
EU市場で医療機器を販売するには、「MDR(欧州医療機器規則)」の遵守が不可欠です。しかし、MDRの具体的な内容については、まだ十分に理解されていない方も多いのではないでしょうか。
海外展開を進めている、あるいは今後検討している医療機器メーカーにとって、MDRは非常に重要な規則です。本記事では、MDRの基本概要と、翻訳対応における重要なポイントについてわかりやすく解説します。
関連記事
>医療機器市場と医療機器翻訳-医薬品との比較を中心に
- 目次
1. MDRとは?欧州医療機器規則の基本概要
1-1. MDR(欧州医療機器規則)とは
MDR(欧州医療機器規則)は、Medical Device Regulationの略称で、 EUで医療機器を販売する際に遵守すべき規則です。医療機器およびその付属品に適用されます。安全性と性能の確保を目的として2017年に発効し、2020年5月から本格的に適用されています。従来のMDD(Medical Device Directive)やAIMDD(Active Implantable Medical Device Directive)に代わるもので、より厳格な基準が設けられているのが特徴です。
1-2. MDRが求める医療機器の要件
MDRでは、以下のような要件が定められています。
・基本要件:医療機器は安全で、意図された使用目的に対して有効である必要があります。これには、機器の設計、製造、性能に関する詳細な基準が含まれます。
・クラス分類:医療機器はリスクに応じてクラスI〜IIIに分類され、クラスが高いほど規制も厳しくなります。
・臨床評価:臨床試験や既存データに基づき、医療機器の安全性と性能を証明する必要があります。
・市販後監視:医療機器の市場投入後も継続的に安全性と性能を監視し、必要に応じて改善措置を講じます。
・技術文書の整備:製造業者は、設計・製造・性能に関する詳細な技術文書を作成・維持する必要があります。技術文書は製品の安全性と臨床性能に関する情報を含む必要があり、ユーザーが理解できる言語で提供される必要があります。
・経済事業者の義務:製造業者、輸入業者、販売業者などがそれぞれの責任と義務を果たす必要があります。
また、医療機器のクラスやリスクに応じた適合性評価手順が定められており、EUで販売するにはこの評価に合格し、MDRの要件を満たしていることを証明する必要があります。
2. MDRにおける翻訳の重要性
2-1.多言語対応による市場拡大の可能性
日本の医療機器市場は、高齢化や医療の高度化により成長が続いています。国内市場の成熟に伴い、海外進出が加速しており、AIやIoTを活用したデジタルヘルスケアも市場拡大に貢献しています。
このような背景の中で、多言語翻訳は市場拡大に欠かせない要素です。異なる言語を話す顧客にアプローチすることで、製品の認知度や信頼性が向上し、売上の増加にもつながります。現地言語でのコミュニケーションは、ブランド力の強化にも効果的です。
さらに、MDRでは技術文書や使用説明書、ラベルなどをEU加盟国の公用語に翻訳することが義務付けられているため、翻訳対応は法的にも必須です。
2-2. MDR準拠で求められる正確な翻訳とは
医療機器に関する技術文書は、専門的かつ詳細な内容を含むため、正確な翻訳が求められます。誤訳があると、MDRの適合性評価に影響を与える可能性があり、製品の市場投入に支障をきたすこともあります。
そのため、翻訳の品質を確保するには、専門知識を持つ翻訳者や品質管理ツールの活用が不可欠です。多くの企業では、専門の翻訳業者と連携し、翻訳の精度と信頼性を高めています。
3.MDR準拠をサポートするヒューマンサイエンスの翻訳ソリューション
ヒューマンサイエンスでは、MDR準拠に必要な翻訳対応を多角的にサポートしています。
3-1.常駐コーディネーターによる翻訳サポート
25言語の翻訳コーディネーターとレイアウトチェッカーがお客様先に常駐してプロジェクト進行している事例をご紹介します。25言語での仕向け管理、25言語翻訳、翻訳チェック、DTP、レイアウトチェックのうち、コーディネート業務やレイアウトチェックを常駐メンバーが対応しています。複数ラインの製品開発が同時に並走する場合にも、ヒューマンサイエンスをバックヤードとして活用することで十分なキャパシティをご提供しています。厳重なセキュリティ要件をクリアしてリモートワークの形態にも対応しています。
3-2. メディカルチームとの連携で高品質翻訳を実現
医療機器翻訳においては、専門性の高い内容や最新の医療知識が求められるため、メディカルチームとの連携が不可欠です。当社では、メディカル専門の翻訳グループを持ちながら、メディカル専門翻訳者が翻訳プロセスに参画し、用語の統一や内容の正確性を徹底的にチェックしています。これにより、MDRの要件を満たす高品質な翻訳を実現し、現場での実用性や安全性も確保しています。
医療機器の取扱説明書はもちろん、プロトコルやIB、CTD等の治験関連ドキュメントの翻訳実績も様々ございます。
3-3.ヒューマンサイエンスの翻訳ソリューションとは
ヒューマンサイエンスの翻訳サービスは、大量の翻訳はもちろん、自動翻訳を活用したコストカットや、現地ならではの法律や規格を反映した翻訳まで行います。
品質が不安、納期が不安、コストが不安、そのような方もまずはお気軽にご相談ください。