お客様より
「Google翻訳などの無料の機械翻訳サービスと
有料の機械翻訳エンジンはどう違うの?」
というお問い合わせをよくいただきます。
実は企業でもGoogle翻訳などの無料の機械翻訳サービスを
活用する事例が増えてきています。
昨年末には
「東京都台東区のホームページが、
機械翻訳を使って89言語に対応。
うち81言語はGoogle翻訳」
というニュースが話題になりました。
台東区では、英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、
フランス語、タイ語、マレー語、インドネシア語以外の81言語について
Google翻訳を使って、各国語でもホームページが見られるように
対応したとのことです。
台東区のように、Google翻訳などの無料の機械翻訳サービスを使えば、
コストをかけずに、素早く多くの言語に翻訳をすることができます。
「では、Google翻訳で機械翻訳を導入しよう」と思われるかもしれませんが、
導入する前に、そのメリットとデメリットを把握しておく必要があります。
そこで、本日は無料の機械翻訳サービスと有料の機械翻訳の違いを
ご紹介していきます。
特に大きな違いは次の3つです。
・カスタマイズ
・セキュリティ
・コスト
この3つのポイントについて、2回に分けてご紹介していきます。
●エンジンのカスタマイズ
まず1つ目のポイントが、
「エンジンがカスタマイズできるかどうか」という点です。
有料のエンジンでは用語集を設定したり、
コーパスと呼ばれる過去の翻訳データで
エンジンをカスタマイズして、
その企業や製品独自の用語や表現を使った翻訳を行うことが可能です。
一方、無料の翻訳サービスでは用語集なども設定できませんし、
分野も選べないものがほとんどなため、
高い品質を求める文書やブランドイメージに影響するような
文書の翻訳には適していないと言えるでしょう。
例えば、先日ある企業のご依頼で、カメラに関する文書をGoogle翻訳で
機械翻訳した結果を品質評価したのですが
「撮影する」という意味の「shooting」が
「射撃する」と翻訳されてしまっているというようなこともありました。
企業の製品ページや取扱説明書に「射殺する」という言葉が
出てくると企業や製品のイメージを損なってしまう恐れがありますね。
こうした例のように、無料の翻訳サービスでは、
内容や用途に適さない用語や表現を使った
翻訳がされてしまう可能性が大きくなります。
「ただ安いから」といって無料のエンジンを導入しても、
そのエンジンが対象の文書に適したものでないと、
結局使いものにならないというケースも多くありますので、
用途に合わせてエンジンのカスタマイズの要否を慎重に判断するようにしてください。
今回は、Google翻訳などの無料の機械翻訳サービスと
有料の機械翻訳エンジンの大きな違いの一つである
「カスタマイズ」に焦点をあててお話してきました。
次回のブログでは、「セキュリティ」と「コスト」の面から
違いをご紹介していきます!
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最適な機械翻訳エンジンの選び方
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ブログ執筆担当
徳田 愛
・機械翻訳コンサルタントとして、日本企業に向けた
機械翻訳導入やプロセス構築のコンサルティングを行う。
・多言語翻訳を左右する原文品質を重要視し、
和文ライティング工程も担当機械翻訳に適した
マニュアル作成のコンサルティングも実施。
・機械翻訳関連の以下の発表も担当。
– 2013年 第23回JTF(一般社団法人日本翻訳連盟)翻訳祭
「多言語における機械翻訳へのアプローチ
~評価とプロセスの観点から~」講演
– 2014年 AAMT(アジア太平洋機械翻訳協会)機械翻訳フェア
「機械翻訳を使いこなす~品質と生産性の向上のために~」