
海外からの観光客誘致に取り組む中で、「観光翻訳」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。インバウンド需要が回復・成長を続ける今、多言語対応は観光関連ビジネスの成功に不可欠な要素となっています。
本記事では、観光翻訳の基本的な定義から、その必要性までをデータと共に詳しく解説します。
- 目次
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- 1.観光翻訳とは?必要性も解説
- 1-1.観光翻訳とは?
- 1-2.多岐にわたる観光翻訳の種類
- 1-3.なぜ今、観光翻訳が必要なのか
- 2.観光業界が観光翻訳に取り組むメリット
- 2-1.行動喚起しやすくなり、売上アップ
- 2-2.トラブル削減・満足度向上
- 2-3.顧客体験(CX)の向上
- 2-4.ブランドや地域、日本独自の文化のアピール
- 2-5.ブランドイメージアップ
- 3.インバウンド向け観光翻訳を実現するポイント
- 3-1.目的・ターゲットの明確化
- 3-2.視覚的にわかりやすくする
- 4.品質維持体制の構築
- 5.翻訳業務そのものの効率化
- 6.観光翻訳業務を効率化する「MTrans for Office」とは?
- 7.まとめ
1. 観光翻訳とは?必要性も解説
1-1. 観光翻訳とは?
観光翻訳とは、インバウンド観光客が訪れる観光スポット、商業施設、宿泊施設、交通機関、案内所などで使用されるパンフレットやウェブサイト、施設内の掲示物などを多言語化することです。単に言葉を置き換えるだけでなく、各国の文化や習慣を理解し、旅行者が求める情報を的確かつ魅力的に伝えることが重要となります。
1-2. 多岐にわたる観光翻訳の種類
観光客が旅行中に触れる情報は多岐にわたります。そのため、翻訳が必要となる対象も様々です。
・マーケティング・PRツール: パンフレット、チラシ、ポスター、PR動画など、旅行前の情報収集段階で魅力を伝えるための翻訳。
・オンラインコンテンツ: 観光案内ウェブサイト、公式サイト、オンライン広告、SNS投稿など、デジタル上での情報発信。
・予約関連: オンライン予約システムやアプリの多言語化による、スムーズな予約体験の提供。
・施設内の案内: 施設内の案内表示、注意書き、サイン、フロアマップなど、現地での円滑な移動をサポートするための翻訳。
・体験コンテンツ: 観光名所や博物館における音声ガイドや展示物の解説。
・飲食店のメニュー: アレルギー表示や料理の説明を含め、安心して食事を楽しんでもらうための翻訳。
・窓口対応: 有人のインフォメーションセンターやチケットカウンターでのコミュニケーションを円滑にするための翻訳や通訳。
このような翻訳を整備することで、旅行者は言語の壁を感じることなく、快適で満足度の高い旅行を体験できるようになります。
1-3. なぜ今、観光翻訳が必要なのか
観光翻訳の必要性は、近年のインバウンド市場の動向と密接に関係しています。
1. インバウンド観光客の急増
新型コロナウイルスの水際対策緩和以降、訪日外国人旅行者数は急速に回復しています。日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2023年の訪日外国人旅行者数は約2,507万人で、コロナ禍以前の2019年比で約8割まで回復しました。さらに、2025年5月には月間の訪日外客数が3,693,300人を記録するなど、その勢いは増す一方です。このように増加し続けるインバウンド観光客を効果的に受け入れ、集客につなげるためには、多言語による情報提供が不可欠です。
2. 観光産業の発展と経済効果
訪日外国人による消費額もまた、過去最高を記録しています。2023年のインバウンド消費額(速報値)は5.3兆円に達し、コロナ禍以前の2019年(4.8兆円)を上回りました。この旺盛な消費意欲を自社のサービスに取り込むためには、外国人観光客に商品やサービスの魅力を正確に伝え、購入や体験を後押しする質の高い翻訳が求められます。これは、都市部だけでなく、地方の観光産業にとっても大きなビジネスチャンスであり、地方創生にも繋がる重要な取り組みです。
3. 正確で魅力的な情報伝達の重要性
旅行者にとって、情報は旅の満足度を左右する重要な要素です。不正確な翻訳や機械翻訳に頼った分かりにくい案内は、誤解やトラブルを招くだけでなく、施設や地域そのもののブランドイメージを損なうことにもなりかねません。一方で、各言語の文化的背景やニュアンスを汲み取った、魅力的で分かりやすい翻訳は、旅行者の理解を助け、ポジティブな体験を提供します。その結果、旅行者は安心して滞在を楽しむことができ、SNSでの高評価の口コミやリピート訪問にも繋がりやすくなるでしょう。
2. 観光業界が観光翻訳に取り組むメリット
旅行情報を正確かつ魅力的に伝えることによって得られるメリットを紹介します。
2-1. 行動喚起しやすくなり、売上アップ
多言語で商品やサービスの魅力が伝わることで、外国人観光客の購買意欲は大きく向上します。例えば、飲食店のメニューに料理の背景や食材のこだわりを伝える魅力的な説明文があれば、高単価なメニューの注文につながりやすくなります。同様に、体験ツアーの説明が分かりやすく、その場でしか得られない価値をアピールできれば、予約という具体的な行動を喚起し、売上アップに直結します。
2-2. トラブル削減・満足度向上
施設内の案内、交通手段、利用規則などが正確な多言語で表示されていれば、言語の壁による誤解や混乱を防ぐことができます。「立ち入り禁止」の場所に誤って入ってしまったり、アレルギー物質を含む食品を食べてしまったりといったトラブルを未然に防ぐことは、旅行者の安全を守ると同時に、施設側の対応コスト削減にもつながります。ストレスのない快適な滞在は、旅行者の満足度を直接的に高める要因となります。
2-3. 顧客体験(CX)の向上
顧客体験(CX)とは、旅行者がサービスを認知し、予約し、現地で体験し、帰国するまでの一連の体験価値を指します。ウェブサイトでの情報収集から現地の案内表示、スタッフとのコミュニケーションまで、すべての過程で言語のストレスがなければ、旅行者は「歓迎されている」「大切にされている」と感じるでしょう。このような質の高い一貫した顧客体験は、SNSでの高評価の口コミやリピート訪問につながる重要な要素です。
2-4. ブランドや地域、日本独自の文化のアピール
翻訳は、単なる情報伝達の手段ではありません。その土地ならではの歴史や文化、伝統工芸品の背景にあるストーリーを深く伝えるための強力なツールです。寺社仏閣の縁起、祭りの由来、地域の食文化といった目に見えない価値を丁寧に翻訳して伝えることで、旅行者はより深いレベルで日本の魅力を理解できます。これは他にはない付加価値となり、地域や企業のブランドを強く印象付けます。
2-5. ブランドイメージアップ
プロフェッショナルによる質の高い翻訳は、企業や地域の「信頼性」を形作ります。不自然な機械翻訳や誤訳の多い案内は、準備不足で配慮に欠けるというネガティブな印象を与えかねません。一方で、正確で洗練された多言語対応は、国際的な視野を持ち、すべてのお客様に配慮する質の高いブランドであることの証です。こうした細部へのこだわりが、ブランドイメージの向上に大きく貢献します。
3. インバウンド向け観光翻訳を実現するポイント
インバウンド向けの観光翻訳を成功させるために押さえておくべき、4つの重要なポイントをご紹介します。
3-1. 目的・ターゲットの明確化
まず最も重要なのは、「誰に」「何を伝えたいのか」という目的とターゲットを明確にすることです。
・ターゲット:ターゲットは富裕層ですか、それともバックパッカーですか?欧米圏からの旅行者ですか、それともアジア圏からの旅行者ですか?ターゲットとする国や文化圏によって、好まれる表現や響く言葉は異なります。
・目的:目的は、施設の認知度を上げることですか、それとも商品の購買を直接促すことですか?あるいは、日本の文化を深く理解してもらうことでしょうか?
これらの目的とターゲット設定によって、翻訳のトーン(フォーマルかカジュアルか)、使用する単語、情報の粒度が決まります。例えば、施設の歴史を伝える場合、長期滞在の多い欧米の旅行者には背景を詳しく説明する方が興味を引くかもしれませんが、短期滞在のアジアの旅行者には、要点を簡潔に伝える方が効果的な場合があります。
3-2. 視覚的にわかりやすくする
言語だけに頼らず、視覚的に情報を補完することも非常に重要です。特に、多様な言語の旅行者が訪れる場所では、直感的に理解できるデザインがコミュニケーションを円滑にします。
・アイコンやピクトグラムの活用:トイレ、Wi-Fi、禁煙などの案内は、万国共通で認識されているピクトグラムを積極的に使用しましょう。
・写真やイラストの多用:飲食店のメニューや商品の説明では、高品質な写真を添えることで、言語の壁を越えて魅力を伝えることができます。
・レイアウトの工夫:多言語を併記する際は、各言語が明確に区別でき、読みやすいようにレイアウトや配色、フォントサイズを工夫することが求められます。
4. 品質維持体制の構築
本訳の品質は、企業や地域のブランドイメージに直結します。不自然な機械翻訳や誤訳は、旅行者に不信感を与えかねません。継続的に高品質な翻訳を提供するための体制構築が不可欠です。
・翻訳ガイドラインの作成:施設名や地名などの固有名詞の表記ルール、トーン&マナーなどを定めたガイドラインを作成し、翻訳者間で共有します。
・翻訳メモリの整備:過去に翻訳した文章を資産として蓄積する「翻訳メモリ」を活用することで、表現の揺れを防ぎ、用語の統一性を保ちます。これにより、品質の一貫性が保たれるだけでなく、翻訳コストの削減にもつながります。
・ネイティブチェック:翻訳が完了したら、ターゲット言語を母国語とするネイティブスピーカーによるチェックを行い、より自然で文化的に適切な表現に磨き上げましょう。ChatGPTのようなチャットAIにチェックしてもらうことも考えられます。
5. 翻訳業務そのものの効率化
パンフレット、ウェブサイト、SNS投稿、施設案内など、翻訳対象は多岐にわたり、修正や更新も頻繁に発生します。品質を維持しながら、これら全ての翻訳業務を手作業で行うのは非常に煩雑で、多くの時間とコストを要します。
そこで重要になるのが、翻訳業務そのものの効率化です。
例えば、日々の業務で使い慣れたMicrosoft Office(ワード、エクセル、パワーポイント、アウトルック)上で、高精度な翻訳機能を利用できるとしたらどうでしょうか。翻訳支援ツール「MTrans for Office」(エムトランス・フォー・オフィス)を導入すれば、編集画面からワンクリックで翻訳できるため、翻訳する時間を大幅に短縮することができます。
ツールを活用することで、担当者は、より戦略的な情報発信やコンテンツの企画といった、本来注力すべき業務に時間を使うことができるようになります。
6. 観光翻訳業務を効率化する「MTrans for Office」とは?
多言語対応の課題を解決する効率的なツールとしてMTrans for Officeを紹介します。MTrans for Officeは、普段使用しているワード、エクセル、パワーポイント、アウトルックに直接組み込まれるため、新しいソフトウェアの使い方を覚える必要がありません。既存の業務フローを変えることなく、翻訳機能を利用できます。
ワード文書を翻訳したい場合は、ワードの画面でMTransのパネルを表示し、「翻訳」をクリックすると複数の翻訳サービスによる英訳が表示されます。「置換」ボタン(右矢印と左矢印が縦に並んでいるアイコン)をクリックするだけで、本文の日本語を英語に置き換えることができます。

文書をまるごと翻訳することも可能です。その場合は、ツールバーから「ファイル」ボタンをクリックします。
アウトルックで英文メールを作成するには、日本語で本文を書いてから「翻訳を実行」ボタンをクリックすると、右側の翻訳パネルに複数の翻訳サービスによる英訳が表示されます。「置換」ボタンをクリックするだけで、本文の日本語を英語に置き換えることができます。

また、MTrans for OfficeにはChatGPTで利用されているOpenAI社の生成AIも搭載されています。日本語でメールの要旨を書き、その文を選択してから実行ボタンをクリックすると、日本語の要旨を元にした英文メールが自動的に作成されます。「置換」ボタンでメール本文に実行結果を反映し、顧客名などを書き換えるだけで英文メールが完成します。

MTrans for Officeは、直感的な操作性により、特別なIT知識がなくてもOfficeアプリケーション上で翻訳やAI機能を活用でき、翻訳業務の工数削減、業務効率の向上が期待できます。
7. まとめ
インバウンド観光客の増加に伴い、観光スポットや商業施設での多言語対応は、成功の鍵となっています。正確で魅力的な観光翻訳は、旅行者の満足度を高めるだけでなく、地域経済の活性化にもつながります。しかし、翻訳業務に追われるあまり、本来注力すべき観光サービスがおろそかになってしまっては本末転倒です。そこで役立つのが、多言語対応を効率化するツールです。
観光翻訳をよりスムーズに進めるために、Officeアプリで使える翻訳アドインソフト「MTrans for Office」がお勧めです。MTrans for Officeを活用することで、日常的に使用しているOfficeアプリから直接翻訳作業が行えるため、特別な技術知識がなくても、スピーディーかつ効率的な多言語対応が実現できます。これにより、観光業界の皆様が本来注力すべきサービスの質の向上に、より多くの時間を割くことができるようになります。
MTrans for Officeは14日間の無料トライアルを提供しています。ぜひ、お試しください。
MTrans for Officeの特長
- ① 翻訳できるファイル数、用語集に制限はなく定額制
- ② Office製品からワンクリックで翻訳できる!
- ③ API接続でセキュリティ面も安心
・さらに強化したいお客様にはSSO、IP制限などもご提供 - ④ 日本企業による日本語でのサポート
・セキュリティチェックシートへの対応も可能
・銀行振込でのお支払いが利用可能