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ポストエディット4つのポイント

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2018.6.18

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2025.4.25

ポストエディット4つのポイント

近年、機械翻訳の精度向上と普及が進む中で、「ポストエディット」という言葉を耳にする機会が増えてきたのではないでしょうか。機械翻訳ツールを利用する企業や個人が増える一方で、機械翻訳だけでは十分な翻訳品質を得られない場合もあります。そこで、翻訳の精度を向上させるために重要な役割を果たすのが「ポストエディット」です。ポストエディットは、機械翻訳の出力を修正・調整するプロセスで、特に法律文書や技術文書、マーケティング資料など、精度が求められる文書において欠かせない作業です。本記事では、ポストエディットの4つの重要なポイントに焦点を当て、機械翻訳の活用をさらに効果的にするための方法を紹介します。

 

目次

1. ポストエディットとは

「ポストエディット」とは、機械翻訳によって生成された翻訳文を確認し、必要に応じて修正を行う作業を指します。この作業を行う専門家を「ポストエディター」と呼びます。

 

従来の翻訳作業では、翻訳者が原文を翻訳し、レビューアがその翻訳文をチェックするというプロセスが一般的でした。一方で、機械翻訳を使用する場合、翻訳そのものは機械が行い、ポストエディターが原文と翻訳文を比較しながら修正や調整を行うという手順になります。これにより、翻訳の一部を自動化できるため、全体の作業時間を短縮しながら効率的に進めることが可能です。

 

2. ポストエディットが必要な理由

機械翻訳の精度が年々向上しているとはいえ、まだ完全に人間の翻訳者と同等の精度を期待するのは難しい部分があります。そのため、ポストエディットが重要な役割を果たします。ポストエディットが必要な理由はいくつかあります。

 

文脈理解:

機械翻訳は単語やフレーズを正確に翻訳する能力は高いものの、文脈を深く理解して訳すことが難しい場合があります。特に、あいまいな表現や、専門用語、文化的なニュアンスが含まれる文書では、誤訳や不自然な翻訳が生じやすくなります。ポストエディットによって、これらの文脈を考慮した調整が行われます。

 

一貫性や統一性:

長い文書や複雑な内容では、用語や表現の一貫性を保つことが重要です。機械翻訳は時に同じ用語を異なる翻訳で出力することがあり、それが文書全体の信頼性に影響を与えることがあります。ポストエディターは、用語やスタイルの一貫性を確認し、統一された品質の高い翻訳を提供します。

 

文法やスタイル:

機械翻訳の出力は、文法的に正しくない場合や、自然な文章ではない場合があります。特にターゲット言語の文法規則やスタイルに合わせて、文章をより流暢に調整する必要があります。ポストエディットは、読み手にとって理解しやすく、自然な表現に仕上げるために必要な作業です。

 

専門分野における正確性:

技術文書や法律文書など、専門的な知識を要する翻訳では、機械翻訳が正確に専門用語や特定の文脈を捉えるのが難しいことがあります。ポストエディターはその分野の専門知識を持ち、正確な翻訳になるように修正します。

3. ポストエディットの種類

ポストエディットにはフルエディットとライトエディットの2種類があります。

 

フルエディットは、人間が翻訳したものと同等、あるいはそれに限りなく近い品質の訳文を作成します。作業内容としては、意味の誤りや訳抜け、不自然な表現、文法ミスを完全に修正し、文体(トーン&マナー)、用語、表記(例:長音符号の有無)を、指定されたガイドラインや文脈に従って完全に統一します。また、読者が機械翻訳であることを意識しないほど流暢で自然な文章にすることが求められます。

 

一方、ライトエディットは、訳文の主要な意味が理解でき、致命的な誤りがない状態にすることを目的としています。作業内容としては、意味を歪めるような重大な誤訳や訳抜け、読解を妨げる文法ミスを修正しますが、多少不自然な表現やぎこちなさが残っていても、意味が通じれば基本的に手を加えません。また、用語や表記の不統一についても、意味の理解に支障がなければ修正されません。修正観点はプロジェクト開始前に顧客と合意する必要があります。例えば、常体・敬体が混在していた場合に、意味が正しければ問題なしとするのか敬体に統一するのかなどを事前に決定します。

 

どちらの方法を選ぶかは、プロジェクトの目的や予算、納期によって異なります。例えば、マーケティング資料や公式文書など、正確さと品質が重要な場合はフルエディットが推奨されます。一方、内部資料や短期間での情報共有が目的の場合は、ライトエディットが適していることがあります。最終的な選択は、プロジェクトの要件に基づいて行われます。

4. ポストエディットに求められるスキル

フルエディットとライトエディットの両方において、対象分野の専門知識や文化的背景を把握し、原文と訳文の意味を深く理解する必要があります。

 

加えて、フルエディットの場合、ポストエディターには高度な翻訳スキルと編集能力が求められます。原文と訳文の内容を正確に比較し、文法、構文、語彙選択において完璧な修正を行うための言語能力が不可欠です。テキストの一貫性、読みやすさ、スタイルガイドラインへの準拠も確保する必要があるため、細部への注意力と忍耐力も求められます。さらに、原文のニュアンスや文体を適切に反映させる感性と、ターゲット読者を常に意識した編集判断力も必要です。

 

ライトエディットを行う場合、ポストエディターには、効率的な作業能力と優先順位付けのスキルが重要です。限られた時間内で重大な誤りを識別し、最低限の修正で読解可能なテキストに仕上げる判断力が求められます。完璧さよりも実用性を重視し、意味が伝わる限り不自然な表現をあえて残す決断力も必要です。また、機械翻訳の特性や弱点を理解し、最も効果的に修正すべき箇所を見極める分析力も重要となります。過剰な編集を避けながらも、テキストの基本的な理解を妨げる誤りを確実に修正するバランス感覚がポストエディターには不可欠です。

5. フルエディットとライトエディットの比較サンプル

原文:
Collecting user feedback is a crucial step for product development. The development team analyzes every user comment thoroughly. This continuous process ensures the product meets market needs.

 

未修正の機械翻訳:
ユーザーフィードバックを収集することは、製品開発にとって重要なステップである。開発チームは、すべてのユーザコメントを徹底的に分析します。この継続的なプロセスは、製品が市場ニーズを満たすことを保証する。

 

ライトエディット:
ユーザーフィードバックを収集することは、製品開発にとって重要なステップです。開発チームは、すべてのユーザコメントを徹底的に分析します。この継続的なプロセスは、製品が市場ニーズを満たすことを保証します。

 

フルエディット:
ユーザーフィードバックを収集することは、製品開発にとって重要なステップです。開発チームは、すべてのユーザーコメントを徹底的に分析します。このプロセスを継続することによって、製品を市場ニーズに合致させることが可能になります。

 

説明:
未修正の機械翻訳では常体と敬体が混在していました。ライトエディットでは敬体に統一しています。フルエディットでは敬体に統一した上で、カタカナ末尾の長音の不統一(「ユーザー」と「ユーザ」)を長音あり(「ユーザー」)に統一しています。また、自然な日本語表現になるように、最後の文を全体的に書き換えています。

6. ポストエディットのメリット

ポストエディットをすることで、以下のようなメリットがあります。

 

工数削減:

翻訳作業は機械が行ってくれるため、従来の翻訳プロセスに比べて時間を短縮できます。ポストエディターが適切に作業することで、短時間で翻訳が可能です。

>機械翻訳後のポストエディットを効率化するには?

 

翻訳品質向上:

機械翻訳だけでは不自然な表現や誤訳が発生することがありますが、ポストエディットを行うことでそれらの問題を解決し、より自然で正確な訳文になります。特に、専門的な内容や文脈に依存する部分では、ポストエディットが品質向上に貢献します。

7. ポストエディットの手順

ここではフルエディットのポストエディット作業の手順について説明します。読者が機械翻訳であることを意識しない自然な訳文に仕上げることを目標とします。このプロセスは、大きく分けて4つの段階で構成されます。

7-1. プリエディット

最初のステップは、機械翻訳にかける前の「プリエディット」です。これは、機械翻訳エンジンが原文テキストをより正確に理解し、質の高い訳文を出力できるよう、原文自体を事前に調整する工程を指します。具体的には、代名詞の指示対象を明確にする、多義的な表現を具体化するなどして曖昧さを解消したり、長すぎる文や複雑な構文を分割・簡略化したりします。また、原文に含まれる誤字脱字や文法エラーを修正し、特に専門用語や固有名詞についてはあらかじめ用語を統一しておくことも重要です。さらに、不要な改行や特殊文字を整理するなど、書式を整えることも含まれます。このプリエディットによって原文の質を高めることが、後続の機械翻訳の精度向上と、ポストエディット作業の効率化に大きく貢献します。

7-2. 機械翻訳

次に、プリエディットされた原文テキストを、選定された機械翻訳エンジンに入力し、ターゲット言語への機械翻訳を実行します。ここでは、機械翻訳サービスによって提供される機能を活用することで、訳文の品質が向上します。例えば、用語集(グロッサリー)や過去の翻訳資産(翻訳メモリ)を適用することで、訳文の一貫性や特定の用語の正確性が向上します。また、可能であれば自動ポストエディット機能を用いることで、この後のポストエディット作業を軽減することができます。自動ポストエディットについて詳しくは以下のブログ記事をご覧ください。

 

>機械翻訳後のポストエディットを効率化するには?

7-3. ポストエディット

ポストエディットは、このプロセスの中核をなす工程です。機械翻訳が出力した下訳を、専門的なスキルを持つポストエディター(多くは翻訳者)がレビューし、人間による翻訳と同等の品質レベルにまで修正・改善します。

 

最も重要なのは、原文の内容を深く理解することです。ポストエディターは原文を熟読し、文脈、筆者の意図、ニュアンス、想定される読者層などを正確に把握します。原文理解が不十分なまま機械翻訳の出力だけを見て修正を始めると、表面的な修正に留まったり、原文の意図からずれた訳文になったりする危険があるため、この原文理解は不可欠なステップです。

 

次に、訳文が原文の意味と情報を正しく反映しているかを厳密に確認します。原文と訳文を注意深く比較し、誤訳がないか、原文の情報が欠落(訳抜け)していないか、逆に原文にない情報が付加されていないかなどをチェックします。人名、地名、組織名、日付、数値、単位、専門用語などの固有名詞やデータの正確性も検証します。

 

そして、確認の結果、正しくないと判断された箇所を具体的に修正・手直ししていきます。誤訳や訳抜けの修正はもちろん、ターゲット言語の文法的な誤り(時制、数、格、助詞など)を訂正し、指定された用語集やスタイルガイドラインに従って用語を統一します。句読点や記号、大文字・小文字の使い方もルールに沿って修正します。

 

最後に、単なる正確性の修正に留まらず、訳文の不自然さを見直し、より自然で流暢な表現になるよう改善します。機械翻訳特有のぎこちなさ(いわゆる「翻訳調」)を解消し、ターゲット言語の読者にとって自然に読める文章に仕上げます。文脈に最も適した語彙を選び、洗練された言い回しに修正したり、文と文のつながりを改善して論理的な流れを整えたりします。また、原文が持つトーン&マナー(フォーマルかインフォーマルか、客観的か主観的かなど)を訳文にも適切に反映させ、文化的な背景を考慮して不適切または理解しにくい表現がないかも確認します。フルエディットでは、必要であれば文の構造を大きく変更するなど、原文の意味を保持しつつ抜本的な修正を行うこともあります。

7-4. 校正者・レビュアーによるチェック

ポストエディットが完了した後、最終的な品質保証として、ポストエディターとは別の担当者(校正者、チェッカー、レビュアー、または分野の専門家など)によるチェックが行われます。第三者の視点を入れることで、ポストエディターが見落とした可能性のある誤字脱字、文法エラー、表記の揺れ、句読点の間違いなどを発見し、修正します。また、文書全体を通して用語や表現の統一性が保たれているか、スタイルガイドやプロジェクトの指示事項が完全に遵守されているかなどを最終確認します。必要に応じて原文との照合を行い、意味の正確性を再検証することもあります。この校正・レビュー工程を経て、修正箇所があれば反映し、翻訳成果物が完成となります。

8. ポストエディット時に注意したい4つのポイント!

先述のとおり、最新の機械翻訳技術にもウィークポイントがいくつかあります。ポストエディット時に注意したい、4つのポイントをご紹介します。

8-1. 数値

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こちらは、あるオンライン翻訳ツールで翻訳した結果になります。
英文の精度については細かく見ていきませんが、赤線の数値にご注目ください。原文と異なる数値が訳文に当てられています。
最新の機械翻訳技術は、とても流暢な訳文を生成できるようになりましたが、極稀にこのような数値のミスが発生します。
上記の例文は極端な例ですが、お客様に送る予定のお見積もりがこのような訳になってしまうのは避けたいですよね。ポストエディットのステップを入れて、必ず数値のミスは解消しておきましょう。

8-2. タグ

20180615_163010

 

HTMLやXMLなどのタグ付きファイルを翻訳する場合、気をつけなければならないのが「タグ」です。
タグには、文字を修飾する修飾タグや状況によって表示内容を変える変数タグなどがあります。これらを含む文を翻訳すると、あるべきタグが訳文から抜け落ちてしまったり、逆に追加されてしまったりすることもあります。そのため、ポストエディット時に原文と訳文でタグの構造を見比べ、必要に応じて正しく配置し直します。
また、一文に多くのタグが含まれている場合、機械翻訳自体の精度が著しく下がることがあります。このような翻訳は訳し直しが必要になるので、HTMLやXMLなどのタグ付きファイルを機械翻訳する際にはポストエディットが不可欠といえます。

 

8-3. スタイル・言い回しの不統一

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翻訳するときに注意したいのは、読み手を混乱させないように、言い回しやスタイルを統一することです。
上記の例を見てみると、英文の構造は同じですが、日本語の構造は異なっています。
また、よくある例として、「サーバ」と「サーバー」や「ユーザ」と「ユーザー」などの表記ゆれも発生します。
一般的な文書ではここまで統一する必要はありませんが、手順書やマニュアルなどを翻訳する際には言い回しを統一したほうが読み手に親切です。これもポストエディット時に修正しておきたいポイントですね。

 

8-4. 用語

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最後に注意しておきたいのが、「用語」です。
上記の赤線部分は同じガイドを指しているはずですが、訳文(英文)では異なる訳語になっています。このような「用語の不統一」によって、コンテンツ内に不統一が生じてしまい、その結果としてブランド力の低下につながる可能性もあります。ポストエディットで用語をきちんと整えましょう。

 

以上が、ポストエディット時に最低限注意しておきたい4つのポイントになります。
お客様にメールを送る前やコンテンツを公開する前にこれらの点を必要に応じて手直しするだけで訳文の精度を向上できるので、ぜひお試しください。

 

9. まとめ

ヒューマンサイエンスでは、ポストエディット代行サービスを受け付けております。ヒューマンサイエンスは、ポストエディットの知識と経験が豊富なことに加えて、言語的な誤訳だけでなく、用語の誤訳なども修正できる専門知識を持ったポストエディターをプロジェクトに抜擢し、機械翻訳のアウトプットの品質を高めます。 「製造業(自動車、工作機器、制御機器、ロボット、FA機器など)」「IT」「医薬・医療」といった専門分野ごとに翻訳審査を行ったポストエディターが多く在籍しております。

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