はじめに
DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、情シス部門の役割は大きく変わりつつあります。これまでのITサポートやシステム運用の枠を超え、企業全体のデジタル化を推進し、競争力強化を支える存在として、より戦略的な役割が求められています。本稿では、情シスがDX推進において果たすべき役割や取り組むべき課題について考察し、その解決策を提示します。
1.情シスがDX推進において求められる役割
DXとは
DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、データとデジタル技術を駆使して、顧客や社会のニーズに応じた製品やサービス、ビジネスモデルを革新することを指します。DXの本質は単なる技術導入にとどまらず、業務そのものや組織、プロセス、さらには企業文化や風土までをも変革することを意味します。これにより、企業は競争上の優位性を確立し、持続的な成長を遂げることが可能となります。
従来の情シスの役割
従来の情シス部門の役割は、主に3つの重要な機能を担ってきました。第一に、企業全体のIT戦略を立案し、必要なシステムの企画を行うことです。第二に、既存の社内システムの安定的な運用と保守を行い、業務の継続性を確保することです。そして第三に、社員からのIT関連の問い合わせに対応するヘルプデスク機能を提供し、日常的なIT運用をサポートすることです。これらの役割は、企業のIT基盤を支える重要な機能として位置づけられてきました。
DX推進における役割
DXの推進に伴い、情シス部門の役割は大きく拡大しています。まず、DX推進に最適な最新ツールの導入と、その活用を組織全体に促進する役割が加わりました。また、IT技術やシステムに関する専門的な知見を活かし、DX推進に関する具体的な提言や助言を行うことも求められています。さらに、ITシステムやツールの運用に関するFAQの作成・提供を通じて、組織内のナレッジ蓄積と共有を促進する役割も担っています。そして最も重要な点として、社内全体のITシステムやツールの活用を促進するための意識改革を推進する役割も担うようになっています。これらの新たな役割は、企業のDX推進において中核的な位置づけとなっており、情シス部門の重要性は従来以上に高まっているといえます。
2.情シスがDX推進にて取り組むべき活動
DX戦略策定での意見
情シスはDX推進プロジェクトや各部門に参画し、IT技術やシステムに関する専門的な知見を提供することで、実現可能性の高い戦略立案をサポートします。例えば、新しいシステムの導入検討時には、既存システムとの整合性や技術的な実現可能性、セキュリティリスクなどについて、専門的な観点から助言を行います。これにより、企業全体のDX戦略がより実効性の高いものとなります。
先端技術の知識習得・調査・研究
情シスは先端技術の知識習得・調査・研究において中心的な役割を果たします。日々進化するIT技術やツールについて、常に最新の情報を収集し、自社のDX推進に最適なものを見極める必要があります。これには、新しいツールの評価や試験的導入、効果測定なども含まれます。収集した知見は、DX推進に活用可能な最新ツールの導入判断や、その後の活用促進に活かされます。
DX推進の中核的な存在としてDX推進・社内環境の整備
単にシステムやツールを導入するだけでなく、社員のデジタルリテラシー向上も重要な任務です。これには、新しいツールの使用方法の教育や、デジタル技術活用の意識改革の推進が含まれます。情シスは、社内のITシステムやツールの活用を促進し、組織全体のデジタル化をけん引する役割を果たします。社員一人一人のデジタルスキル向上を支援することで、組織全体のDX推進を加速させることができます。
3.DX推進における情シスの課題
レガシーシステムのサポート業務が重荷
多くの企業で長年使用してきたレガシーシステムのサポート業務が、情シス部門の大きな負担となっています。古いシステムは現代のビジネス要件に適合しづらく、保守や改修に多大な時間と労力を要します。また、レガシーシステムの知識を持つ技術者の高齢化や退職により、システムの維持管理がますます困難になっているのが現状です。
従来の保守・ヘルプデスクのノンコア業務の圧迫で本来のDX推進業務に着手しづらい
日常的な保守作業やヘルプデスク対応といったノンコア業務が、情シス部門の業務時間の大半を占めているという問題があります。社員からのPC設定やソフトウェアトラブル、ネットワーク障害への対応など、運用保守業務に追われ、本来注力すべきDX推進のための戦略立案や新規システム導入などの重要業務に時間を割くことができない状況に陥っています。
DX人材不足によるデジタルリテラシーが底上げできない
DX人材の不足も深刻な課題となっています。クラウド、AI、IoTなどの最新技術に精通した人材の確保が困難であり、既存の情シス要員のスキルアップも追いついていません。その結果、組織全体のデジタルリテラシーの底上げが進まず、DX推進の大きな障壁となっています。
セキュリティと個人情報保護の徹底
セキュリティと個人情報保護の徹底も情シス部門の重要な責務となっています。サイバー攻撃の高度化やリモートワークの普及に伴い、セキュリティリスクは増大の一途をたどっています。GDPR等の各国データ保護規制への対応も求められる中、セキュリティ対策と業務効率化の両立という難しい課題に直面しています。これらの要因が、新しいデジタル技術の導入やDX推進の足かせとなっているのです。
4.DX推進における情シス課題の解決策
レガシーシステムのモダナイゼーション、マイグレーション
レガシーシステムのモダナイゼーションとマイグレーションは、多くの企業にとって喫緊の課題となっています。古いシステムは保守性が低く、セキュリティリスクも高いため、クラウドベースの最新システムへの移行や、マイクロサービス化による柔軟なシステム構築が求められています。この過程では、既存データの移行やビジネスプロセスの見直しも含めた包括的なアプローチが必要となります。
情シス業務効率化のためのツールの導入・活用
情シス業務の効率化に向けたツールの導入・活用が重要です。業務の標準化を進め、定型作業にはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入することで、人的リソースを戦略的な業務に振り向けることが可能となります。また、社内問い合わせ対応の効率化のため、チャットボットやFAQシステムを構築することで、情シス部門の負荷を大幅に軽減することができます。
従来ツールを活用した最新技術の導入
従来ツールを活用した最新技術の導入も効果的な解決策です。例えば、Microsoft Officeなど、従来から広く使用されているツールにアドインを使って機能追加することで、社員のリテラシーレベルに関係なく新しい技術を導入することができます。MTrans for Officeのような翻訳・執筆AIアドインは、その好例といえます。これにより、追加の研修コストを抑えながら、業務効率の向上を図ることが可能です。
【関連リンク】
MTrans for Office
ガバナンス体制の構築
最後に、ガバナンス体制の構築が不可欠です。経済産業省が示す「デジタルガバナンス・コード」を参照しながら、適切な管理体制を整備することが重要です。これには、ITシステムの統制、セキュリティ管理、コンプライアンスの確保、リスク管理など、多岐にわたる要素が含まれます。適切なガバナンス体制を構築することで、デジタル化による恩恵を最大限に活かしつつ、リスクを最小限に抑えることが可能となります。
5. まとめ
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中で、情シス部門は企業全体の変革を支える重要な役割を担っています。従来のIT管理やサポート業務に加え、DX推進においては最新技術の導入促進や社内のデジタルリテラシー向上、組織内ナレッジの共有など、多岐にわたる活動が求められています。一方で、レガシーシステムの保守負担や人材不足、セキュリティの強化といった課題も深刻であり、情シスの効率化とモダナイゼーションが急務です。これらの課題に対しては、RPAやチャットボットの活用、ガバナンス体制の強化、最新システムへの移行などの対策が有効です。情シス部門がその役割を強化し続けることが、企業のDX推進と持続的な成長を支える鍵となります。
ヒューマンサイエンスは、DX推進の一環として、DeepLやGoogle、Microsoft、OpenAIの翻訳エンジンを活用できる自動翻訳ソフト「MTrans for Office」を提供しています。OpenAIは、翻訳だけでなく、プロンプト次第で文章の生成や書き換え、文章校正も行うことができ、業務効率化や多言語対応の高度化をサポートします。これにより、情シス部門は、社内外のコミュニケーションのスピードと品質を向上させ、DX推進を後押しする重要な役割を果たすことが可能です。MTrans for Officeは、14日間の無料トライアルも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
MTrans for Officeの特長
- ① 翻訳できるファイル数、用語集に制限はなく定額制
- ② Office製品からワンクリックで翻訳できる!
- ③ API接続でセキュリティ面も安心
・さらに強化したいお客様にはSSO、IP制限などもご提供 - ④ 日本企業による日本語でのサポート
・セキュリティチェックシートへの対応も可能
・銀行振込でのお支払いが利用可能