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多言語組版ノート:最適な行間は言語によって異なる

多言語組版ノート:最適な行間は言語によって異なる

この組版どう思いますか?

 

この組版は読みにくくて内容が頭に入ってきにくいので修正したいところです。どこをどのように修正したら良いでしょうか。

 

 


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良くない点

改善案

英語は日本語より行間を狭くする

文章の読みやすさには行間が大きく影響します。字間や語間と同様、行間にも広過ぎず狭過ぎずのバランスがありますが、この例は広過ぎです。行間が広過ぎると散漫に見えて次の行へと考えをまとめることが難しくなります。また教科書(書き込みのため行間が広い)のようにも見え、ネイティブに「読ませる」目的には相応しくありません。

 

逆に行間が狭過ぎても駄目です。どの行を読んでいるのか判りづらくなったり、次の行に移るときに迷ったり同じ行を読んでしまったりします。上下の文字がぶつかるのは論外です。

 

標準的な欧文フォントなら行送りは文字サイズの120%辺りを出発点に調整すると良いでしょう。調整に迷ったら狭めにすることをお勧めします。日本人は無意識に行送りを広めに取る傾向があるように思います。

 

最適な行送りはフォントや組幅などの条件に左右されるため「○○フォントは10pt/12pt」などと一律に決めるのには無理があります。新聞のように組幅が狭いときは視線の移動幅が減るので行送りはそれほど必要ありません。逆に組幅が広いときは行送りを広めにした方が読んでいる箇所を見失いにくくなります。

 

難しい文章ではないはずなのに何となく内容が頭に入ってこない、そんな経験はありませんか。もしかしたら理解力や集中力といった本人の問題ではなく組版の問題、行・単語・文字の間隔調整がうまくいっていないせいかもしれません。

 

 

InDesignの自動行送りのデフォルト値は言語によって異なり、日本語版の175%に対し英語版は120%と大きな差があります。多くの場合、日本語データの行送りのまま欧文を流し込むと広くなり過ぎます。日本語から欧文に展開するときは必ず行送りを狭めてください。和欧並記でも行送りを揃えたりせず、欧文は欧文として読みやすい行送りに調整する必要があります。

多言語展開するときは

ダイアクリティカルマーク(補助記号)の多い欧文

 

 

ダイアクリティカルマークが多い東欧言語やベトナム語などの場合、英語と同じ行送りでは窮屈になりがちなのでやや広めに調整すると良いでしょう。

 

アラビア文字

 

 

ピンクのハイライトはアラビア文字がラテン文字の小文字の上端・下端からはみ出す箇所です。アラビア文字はラテン文字より縦に長いことが判ります。英語と同じ行送りでは上下の文字がぶつかるおそれがあるため広げる必要があります。フォントによってはアラビア文字とラテン文字のベースラインが揃っていなかったりサイズのバランスが悪かったりする場合があります。これらの調整も必要です。

 

タイ文字

 

 

タイ文字は背が高い文字があったり発音記号が縦に積み重なったりするため、行送りは余裕を持たせた方が良いと思います。フォントによってはラテン文字と同じポイント数だと文字サイズが明らかに小さい場合があり、全体的に調整が必要なこともあります。

空白の階層

 

組版上の空白の広さは字間<語間<行間。この階層が崩れると読者は違和感を覚えます。組版の均一感がなくなって視線の動きが滞り、読むリズムが乱れます。要するに読みにくくなるのです。どの空白も狭過ぎれば判読しにくくなり、広過ぎれば散漫になります。

 

良い本文フォントなら特に手を加えなくても字間と語間には正しい空白の階層ができます。行間は組む側の判断ですが、言語・組幅・フォントによって最適な行間は変わりますので都度決めましょう。深く考えずに行間を日本語合わせ・英語合わせにするのは百害あって一理無しです。


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主な参考資料

Jost Hochuli, Detail in typography, Éditions B42, 2015
サイラス・ハイスミス『欧文タイポグラフィの基本』グラフィック社、2014
髙岡昌生『増補改訂版 欧文組版 タイポグラフィの基礎とマナー』烏有書林、2019

 

 

執筆者情報

石井 源太マルチリンガルトランスレーショングループ
DTPディレクター

  • ・前職ではアラビア語・タイ語・中国語などアジア言語のDTPを担当。製品カタログや取扱説明書の制作に従事。
  • ・現在は担当言語を欧文全般まで広げ、DTPに加えeラーニングの多言語ローカライズも担当している。
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