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多言語組版ノート:大文字表記を避ける

多言語組版ノート:大文字表記を避ける

この組版どう思いますか?

 

この組版には目障りな表記があるため修正したいと思います。どこをどのように修正すると良くなるでしょうか。

 

 


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良くない点

 

改善案

 

単語全体を大文字にしない

固有名詞は頭文字のみ大文字にするのが標準的な表記です。単語全体を大文字にしてはいけません。大文字は日本人が想像する以上にうるさい表記で、大声で怒鳴っているような下品な印象を読者に与えます。文書の信頼性、ひいては商品や企業のイメージを傷付けかねません。

 

また大文字の単語は目立ち過ぎて目障りなので、文章のトーンやリズムを乱して物理的に読みにくくします。それに何より、この文章の主題は営業時間のはずなのに施設名ばかりが目立っていて、この文章で一番伝えたいねらいがぼやけています。

 

たとえロゴマークや商品名が大文字だけで出来ていたとしても本文中では話が別です。文章の目的はロゴの再現ではなく情報の伝達なので、読みやすさを優先して頭文字以外は小文字に置き換えましょう。あと、Observation Deck(展望台)は固有名詞ではないので全部小文字でいいはずです。

 

ちょっと脱線しますが、Temboと書いても外国人には意味が通じないばかりか、展望をもじって「天望」としたダジャレであることも伝わりません。重要なのは情報の伝達なので(2度目)ここは単に展望台/展望回廊の翻訳にするべきでした。ソース言語の固有名詞を残すのも時と場合によります。

日本語で例えると

 

下品とか目障りとか言ってもピンとこないかもしれないので日本語で例えてみました。「名前を覚えろ!」と主張しているかのようです。こんな組版はおかしいですよね。目を引くためのもの、例えば標識や看板、本の題名やパッケージの商品名などを大文字にするのは構いません。しかし、中身を読んでもらうことが目的の本文では大文字の単語を使うのはやめましょう。

文章全体を大文字にしない

 

今度は何と全文が大文字です。えらいこっちゃ。こんなに怒鳴り散らしたら誰もが顔を背け耳を塞いでしまうでしょう。

 

大文字だけで組むと目立ちはしますが物凄く読みにくくなります。文字の高さが揃うことで単語の輪郭の違いがなくなり識別しにくくなるからです。見出しのWARNINGを大文字で目立たせるのは妥当ですが、本文はしっかり読んで理解してもらう必要があるので読みやすさを優先しなければなりません。

 

改善案では本文を通常の表記に改めました。DO NOTだけ大文字で残し注目すべき点を明確にしましたが小文字にしても問題ありません。消費者保護の法令で全文大文字表記が義務付けられている場合があるようですが、組版の観点からは全くおすすめできません。

 

というわけで、読者に読みにくい・読みたくないと思わせたいのでなければ欧文組版で無思慮に大文字を使わないよう気を付けましょう。この方と同類だと思われたいですか?

 



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主な参考資料

小林章「欧文組版のマナー事例:ロゴを文中で再現しない」タイプディレクターの眼(ブログ)、2020
https://blog.excite.co.jp/t-director/29042066/
髙岡昌生『欧文組版 組版の基礎とマナー』美術出版社、2010
田代眞理・小林章「英語の情報、読者に伝わる組み方とは」Type& 2015(講演)、2015

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