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ビジネスのグローバル化に伴い、英文契約書を扱う機会は増加の一途を辿っています。迅速な意思決定が求められる現場ではAI翻訳の活用が進む一方で、法的な厳密性が求められる契約書において「どこまでAIに頼ってよいのか」という不安も根強くあります。本記事では、契約書翻訳の基礎知識から、AI翻訳と人手翻訳の比較、そしてAI翻訳の導入を成功させるためのポイントを解説します。
1. 契約書翻訳に必要な基礎知識

1.1 契約書翻訳とは?
契約書翻訳とは、権利義務関係を規定する法的な文書を、異なる言語間で正確に変換する作業を指します。その本質は「法的な合意内容の再現」にあり、翻訳された文書がそのまま法的な拘束力を持つため、一言一句に極めて重い責任が伴います。技術的な裏付けと法的な解釈の両立が求められる、極めて専門性の高い分野です。
契約書の翻訳方法とは?翻訳時の注意点と精度を上げる方法を解説!
1.2 一般的なビジネス文書翻訳との違い
契約書を翻訳する際には、以下の3つの要素が不可欠です。
1. 法的文脈・契約慣行・専門用語の専門知識
論理的な一貫性が求められるだけでなく、独特の法的な文脈や契約慣行、さらには高度な専門用語への深い理解が不可欠です。単なる語学力だけでは、条項の真の意図を汲み取ることは困難です。
2. 契約書特有の言い回しへの対応
日常表現とは異なる古風な法務表現(hereinafter、whereasなど)や、権利・義務の強さを厳密に定義する助動詞(shall、may、mustなど)を正確に使い分ける必要があります。訳語を誤ると、意図しない法的義務が生じるリスクがあります。
3. 正確な訳文
解釈の不一致が多額の損害賠償や法的紛争に直結するため、誤訳はもちろん、曖昧な表現を排除する極めて高い正確性が求められます。翻訳の良し悪しが、そのままビジネスのリスク管理に直結します。
1.3 翻訳対象となる契約書の種類
ビジネスシーンでは、取引の形態や組織の運営目的に応じて、多種多様な契約書が翻訳の対象となります。
・業務委託契約書
委託する業務範囲や成果物の帰属、支払い条件などを定めます。特に責任の制限や損害賠償条項は、将来的なトラブル回避のために極めて慎重な訳出が求められます。
・雇用契約書
給与や役職だけでなく、各国の労働法規に準拠した解雇条件や競業避止義務などの規定が含まれます。法域ごとの解釈の違いが労働紛争に発展する可能性があるため、現地の法務背景を踏まえた翻訳が不可欠です。
・秘密保持契約書(NDA)
情報の定義や保護期間、除外事項などを規定します。スピーディーな締結が求められる一方で、定義の不備が致命的な情報漏えいリスクを招くため、迅速かつ正確な翻訳が重視されます。
・ライセンス契約書
特許や著作権などの知的財産の使用許諾条件を定めます。使用範囲や独占性の有無、ロイヤリティの計算方法など、専門性の高い技術用語と法務用語が混在するため、高い専門知識が求められます。
2. 契約書の翻訳手段:AI翻訳と人手翻訳の比較

最適な翻訳手段を選択するには、コスト、スピード、そしてリスクのバランスを考慮し、それぞれの特性を正しく理解しておく必要があります。メリットと課題は以下のとおりです。
2.1 AI翻訳ツールを用いる
メリット:近年のニューラル機械翻訳の進化により、従来の自動翻訳とは比較にならないほど高精度な翻訳が可能になりました。最大の利点はその圧倒的なスピードであり、数百条に及ぶ膨大な条文も、人間が数日かけるところを数分で訳出できる点は大きな強みです。
課題:初期投資やツールの操作習得に一定のコストがかかります。また、AIは文脈を読み違えるリスクがあるため、常に「ポストエディット」(人間による確認、修正)を前提とする必要があり、専門用語の最終判断などは人間が担わなければなりません。
ビジネスに活用できる翻訳ツールとは?機密は保持される?5つのツール例やAI翻訳の自動化によるメリット、選び方をご紹介
2.2 法的文書の専門家がいる会社へ外注
メリット:弁護士や行政書士といった法律のプロフェッショナルが翻訳やリーガルチェックに関与するため、法的な妥当性が高い次元で担保されます。裁判所提出書類など、法的なリスクを極限まで排除し、公的な信頼性が求められる高度な訳文が必要な場合に最適です。
課題:AI活用に比べて費用が大幅に高額になりやすく、納品までにも相応の時間を要します。また、機密性の高い契約内容を外部組織へ預けるため、情報漏洩リスクに対する物理的・組織的な管理コスト(秘密保持契約の締結、相手方のセキュリティ体制の監査、安全なデータ受け渡し環境の構築など、付随する手間と責任)も発生します。
3. AI翻訳を契約書に使うときの注意点

AI翻訳は有用ですが、契約書という性質上、以下の点に注意する必要があります。
・ハルシネーション(もっともらしい嘘)
AIは時に、文法的には完璧でも事実関係や法解釈が誤っている訳文を出力することがあります。そのため、専門家によるレビュー(ポストエディット)は必須です。
・機密情報の管理とセキュリティ
無料のクラウド翻訳ツールは、入力したデータがAIの学習に利用され、将来的に他社への回答として漏えいするリスクがあります。ビジネスで利用する際は、データの二次利用を禁止している法人向けツールを選ぶことが大前提です。
・実務的な法概念の理解
言葉の置き換えが正しくても、準拠法(どこの国の法律に従うか)や管轄(どこの裁判所で争うか)といった法的な背景が反映されていないと、形式上の契約は結べても実務上のリスクを排除しきれません。
・外注時のトレーサビリティ
外部の翻訳会社に依頼する場合でも、NDAの締結はもちろんのこと、どのようなセキュリティ環境下で作業が行われているかを把握しておく必要があります。
4. AI翻訳を活用して契約書翻訳を成功させるポイント

AIの利便性を享受しつつ、ビジネスリスクを抑制するためには、ツールを単に使うだけでなく、その特性に合わせた「仕組み化」が重要です。ここでは成功に導くための3つの戦略的ポイントを解説します。
4.1 用語集・翻訳メモリを活用して精度を上げる
AIは文脈を捉える力は高いものの、社内特有の定義や、過去の合意事項を自発的に守ることはできません。これを補完するのが、用語集と翻訳メモリ(TM)の活用です。
・用語集の連携による訳語の統一
契約書では、定義語の一貫性が極めて重要です。特定の法律用語や社内独自の専門用語を用語集として登録し、AIに参照させることで、訳語のばらつきによる混乱や誤解を未然に防ぎます。
・翻訳メモリによる過去資産の再利用
過去に人間がレビュー・確定した「完璧な訳文」をデータベース化して再利用します。契約書は定型的な条項が多いため、既訳を活用することで品質が安定するだけでなく、重複箇所の翻訳コスト削減と納期短縮にも直結します。
4.2 機密文書に対応したセキュアな環境を使う
契約書は企業の最重要機密の一つであり、翻訳プロセスにおけるセキュリティの確保は必須です。無料のクラウド翻訳サービスは入力データがAIの学習に利用され、将来的に他社へ漏えいするリスクがあるため、データの二次利用を禁止している法人向けツールを必ず使用してください。なお、弊社が提供しているAI翻訳サービス「MTrans for Office」(エムトランス・フォー・オフィス)は、API接続を通じて「データ学習をさせない」運用を保証しています。
4.3 ポストエディットの外注・レビュー体制を整える
「AI翻訳だけで完結させない」という運用ルールを徹底することが、最終的な品質を担保します。
・「AI+人間」のハイブリッドワークフロー
一次翻訳(下訳)はAIで瞬時に行い、人間(社内法務または専門翻訳者)は「法的な妥当性のチェック」や「繊細なニュアンスの調整」といった高度な判断に集中します。これにより、全行程を人手で行うよりも効率的な体制が構築できます。
・管理コストを抑えた外注戦略
社内に十分なレビューリソースがない場合は、AI翻訳後の成果物を専門会社に「ポストエディット」として依頼します。ゼロから翻訳を外注するよりも費用を抑えつつ、翻訳会社側の厳格なセキュリティ管理とプロの知見を活用できるため、トータルの管理コストを最小限に抑えられます。
5. AI翻訳なら「MTrans for Office」がおすすめ

契約書をはじめ、さまざまなビジネス文書を手軽に翻訳できるAI翻訳ツールとして「MTrans for Office」があります。MTrans for Officeは、Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointに統合されたAI翻訳アドインで、日常的に使用するOffice文書をそのままの形式で翻訳できる便利なツールです。ニューラル機械翻訳技術を採用しており、文脈を考慮した自然で正確な翻訳を実現しています。契約書のような専門性の高い文書であっても、Officeファイルのまま翻訳作業を進められるため、業務フローを大きく変えることなくAI翻訳を導入できる点が特徴です。
・Office上で直接翻訳
ファイルの移動やコピー&ペーストの手間が不要。普段使い慣れた画面からそのまま翻訳作業が行え、専門家の時間を有効活用できます。
・4つの翻訳エンジンを選択可能
DeepL、Google、Microsoft、ChatGPT(OpenAI)から、用途や専門分野に応じて最適なエンジンを選べます。
・固有名詞の事前登録
会社名や製品名、専門用語などを事前に登録することで、専門的な内容の誤訳を防止し、正確な翻訳を実現します。
・高いセキュリティ
機密性の高い文書も安心して翻訳できるため、社内の専門家が扱う重要な資料にも最適です。
6. まとめ
契約書翻訳の効率化において、AI翻訳は不可欠な手段となりました。しかし、法的な厳密性が求められる現場では、AIの利便性を活かしつつ、セキュリティの確保と人的レビューを組み合わせた「仕組み」としての運用が重要です。セキュアなインフラと専門的な知見を融合させることが、グローバルビジネスにおけるリスク管理と迅速な意思決定を両立させる鍵となります。
ヒューマンサイエンスでは、セキュアなAI翻訳環境「MTrans for Office」の提供から、専門翻訳者によるポストエディット代行サービスまで、貴社のニーズに合わせた柔軟なソリューションをご提案します。MTrans for OfficeではDeepL、Google、Microsoft、ChatGPTの翻訳エンジンを利用できます。ChatGPTは翻訳エンジンとして活用できるだけではなく、プロンプト次第で文章の書き起こしや書き換え、文章校正をすることができます。14日間の無料トライアルも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
MTrans for Officeの特長
① 翻訳できるファイル数、用語集に制限はなく定額制
② Office製品からワンクリックで翻訳できる!
③ API接続でセキュリティ面も安心
・さらに強化したいお客様にはSSO、IP制限などもご提供
④ 日本企業による日本語でのサポート
・セキュリティチェックシートへの対応も可能
・銀行振込でのお支払いが利用可能












