、情報収集やコミュニケーションが容易になることが挙げられます。機械翻訳によって世界中の情報やコンテンツに簡単にアクセスできるようになり、異なる言語を話す人々ともコミュニケーションができるようになるため、国際交流がもっと身近になります。また、教育やビジネスで活用されており、留学や海外出張などで役立つだけでなく、研究や開発での情報収集や、海外とのコミュニケーションの効率化にも貢献しています。

一方、欠点としては精度の問題があります。機械翻訳は完璧ではなく、特に文化的背景や言い回しなどを正確に捉えるのが難しい場合があります。そのため、重要な文書や契約などは専門の翻訳会社に外注することが望まれます。

2.機械翻訳の歴史

最初に登場した機械翻訳は1950年代で、当初はルールベースの技術が使われていました。それが1980年代後半に統計的機械翻訳へ移行し、さらに2010年代にニューラル機械翻訳が登場しました。

ルールベースの翻訳方法では、人間が辞書や文法を基に翻訳ルールを作成する必要があり、そのプロセスは複雑で、更新も大変でした。また、この方法では翻訳精度が低く、定型的な文しか翻訳できませんでした。

一方、統計的機械翻訳では、コンピュータがルールを学習します。大量の原文と訳文のペア(例:100万文)を読み込み、データ(コーパス)から原文と訳文の単語やフレーズの対応関係を学ぶことで、新しい語句への対応も比較的容易になります。ただし、英語と日本語のように文法が異なる言語間の翻訳は難しく、翻訳精度は実用的ではありませんでした。

また、ルールベースと統計的機械翻訳の手法を組み合わせたハイブリッド翻訳や、既存の原文と訳文のペアから類似部分を抽出し翻訳に活用する用例ベースの翻訳技術もあります。これらの手法は従来のルールベース機械翻訳に比べて翻訳精度が向上しています。

ニューラル翻訳では、統計的機械翻訳と同様に大量の原文と訳文のペアを読み込ませて学習しますが、機械学習の一種であるニューラルネットワークとディープラーニング(深層学習)を使用することで、より多くの情報を翻訳に活用できます。その結果、翻訳精度が大幅に向上し、自然で流暢な訳文が得られるようになりました。ニューラル機械翻訳の登場によって、機械翻訳が注目され、日常生活や仕事で幅広く利用されるようになっています。

3.機械翻訳の仕組みとは?

機械翻訳の手法と技術について詳しく説明します。

ルールベース機械翻訳

ルールベース機械翻訳(Rule-Based Machine Translation、RBMT)では、ソース言語とターゲット言語それぞれの言語学および文法の専門知識が必要です。翻訳の過程は主に次の3ステージで構成されています。

1. 形態学的解析:
このステージでは、入力文が形態素(最小の意味単位)に分割され、品詞や活用形などの情報が抽出されます。例えば、英語の文「I am eating a cake.」は、「I」「am」「eat+ing」「a」「cake」の形態素に分けられます。

2. 構文解析および意味解析:
構文解析では、形態素がさらに言語構造に従って解析され、構文木と呼ばれる階層的な構造に変換されます。構文木とは、自然言語処理(NLP)において文法構造を表現する木構造のことで、単語やフレーズがどのように組み合わさって文全体を形成しているかを示します。構文木は、文の主語、動詞、目的語などの構成要素を階層化されたノードとして表現し、それらの関係性や機能を明示的に示すことで、より正確な翻訳を可能にします。意味解析では、原文に含まれる単語や文の意味を抽出します。意味解析の目的は、ソース言語のテキストの意味を理解し、ターゲット言語に正確に伝達することです。多義語であっても文脈に応じた適切な訳語を選択します。

3. 生成:
この段階では、構文木や意味情報をもとにして、ターゲット言語の文が生成されます。文法規則や辞書が適用され、適切な語順や形態素が組み合わせられてターゲット言語の文が構築されます。

ルールベース機械翻訳の利点は、翻訳プロセスが明確であり、エラーや問題が発生した場合に原因を特定しやすいことです。また、専門家が作成した高品質な辞書や文法規則を利用するため、一般的に文法的に正確な翻訳が行われます。

欠点は、新しい言語ペアやドメインに対応するためには大量の人手が必要であること、また多様な表現や俗語に対してうまく対応できないことです。さらに、言語間の文法的・語彙的な差異により、しばしば自然さや流暢さが欠けた翻訳結果になることがあります。このような理由から、現代の翻訳システムではニューラル機械翻訳(NMT)などデータ駆動型のアプローチが主流となっています。

統計的機械翻訳

統計的機械翻訳(Statistical Machine Translation、SMT)は、コンピュータが大量のバイリンガルテキスト(原文と訳文がペアになった並列コーパス)から抽出した統計的なパターンを基に翻訳を行う機械翻訳の手法です。統計的機械翻訳は言語学的知識や文法規則に頼るルールベース機械翻訳と異なり、機械学習アルゴリズムや確率モデルを用いて言語ペア間の変換を学習します。

統計的機械翻訳の主なアプローチには、以下のようなものがあります。

1. 単語ベース翻訳:
単語ベースのアプローチでは、ある単語が別の単語に翻訳される確率を使用します。これにより、最も可能性の高い単語の組み合わせが選択されます。しかし、このアプローチでは単語の順序や構造の問題に対処することが難しいです。

2. 語句ベース翻訳:
語句ベース(フレーズベース)のアプローチでは、単語よりも長い単位(複数の単語から成るフレーズ)を扱います。これにより、文法的な関係や構造をより適切に捉えることができます。語句ベース翻訳では、並列コーパスから翻訳対応するフレーズのペアを抽出し、それらのペアが翻訳文にどのように組み合わさるかを決定します。

3. 構文ベース翻訳:
構文ベースのアプローチでは、ソース言語とターゲット言語の構文木を利用して文の構造を捉えます。これにより、文法的な関係や意味的な情報を高精度に表現できます。構文ベース翻訳では、並列コーパスから抽出された構文規則に基づいて、ソース言語の構文木をターゲット言語の構文木に変換します。

統計的機械翻訳の利点は、大量のデータから自動的に翻訳知識を獲得できることです。そのため、多様な言語やドメインに対応しやすく、新しい表現や俗語にも効果的です。しかし、十分な並列コーパスがない場合や、文法構造が大きく異なる言語ペアに対しては性能が低下することがあります。

近年では、ニューラル機械翻訳のアプローチが主流となっており、統計的機械翻訳は次第にその位置を譲っています。

ニューラル翻訳

ニューラル機械翻訳(Neural Machine Translation、NMT)は、ディープラーニング技術を用いてある言語から別の言語への翻訳を行う最新の機械翻訳手法です。この手法を用いた機械翻訳をAI翻訳と呼ぶこともあります。ニューラル機械翻訳は、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、およびトランスフォーマー(Transformer)といったニューラルネットワークアーキテクチャを活用して、並列コーパスから翻訳に必要な知識を自動的に学習します。ニューラル機械翻訳は統計的機械翻訳やルールベース機械翻訳と異なり、文の意味や文法関係を網羅的なベクトル表現で捉えることができます。

一般的なニューラル機械翻訳システムは、以下の2つの主要な部分から構成されます。

1. エンコーダ:
エンコーダは、源言語の入力文を連続的なベクトル表現に変換します。各単語や文字は、事前に学習された単語埋め込みベクトル(word embedding vector)に変換され、文の構造や意味情報が適切にエンコードされます。再帰型ニューラルネットワーク(RNN)や畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が一般的に用いられます。

2. デコーダ:
デコーダは、エンコーダから得られた連続的なベクトル表現を用いて、ターゲット言語の翻訳文を生成します。これは、通常、単語ごとに行われ、各ステップで最も確率の高い単語が選択され、翻訳文が構築されます。デコーダでもエンコーダと同様に、RNNやCNNが利用されます。

近年では、トランスフォーマーアーキテクチャが大変成功しており、翻訳品質や速度の面で従来のアプローチを凌駕しています。トランスフォーマーは、アテンションメカニズムにより、ソース文とターゲット文の単語間の関係性を効率的に捉えることができます。

ニューラル機械翻訳の利点は、翻訳の精度や自然さが高いこと、また学習データから自動的に文法や表現を獲得できることです。しかしながら、大量の学習データや計算リソースが必要であり、学習プロセスが複雑であることが課題となっています。また、モデルの内部状態がブラックボックス化されているため、エラーの原因の特定や修正が難しい場合もあります。

同じニューラル機械翻訳の手法を使っていても機械翻訳サービスによって訳語の質は異なります。代表的な機械翻訳サービスにGoogle翻訳とDeepLがありますが、おおまかにGoogle翻訳は直訳タイプ(逐語的)、DeepLは意訳タイプと言えます。Googleは逐語的に訳すため、訳が不自然になることがあります。一方、DeepLは意訳するため、訳がより自然になることが多いです。ただし、DeepLでは原文の単語や文が訳文からなくなる訳抜けという問題がよく発生します。そして、訳文の表現がなめらかで自然であることが逆に障害となり、訳文だけを読んだときに訳抜けに気づかないことがある点に注意する必要があります。なお、DeepLとGoogle翻訳の翻訳精度については以下の記事をご覧ください。

機械翻訳の最新動向と「DeepL」と「Google翻訳」の比較

ディープラーニングとは

ディープラーニングとは、人工知能(AI)技術の一種で、特にニューラルネットワークを用いた機械学習アルゴリズムのことを指します。ディープラーニングは、人間の脳の働きを模倣したニューロンのつながりや構造を持つ「ディープ・ニューラル・ネットワーク」を利用して、大量のデータを学習させることで、高度な認識や判断を行うことができます。その用途は機械翻訳に限定されません。

ディープラーニングには以下のようなメリットがあります。

1. 翻訳の不自然さが解消されつつある:
ディープラーニングを用いた翻訳システムは、従来の翻訳手法に比べて、より自然で正確な翻訳を行うことができます。これは、ニューラルネットワークが文の構造や文脈を理解し、適切に翻訳する能力を持つためです。

2. 専門用語に精通している:
ディープラーニングを用いたシステムは、専門用語や固有名詞などの特定の分野に関連した言葉を正しく理解し、翻訳することができます。DeepLやGoogleといった企業の翻訳サービスは主にインターネット上の大量のデータを学習しており、データの中に様々な分野の専門用語や固有名詞が含まれているためです。

4. まとめ

機械翻訳は、コンピュータプログラムを使用して、ある言語で書かれた文章を別の言語に自動的に翻訳する技術です。利点として、速さや低コストで大量のテキストを翻訳可能であり、多言語に対応しています。機械翻訳の仕組みにはルールベース機械翻訳、統計的機械翻訳、ニューラル機械翻訳があり、近年ではニューラル機械翻訳が広く利用されています。ニューラル機械翻訳が登場したことで翻訳精度は大きく向上したものの、誤訳や訳抜け等の問題が依然として存在します。

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