• 東京03-5321-3111
  • 名古屋052-269-8016
  • 言語切り替え
    • English

Some parts of this page may be machine-translated.

 

機械翻訳作業でのプリエディットの必要性

機械翻訳作業でのプリエディットの必要性

機械翻訳の精度は日々向上していますが、その品質は、まだまだ人の手を介す必要があります。大きな原因の一つに、機械翻訳が原文を文単位でしか処理できず、省略されている主語や目的語、前後の文脈やニュアンスを考慮できないことが挙げられます。つまり、読みやすくしたり簡潔にしたりするために原文で省略されている言葉があっても、機械翻訳は原文に書かれている内容しか処理できないため、不自然な訳文や誤訳が生成する可能性が高くなります。

 

そこで、今回のブログでは、原文で一部の内容が省略されている例を挙げながら、プリエディット(機械翻訳が翻訳しやすいように原文をリライトする作業)によりポストエディット作業の効率を上げる方法をご紹介します。

目次

1. 例①:主語が省略されているケース

  • 原文:下記操作によりクリアされます。
  • 機械翻訳:It will be cleared by the following operation.
  •  ⇓
  • プレエディット:値は下記操作によりクリアされます。
  • 機械翻訳:The value is cleared by the following operation.
  •  ⇓
  • 修正後:The values are cleared by the following operations.

 

こちらの例では、主語である「値」が省略されているため、機械翻訳では主語が「It」になっています。したがって、原文に「値は」を追記し、再度機械翻訳で処理すると、「The value」が主語として正しく反映されます。

 

ただし、通常、主語だけが省略されている場合は、ポストエディットで「It」のような代名詞を適切な主語に入れ替えるだけなので、場合によってはプリエディットを行う必要はありません。

 

※文脈的に値と操作は複数なので、「value is」⇒「values are」、「operation」⇒「operations」に修正しました。機械翻訳は、日本語原文にある名詞において、単数・複数形をうまく認識できない傾向があるので、注意が必要です。

2. 例②:目的語が省略されているケース

  • 原文:ユーザー毎に表示までの時間を変更できること。
  • 機械翻訳:The time until display can be changed for each user.
  •  ⇓
  • プレエディット:ユーザー毎にコントロールバーを表示する時間を変更できること。
  • 機械翻訳:The time to display the control bar can be changed for each user.
  •  ⇓
  • 修正後:The time by which to display the control bar can be changed for each user.

 

この例では、「表示まで」の対象が省略されているため、「時間」の目的語として正確な表現となる「コントロールバーを表示する」に変更すると、機械翻訳の結果が改善されます。「The time until display」だとユーザーが混乱する可能性があります。

 

※「ユーザー毎に」を強調したい場合は、「For each user, the time…」にすることも可能です。

3. 例③:一部の内容が省略されているケース

  • 原文:DATAスイッチは1つずつ水平にスライドしてください。
  • 機械翻訳:Slide the DATA switches horizontally one by one.
  •  ⇓
  • プレエディット:DATAスイッチは、マイナスドライバーを使って1つずつ水平にスライドしてください。
  • 機械翻訳:Slide the DATA switches horizontally one by one using a flat-blade screwdriver.
  •  ⇓
  • 修正後:Slide the DATA switches one by one in a horizontal direction using a flathead screwdriver.

 

こちらの例では、(前文ですでに言及されたことにより)「マイナスドライバーを使って」が省略されているため、原文にその内容を反映する必要があります。

 

取扱説明書では、時々、繰り返す内容が省略されている場合があるため、注意が必要です。

4. 例④:複数の内容が省略されているケース

  • 原文:未設定の場合は先生にてファイル名編集から追加して開く、または学生に再提出させてください。
  • 機械翻訳:If it is not set, please add it from the file name edit by the teacher and open it, or let the student resubmit it.
  •  ⇓
  • プレエディット:拡張子が設定されていない場合、先生は、ファイルを開く前に、ファイル名を編集するフィールドから拡張子を追加するか、学生に適切な拡張子をファイル名に設定して再提出させてください。
  • 機械翻訳:If the extension is not set, the teacher should either add the extension from the Edit File Name field before opening the file, or have the student resubmit the file with the appropriate extension set to the file name.
  •  ⇓
  • 修正後:If the extension is not set, the teacher should add it from the field in which to the edit file name before opening the file, or have the student resubmit the file with a proper extension set to the file name.

 

こちらの原文は多くの情報が省略されているため、機械翻訳の結果はほぼ理解不可能な状態です。このような場合は、文脈に従って原文を完全に書き換えて、機械翻訳で再処理する必要があります。

 

また、プリエディットは機械翻訳画面でリアルタイムに行うことが可能なので、効率よく作業を進めることができます。以下は、実際に、「4」の例でプリエディットを行った画面です。(使用ツール:弊社開発のAI搭載の自動翻訳ツールMTrans Team

 

 

機械翻訳は日々進化していますが、(特に日本語でよく見られる)原文での様々な省略により、品質に問題が見られるケースが多くあります。したがって、リアルタイムでプリエディットをしながら同時にポストエディットを行うことは、これからの機械翻訳の活用において重要なポイントと言えます。

 

 

執筆者情報

アンディ パークマルチリンガルトランスレーショングループ
日英翻訳レビューアー

  • ・前職では、4年ほどITエンジニアとして従事、その後8年間英会話講師として教育プログラムの策定や講師育成に従事。
  • ・IT関連分野、ビジネス分野を中心とした翻訳歴11年。
  • ・現在はFA関連製品を中心に、製品マニュアル、ヘルプ、業務マニュアルなどの日英翻訳作業や翻訳品質管理に従事。
  • ・機械翻訳エンジンの日英翻訳品質評価・検証を担当。
人気記事ランキング
アーカイブ
カテゴリ

翻訳について
詳しく知りたい方

東京:03-5321-3111 
名古屋:052-269-8016

受付時間 9:30~17:00

お問い合わせ・資料請求