以前、エンジンが認識しやすいように原文をわかりやすく書き換える「プリエディット」
という工程によって、機械翻訳直後の訳文品質が向上するというお話をしました。
▼前回の記事
今回は、実際に例文をお見せしながら、プリエディットの効果をご紹介したいと思います。
こちらの英文を日本語に翻訳する場合を考えてみましょう。
If you set the function to [On], if you do not operate the player and do not play DVDs for approximately 10 minutes, the unit automatically enters ECO mode.
まず、一文がとても長いですよね。
副詞節(if~)が2回使われていることにより、
「you set~~」や「you do not operate~~」、「the unit automatically enters~~」など、
「主語+動詞」が何度も登場し、複雑な構造になっています。
実際、こちらの文を機械で翻訳すると、以下のように少し不自然な日本語になりました。
あなたは[ON]に機能を設定する場合は、 プレーヤーを操作しないと約10分間のDVDを再生していない場合、 ユニットは自動的にECOモードに入ります。
「~場合」が2回登場し、結局どのような条件下で「ECOモードに入る」のか、わかりにくいですよね。
そこで、英文を以下のようにプリエディットしました。
If you set the function to [On], the unit automatically enters ECO mode under the following conditions: – The player is not operated – DVDs are not played for approximately 10 minutes
箇条書きを活用したことで、それぞれの文が簡潔になっています。
一文目で使われている副詞節も1つのみとなり、
シンプルな構造になったのがお分かりただけるかと思います。
プリエディット後の状態で機械翻訳にかけてみると、以下のような日本語が出力されました。
あなたは[ON]に機能を設定した場合、ユニットは自動的に 以下の条件でECOモードに入ります。 – プレイヤーが操作されていません – DVDは約10分間再生されません
文法的にも問題なく、内容が正確に伝わる文になっています。
また、箇条書きになっていることで、条件が2つであるということもひと目でわかりますね。
もちろん、こちらの日本語もまだ改善の余地はありますが、
プリエディットによって訳文の品質が向上することはお分かりいただけたのではないかと思います。
今回は英日翻訳を例に挙げてご説明しましたが、
プリエディットは、多言語に翻訳する場合に特に効果的です。
原文の品質が悪いと、訳文言語の数だけポストエディットにかかる工数が
何倍にも膨れ上がってしまいます。
コスト削減や品質向上を図る際に、プリエディットはとても重要なのです。
ただし、やみくもに書き換えればいいというものではなく、
ポイントを押さえて行わないと、コストをかけた分の効果が得られなかったり、
場合によってはプリエディットをしたことによって
逆に訳文品質が落ちてしまったりということがあります。
ヒューマンサイエンスでは、事前にサンプル翻訳を行って、
プリエディットの要否を検討し、書き換えのポイントを分析いたします。
各プロジェクトに最適なスタイルガイドの作成もお手伝いしておりますので、
ぜひお気軽にお問い合わせください。