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💡この記事の概要
本事例では、AsciiDoc形式の技術文書をPhrase TMSに直接取り込み、日本語から英語へ翻訳した後、英語を基点に9言語へ展開しました。従来必要だったファイル変換工程を削減し、英語原稿を確定してから多言語化することで、翻訳作業や修正対応を効率化した取り組みをご紹介します。
1. 技術文書の多言語展開を支える新しい翻訳ワークフロー

当社では、さまざまな分野の技術文書の翻訳・ローカライズを支援しています。今回ご紹介するのは、AsciiDoc形式で作成された技術ドキュメントを対象とした、多言語展開プロジェクトです。
本案件では、日本語から英語への翻訳に加え、英語をマスター言語としてさらに9言語へ展開する大規模なローカライズを実施しました。
特徴的なのは、ドキュメント制作の基盤としてAsciiDocが採用されていたことです。従来のWordベースのマニュアル制作とは異なり、ソフトウェア開発に近いドキュメント管理手法が採用されており、翻訳工程にも新しいアプローチが求められました。
また、翻訳にはPhrase TMSを活用し、AsciiDocとの親和性を生かした効率的なワークフローを構築しました。技術文書制作とローカライズの両面から最適化を図った点が、本案件の大きな特徴です。
2. AsciiDoc採用の背景と技術的なメリット

AsciiDocは、プレーンテキストベースで文書を記述する軽量マークアップ言語の一種です。
テキストエディタで編集できる手軽さを持ちながら、見出しや表、画像、リンクなどの構造化された情報を管理できるため、近年ではソフトウェア開発や技術文書の分野で広く利用されています。
Wordなどの従来フォーマットは完成原稿としては優れていますが、大規模な技術文書を長期的に管理する場合には更新履歴や差分管理が課題となることがあります。一方でAsciiDocは、コンテンツそのものを構造化して管理できるため、技術文書との親和性が非常に高いフォーマットといえます。
3. Phrase TMSを活用した翻訳ワークフロー

弊社では通常、翻訳のためのCATツールとしてTradosを使用しています。
しかし、本案件ではTradosではなくPhrase TMSを採用しました。
Phrase TMSの基本機能や、CATツールとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
>関連ブログ:Memsource(現Phrase TMS)とは?翻訳支援ツール(CAT)と翻訳管理システム(TMS)の違いは?
その大きな理由の一つが、AsciiDoc形式(.adoc)への対応です。
弊社でも通常使用しており、業界的にも一般的といえるTradosでは、AsciiDocファイルをそのまま読み込めず、事前にXML形式などへ変換する必要があります。
もちろんその形式でのご対応も可能ですが、変換作業や検証作業が追加で発生し、運用負荷が増える可能性があります。
一方、Phrase TMSはAsciiDocファイルを変換作業なしでそのまま取り込むことが可能です。注意点はありますが、Tradosに比べて非常にスムーズに取り扱うことができるため、翻訳工程をシンプルに構築できました。
また、実際の運用においては、Tradosと比べて以下のような違いもありました。
※本案件における観点です。
| 観点 | Trados | Phrase TMS |
|---|---|---|
| ファイル対応 | .adocは標準では非対応(前処理が必要) | AsciiDocの取り扱いが比較的容易 |
| 操作性 | 高機能だが習熟が必要 | シンプルで直感的 |
| パフォーマンス | ローカル環境依存 | 軽量で動作が快適 |
CATツールごとの特徴や選定時のポイントについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
>関連ブログ:プロが厳選!CATツール比較5選 ~選ぶべきポイントとは?~

4. 多言語展開におけるポイント

本案件では、まず日本語原稿を英語へ翻訳し、その英語版をベースとして9言語へ展開するフローを採用しました。
この時に重要なポイントは、英語の段階で翻訳原稿を確定させることです。
もし翻訳後に文章の見直しが入ると、9言語全てに対してその反映作業が発生します。コスト・工数ともに負荷が高まり、またミスが起きやすくなるという危険性もあります。
英語の段階で変更作業を全て反映できていれば、多言語化した際にスムーズに進めることができます。
英語を基点とした多言語展開の考え方や、翻訳依頼時のポイントについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。
5. 翻訳プロキシ導入への期待

本案件のお客様は、今後の展望として翻訳プロキシの導入をご検討されています。
翻訳プロキシとは、Webサイトやアプリケーションなどのコンテンツ更新を検知し、自動的に翻訳ワークフローへ連携する仕組みです。
従来は更新のたびにファイル抽出や翻訳依頼が必要でしたが、翻訳プロキシを活用することで、よりリアルタイムに近い形で多言語コンテンツを運用できるようになります。
導入が実現した場合、以下のような効果が期待されます。
• 更新作業の自動化
• 手作業による運用負荷の削減
• 翻訳依頼から公開までのリードタイム短縮
• 継続的ローカライズの実現
• グローバル展開スピードの向上
特に頻繁なアップデートが発生する技術文書やオンラインマニュアルにおいては、大きな価値を発揮すると考えています。
当社では翻訳プロキシに対応をしている企業の調査を進めています。
6. まとめ
今回ご紹介した案件では、AsciiDocによる技術文書制作とPhrase TMSによる翻訳を組み合わせることで、多言語展開を効率的に実現しました。
特に、
• AsciiDocによる構造化された文書管理
• Phrase TMSによるスムーズな翻訳ワークフロー
• 英語をハブとした9言語展開
という組み合わせは、大規模な技術ドキュメントのローカライズにおいて非常に有効でした。
技術ドキュメントの制作手法が進化する中で、翻訳・ローカライズにも新しいアプローチが求められています。当社では今後も、翻訳技術とドキュメント管理技術を組み合わせながら、お客様のグローバル展開を支援してまいります。
さらに将来的には、翻訳プロキシなどの新しい仕組みも取り入れ、より効率的で持続可能なローカライズ環境の実現を目指していきます。
技術文書・マニュアルの多言語展開なら、ヒューマンサイエンスにご相談ください
ヒューマンサイエンスでは、技術文書やマニュアルの翻訳に加え、対象言語や文書形式、更新方法に合わせた翻訳ワークフローの設計・運用を支援しています。AsciiDocなどの構造化文書や、Phrase TMSを活用した多言語展開についても、お気軽にご相談ください。

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7. よくある質問
- QAsciiDoc翻訳にPhrase TMSを使うメリットは何ですか?









