ChatGPTでDXを推進するには？ 活用事例や連携ツールのご紹介

目次

はじめに
1. ChatGPTでDXを推進できる？
2. ChatGPTでDXを進めるための業務効率化の方法
3. ChatGPTにより業務効率化を実現した事例
4. DXを推進するChatGPTと連携できるツール
5. まとめ

はじめに

ChatGPTは、OpenAI社が開発した大規模言語モデルで、自然な対話や多様なタスクをこなすAIツールです。一方、DX（デジタルトランスフォーメーション）は、デジタル技術を活用して業務プロセスや組織文化を変革し、新たな価値を創出する取り組みです。ChatGPTはDXの実現に大きく貢献します。このブログ記事ではChatGPTを活用してDXを推進する方法を説明します。

1. ChatGPTでDXを推進できる？

ChatGPTとは？

ChatGPTは、米国OpenAI社によって開発された非常に大規模な言語モデルです。このモデルは、AI技術を活用することで、ユーザーとのチャット形式での会話が可能であり、その対話はまるで人間同士の会話のように自然です。ChatGPTは主にウェブページにある大量のテキストデータから機械学習しており、人間が作成したような自然な文章を生成することができます。ChatGPTの用途は、文章要約や文脈の理解、さらにはプログラミングコードの生成や記事の作成、翻訳など多岐にわたります。ChatGPTは単なる会話の相手としてだけでなく、さまざまなタスクを担う一作業者として振る舞うことも可能です。

DXとは？

DX（デジタルトランスフォーメーション）とは、データとデジタル技術を駆使して、顧客や社会のニーズに応じた製品やサービス、ビジネスモデルを革新することを指します。しかし、DXの本質は単なる技術導入にとどまりません。それは、業務そのものや組織、プロセス、さらには企業文化や風土までをも変革することを意味します。

DXには以下の3段階があります。

1. デジタイゼーション（Digitization）

アナログ情報をデジタルデータに変換する段階です。例えば、紙の書類をスキャンして電子ファイル化することや、アナログ信号をデジタル信号に変換することがこれに該当します。

2. デジタライゼーション（Digitalization）

デジタルデータを活用して業務プロセスを改善・効率化する段階です。具体的には、電子メールの導入、クラウドサービスの利用、業務自動化ツールの導入などが含まれます。これにより、作業のスピードアップやコスト削減が実現します。ChatGPTはこのデジタライゼーションに寄与します。

3. デジタルトランスフォーメーション（Digital Transformation）

企業や組織全体のビジネスモデルや文化を根本的に変革する段階です。新しいデジタル技術を活用して新たな価値を創出し、市場や顧客のニーズに柔軟に対応できる体制を構築します。例えば、AIを活用した製品開発やビッグデータ分析による戦略的意思決定、リモートワークの推進などが挙げられます。

これらの3段階を順に進めていくことで、企業は持続的な成長と競争力の強化を図ることができます。

ChatGPTとDXの関係性

DXの実現には様々な手段がありますが、ChatGPTを始めとするAIツールはその中でも特に効果的な選択肢として注目されています。ChatGPTは、自然言語処理の能力を活かして多様な業務を自動化・サポートすることができるため、組織のデジタル化を大きく前進させる可能性があります。既存の業務フローやビジネスプロセスに組み込むことで効率化・最適化を進め、組織全体のデジタル変革を支援し、DXの実現に貢献します。

2. ChatGPTでDXを進めるための業務効率化の方法

ChatGPTでDXを進めるための業務効率化の具体例を紹介します。

情報収集・リサーチ

ChatGPTは膨大な情報を瞬時に処理し、ユーザーの質問に対して的確な回答を提供できるため、市場調査や競合分析、トレンド把握などの業務を大幅に効率化できます。また、複雑なテーマに関する情報を要約したり、多言語の資料について母国語で質疑応答したりすることも可能です。これにより、従来は時間と労力を要していた情報収集プロセスが迅速化され、意思決定のスピードアップや戦略立案の質の向上につながります。

アイデア出し

ブレインストーミングセッションに代わり、ChatGPTを活用することで、短時間で多様なアイデアを生成し、それらを基に人間がさらに発展させることができます。また、特定の問題に対する解決策の提案や、新製品・サービスのコンセプト立案にも活用できます。ChatGPTの幅広い知識ベースを利用することで、従来では思いつかなかった斬新なアイデアや異分野からのインスピレーションを得ることも可能です。これにより、創造的プロセスが加速し、イノベーションの促進につながります。

文章作成・校正

ChatGPTは、報告書、プレゼンテーション資料、マニュアルなどの文書作成を支援し、初稿の素早い生成や、既存文書の要約・リライトを行うことができます。また、文法や表現のチェック、一貫性の確認など、校正作業も効率的に実施可能です。これにより、従来人手に頼っていた時間のかかる作業が大幅に短縮され、より創造的な業務に時間を割くことができるようになります。

翻訳

ChatGPTは多言語に対応し、高精度な翻訳が可能なため、社内文書や顧客とのコミュニケーション、マニュアルの多言語化などに活用できます。人間による最終チェックは必要ですが、ChatGPTによる下訳作成により、翻訳プロセス全体の時間短縮とコスト削減が実現できます。さらに、専門用語や業界特有の表現にも対応できるよう、プロンプトを調整することで、より精度の高い翻訳が可能になり、グローバルビジネスの効率化に大きく貢献します。

データ集計の自動化

従来、手作業で行っていた複雑なデータ集計作業をChatGPTに任せることで、作業時間の大幅な短縮と人為的ミスの削減が可能になります。ChatGPTは大量のデータを瞬時に処理し、必要な情報を抽出・整理できるため、レポート作成や意思決定のためのデータ分析が迅速かつ正確に行えます。専門的なプログラミングやデータ分析の知識は不要です。言葉で指示するだけで、ChatGPTがプログラミングコードを書き起こしてデータを分析し、表やグラフを生成できます。

問い合わせチャット対応（社内外）

社内外からの問い合わせに対し、ChatGPTを導入することで24時間365日の自動応答が可能となり、人的リソースの削減と対応時間の短縮が実現します。生成AIにはハルシネーションと呼ばれる、事実とは異なる情報が生成される現象がありますが、FAQデータベースを用意しておきChatGPTに参照させることでハルシネーションを防止できます。RAG（Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成）やファインチューニング、ベクトルストア/ベクターストア（Vector Store）と呼ばれる技術を組み合わせることで回答の正確性が向上します。

3. ChatGPTにより業務効率化を実現した事例

業務の自動化で効率化に成功

三菱UFJ銀行ではChatGPTを社内システムに統合することで、稟議書の作成や社内文書のドラフト作成といった日常的な業務に活用されています。これにより、従来は手作業で時間と労力を要していた文書作成のプロセスが大幅に簡素化され、社員の作業効率が向上しました。月あたり20万時間以上の削減効果が試算されています。生成AIの導入後はその利便性が広く認識され、利用者数が急速に増加し、導入から半年で利用者数が約3倍にまで拡大しました。会議の議事録作成など多岐にわたる業務で生成AIが活用されており、その効果は大きく感じられています。

アンケート結果の感情分析で効率化に成功

パナソニックコネクトではデータ分析、デジタルマーケティング、プログラム開発支援などの分野にChatGPTを導入しています。ChatGPTは文面から感情を判断できます。自由記述形式のアンケートに対する感情分析を行う際にChatGPTを利用したところ、人手で行えば約9時間を要する作業を、わずか6分で完了させることができました。この大幅な時間短縮により、迅速なデータ処理が可能となり、分析結果を基にした迅速な意思決定が実現できます。また、自動化された感情分析は人的ミスの低減にも寄与し、より正確なデータ解析が期待されます。

ChatGPTベースの社内向け生成AIサービスの開発活用で効率化を目指す

住友化学では生成AIを活用した独自のAIサービスを開発し、全従業員を対象に運用を開始しました。この取り組みは、セキュアな環境で同社独自情報を取り扱える点にあり、文書作成、校正、プログラムソースコード生成などのオフィス業務で利用できることに加えて、技術アイデアの創出や研究・製造データの分析にも活用可能です。事前検証では最大50％以上の効率化を確認し、今後は独自データとの連携や特化型モデルの構築を視野に入れ、業務効率向上および付加価値創出の取り組みを加速させます。

4. DXを推進するChatGPTと連携できるツール

MTrans for Officeとは

MTrans for Officeとは、高度な翻訳機能とOpenAIによるAI執筆支援を提供するMicrosoft 365製品用アドインです。DeepL、Google、Microsoftの自動翻訳サービスとOpenAI機能に対応し、Word、Excel、PowerPoint、Outlookの各オフィスアプリの中からワンクリックで自動翻訳やテキスト生成を行うことができます。OpenAI機能では、ChatGPTを支えるテキスト生成に対応したAIモデル（GPT-4o/GPT-4o mini/o1-mini）を利用できます。

MTrans for OfficeのOpenAI機能でできること

MTrans for Officeに搭載されたOpenAI機能は、翻訳と執筆補助用にChatGPTをカスタマイズしたものです。

OpenAIによる翻訳機能では、指示内容（プロンプトと呼ばれます）を調整することで訳文の表現を変えることができます。例えば、マーケティングに適した表現を使用したり、ビジネス用にフォーマルな表現を使用したりすることが可能です。MTrans for Officeにはあらかじめ複数の翻訳用プロンプトが組み込まれているため、ユーザーはリストからプロンプトを選択するだけで訳文を調整できます。独自のプロンプトを用意することも可能です。また、MTrans for Office には用語集機能があり、あらかじめ用語集を用意することで、製品やサービス名などの固有名詞を正しく翻訳することができます。Outlookではメールの概要を日本語で用意しておき、概要から英語メール全体を生成させることもできます。

OpenAIによる執筆補助機能は、ユーザーの多様なニーズに応えるために、さまざまな文章作成支援機能を提供しています。例えば、書き換え機能では、元の文章の意味を保持しつつ、異なる表現やスタイルに変えることができます。要約機能を活用すれば、長文のテキストから重要なポイントを抽出し、短く分かりやすい形にまとめることが可能です。また、下書き作成機能を使って、ブログ記事などの文章をすばやく用意することもできます。文章校正機能は、文法や綴りの誤りを自動的に検出し、修正提案を行うことで、より正確で洗練された文章を作成する手助けをします。辞書機能では、専門用語や難しい言葉の意味を調べることができるため、執筆中に生じる疑問点を即座に解消できます。独自のプロンプトを用意して、業務に固有の執筆補助機能を追加することも可能です。

これらの機能を総合的に活用することで、翻訳業務と執筆業務が効率化されます。MTrans for Officeを導入することでデジタルトランスフォーメーション（DX）を推進できます。

【関連リンク】

「ChatGPTの翻訳力は？翻訳の各工程で徹底検証」

「DX推進で業務効率化は可能？業務効率化につながるツールをご紹介！」

5. まとめ

ChatGPTは、業務効率化とDX推進に利用できるAIツールです。情報収集、アイデア創出、文書作成、翻訳、データ分析、問い合わせ対応など、幅広い業務での活用が可能です。さらに、MTrans for Officeのような連携ツールを活用することで、より効果的なDX推進が期待できます。

ヒューマンサイエンスではDeepL、Google、Microsoft、OpenAIの翻訳エンジンを利用できる自動翻訳ソフトMTrans for Officeを提供しています。OpenAIは翻訳エンジンとして活用できるだけではなく、プロンプト次第で文章の書き起こしや書き換え、文章校正をすることができます。MTrans for Officeは、14日間の無料トライアルも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。