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多言語展開をスムーズに!製造業・IT向け英語翻訳のポイント5選

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2024.8.26

多言語展開をスムーズに!製造業・IT向け英語翻訳のポイント5選

製造業(FA)やIT分野において、日本語の技術資料や取扱説明書を多言語に展開する際には、まず日本語から英語への翻訳が行われ、その後英語を基に他の言語へと翻訳するのが一般的です。このプロセスにおいて重要なのは、日本語の特性や表現のニュアンスを正確に英語に反映させることです。もし英語訳が不明確だったり、文法や構成が複雑で読みにくかったりすると、その後の翻訳段階で誤解や混乱を招く可能性があります。

今回は、多言語展開を視野に入れている方に向け、日英翻訳の段階で特に注意すべき部分に焦点を当て、誤解を防ぐためのポイントを5つご紹介します。

目次

1. 省略された内容を訳文で適切に補完する

日本語の技術文書には、省略された表現がよく見られます。翻訳時には、これらを意図的に補完することが重要です。省略部分を明確にすることで、翻訳精度が向上し、多言語翻訳もスムーズになります。また、文脈や暗黙の前提を明確にすることで、誤解を防ぐことが可能です。

例①

原文 エラーが解除されると非表示になります
訳文(修正前) When the error is canceled, non-display is applied.
訳文(修正後) When the error is canceled, the icon is no longer displayed.

修正後の訳文では、「非表示になります」を「アイコンが表示されなくなる」と具体的にしました。これにより、原文で省略されていた「アイコン」という情報を適切に補完し、多言語展開における誤解や不自然な訳文の生成を防ぐことができます。

例②

原文 臨床試験の計画に利用する際には、計画を立案する装置上で輪郭を表示し、正しいかを確認してからご利用ください
訳文(修正前) Before applying this information in clinical trial planning, display the contours on the device that creates the plans and confirm whether it is correct.
訳文(修正後) Before applying this information in diagnosis planning, display the contours on the device that creates the plans and confirm that the information is correct.

修正後の訳文では、「非表示になります」を「アイコンが表示されなくなる」と具体的にしました。これにより、原文で省略されていた「アイコン」という情報を適切に補完し、多言語展開における誤解や不自然な訳文の生成を防ぐことができます。

例③

原文 SETスイッチを押した後、撮影を仕切り直したい場合は、SETスイッチを再度押して解除してください
訳文(修正前) To readjust radiography after pressing the SET switch, press the SET switch again to cancel.
訳文(修正後) To readjust radiography after pressing the SET switch, press the SET switch again to cancel the status.

修正後の訳文では、「解除してください」の部分を「(その)状態を解除してください」と具体的にしました。原文で省略されていた「状態」を補完することで、訳文がより明確になります。

2. 長文を分割し、訳文を読みやすくする

日本語の文書は長くなりやすく、一つの文に複数の情報が詰め込まれることが多いです。これをそのまま英語に翻訳すると、時には読みにくくなることがあります。文を適切に分割することで、翻訳後の文章が読みやすく、理解しやすくなります。この工夫により、誤訳や混乱を避け、多言語翻訳の精度も高まります。

例①

原文 懸垂用主チェーンと副ワイヤーを備え、主チェーンが切れた場合でも副ワイヤーで支える落下防止メカニズムを備えています。
訳文(修正前) The device is equipped with a fall prevention mechanism composed of a main chain and sub wire for suspension, and is supported by the sub wire even if the main chain breaks.
訳文(修正後) The device is equipped with a fall prevention mechanism composed of a main chain and sub wire for suspension. Even if the main chain breaks, the device is supported by the sub wire.

原文では、「(この装置は)懸垂用主チェーンと副ワイヤーを備えています」と「主チェーンが切れた場合でも副ワイヤーで支える落下防止メカニズムを備えています」という二つの内容が一つの文章でまとめられています。修正後の訳文では二つの文に分けることで、それぞれの情報が独立して伝わりやすくなり、読みやすさが向上します。

例②

原文 次図に示す[NUM-EN]キーを1回押して頂くことで、[NUM-EN] キーが有効となり、テンキーによる数字入力が可能となります。
訳文(修正前) Pressing the [NUM-EN] key shown in the figure below once enables the [NUM-EN] key, which then enables numbers to be entered using the numeric keypad.
訳文(修正後) Press the [NUM-EN] key shown in the figure below once to enable the [NUM-EN] key. Numbers can now be entered using the numeric keypad.

「which」を使った構成は文法的には正しいですが、読者によっては「which」が修飾する対象が不明瞭になることがあり、読みづらくなることがあります。そのため、文章を二つに分けることで、読みやすさを向上させることをおすすめします。

例③

原文 装置は、十分な調整を行ってからお届けしていますので、固定した調整部分には触れないでください。
訳文(修正前) As the system is fully adjusted before delivery, do not touch the fixed adjustment areas.
訳文(修正後) The system is fully adjusted before delivery. Do not touch the fixed adjustment areas.

日本語では「~ので、~ください」といった従属節+主節の構成がよく使われますが、英語に翻訳する際に必ずしも同じ構成にする必要はありません。「装置は十分に調整した後にお届けします」と「固定された調整部分には触れないでください」という二つの情報を別々の文として訳すことで、文章がより読みやすくなります。

3. 逐訳を避ける

日英翻訳で逐語訳を行うと、多言語展開時に翻訳者が混乱することがあるため、慎重な対応が求められます。ここでは、その具体例をいくつかご紹介します。

例①

原文 Scale-Focusロータリーエンコーダを左に回すとADV Scaleに戻ります。
訳文(修正前) To return to ADV Scale, turn the Scale-Focus rotary encoder to the left.
訳文(修正後) To return to ADV Scale, turn the Scale-Focus rotary encoder counterclockwise.

修正後の訳文では、「左に回す」を「counterclockwise」と具体的にしました。たしかに原文は「左に回すと」となっており、そのままだと「turn … to the left」になりますが、「counterclockwise」とすることで、操作にふさわしいより明確な指示が提供され、誤解を防ぐことができます。

例②

原文 性能グラフ用フラグをマウスオーバします
訳文(修正前) Mouse over the collection flag.
訳文(修正後) Hover the mouse cursor over the collection flag.

修正後の訳文では、和製英語の「マウスオーバ」を「Hover the mouse cursor over」と具体的にしました。和製英語である「マウスオーバ」をそのまま「mouse over」と訳すと、翻訳者が意味を理解できない恐れがあるため、より明確で一般的な表現を使用する必要があります。

例③

原文 クロスラインカーソルを解除する計測ポイントの一つに合わせる。
訳文(修正前) Put the cross-line cursor on the measurement point you wish to unlock.
訳文(修正後) Put the cross-hair cursor on the measurement point you wish to unlock.

修正後の訳文では、「クロスラインカーソル」を「cross-hair cursor」にしました。カタカナの「クロスラインカーソル」をそのまま「cross-line cursor」と訳しがちですが、英語では「cross-hair cursor」と表現されます。このように、カタカナ表現が英語では異なる場合があるため、気を付ける必要があります。

4. 余計な形式主語や代名詞を避ける

余計な形式主語や代名詞が多すぎると文章が冗長になり、意味が曖昧になります。翻訳品質を保つためには、簡潔で明確な表現を心がけ、主題や動作を直接示すことが大切です。

例①

原文 RLプリセットのコピー方法は2通りあります。
訳文(修正前) There are two methods on how to copy RL presets.
訳文(修正後) Two methods are available for copying RL presets.

修正後の訳文では、余計な形式主語「There」を避け、主語を前に持ってきてSVO構成にしました。これにより、訳文がより簡潔で明確になり、情報が直接的に伝わります。

例②

原文 QLプリセットを有効にすることで、使用することができます。
訳文(修正前) QL presets can be used by enabling them.
もしくは
By enabling QL presets, they can be used.
訳文(修正後) Enable QL presets for use.

修正後の訳文では、余計な代名詞「them」や「they」を使わないようにしました。代名詞を使用すると、文の見た目が悪くなることや、対象が不明瞭になる可能性があるため、注意が必要です。

例③

原文 外部PCの初回起動時はMch-iソフトウェアのログインが必要です。
訳文(修正前) When starting the external PC for the first time, it is necessary to log into the Mch-i software.
訳文(修正後) When starting the external PC for the first time, logging in to the Mch-i software is required.

修正後の訳文では、余計な形式主語「it」を使用せず、SVO構成にしました。

5. 不規則な形式や表記を修正する

多言語展開を視野に入れた日英翻訳では、日本語原文の独特な形式を適切に修正することが重要です。例えば、日本語に頻繁に見られる不規則なダブルクォーテーションや省略語は、翻訳後に誤解を招く可能性があります。これらを統一された形式に修正し、原文の意図を正確に伝えることが大切です。

例①

原文 この装置の近くでは、「携帯電話」「トランシーバ」「携帯無線」「ラジコンのおもちゃ」など、電波の発生する機器は絶対に使用しないでください。
訳文(修正前) Never use “cell phones”, “transceivers”, “walkie-talkies”, “radio controlled toys”, or other devices that emit radio waves near this device.
訳文(修正後) Never use cell phones, transceivers, walkie-talkies, radio controlled toys, or other devices that emit radio waves near this device.

修正後の訳文では、ダブルクォーテーションを取り除きました。日本語では特に固有名詞やUIでない場合でもダブルクォーテーションが使われることがありますが、そのまま英訳に反映すると、多言語翻訳展開で翻訳者が混乱し、問い合わせや誤訳が増えるおそれがあります。よって、日英翻訳の段階で適切に対応することが大事です。

例②

原文 間隔とは、何mm間隔でスライスを切り出すかを意味します。
訳文(修正前) The interval means the number of millimeters between each slice that is cut out.
訳文(修正後) The “interval” means the number of millimeters between each slice that is cut out.

修正後の訳文では、「間隔」を「”interval”」と示しました。この文章は用語の説明文であり、「interval」をダブルクォーテーションで囲むことで意味がより明確になります。

例③

原文 MCにファイルを転送する場合は項番1-2-14から1-2-16を実行してください。
訳文(修正前) To transfer files to an MC, perform items 2-5-18 through 2-8-20.
訳文(修正後) To transfer files to a memory card, perform items 2-5-18 through 2-8-20.

修正後の訳文では、「MC」を「memory card」と具体的にしました。このような略語を適切に修正するのも、多言語展開を視野に入れた日英翻訳の対応の際に重要なポイントになります。

6. まとめ

多言語展開を考慮した日英翻訳では、日本語の特性や表現を英語に適切に反映させることが重要です。省略された内容の補完や長文の分割、逐訳を避けることなどに気を付けることで、翻訳の品質が向上し、誤解や混乱を防ぐことができます。これにより、翻訳がより明確で使いやすくなり、後続の多言語翻訳でもスムーズな展開が可能になります。

ヒューマンサイエンスでは人手翻訳サービスやポストエディットサービスを提供しております。ソフトウェア、製造業、IT、自動車、流通と幅広い分野の翻訳を手掛ける翻訳会社です。1994年から長きにわたり多くの企業様の翻訳のお手伝いをしてきました。以下のようなお悩みがあれば是非お気軽にご相談ください。

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執筆者情報

アンディ パークマルチリンガルトランスレーショングループ
日英翻訳レビューアー

  • ・前職では、4年ほどITエンジニアとして従事、その後8年間英会話講師として教育プログラムの策定や講師育成に従事。
  • ・IT関連分野、ビジネス分野を中心とした翻訳歴11年。
  • ・現在はFA関連製品を中心に、製品マニュアル、ヘルプ、業務マニュアルなどの日英翻訳作業や翻訳品質管理に従事。
  • ・機械翻訳エンジンの日英翻訳品質評価・検証を担当。
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