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多言語組版ノート:日本語の記号を使わない

多言語組版ノート:日本語の記号を使わない

この組版どう思いますか?

 

駅に置いてあった外国人向けのパンフレットです。この組版には外国人に通用しなさそうなところがあります。どこをどのように修正したら良いでしょうか。

 

 


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良くない点

改善案

日本語固有の記号を使わない

日本語固有の記号は日本語でしか通用しないのでそのまま外国語に使うことはできません。これらは似た意味・機能を持つ字句に置き換える必要があります。日本語の記号を欧文組版に持ち込まないでください。

 

※は漢字の「米」を図案化したもので欧文の読者は目にしたことがなく意味合いも通じません。中国人の目にもあまり馴染みがない不思議な絵文字と映るでしょう。※は*に置き換えると良いと思います。

 

〒は今はなき郵政省の前身、逓信省の頭文字「テ」を図案化したものと言われています。当然外国語で通用するはずがありません。都市名の後に郵便番号だけ入れれば事足ります。

 

これらの記号は欧文フォントには含まれていませんが日本語フォントを使えば表示できますし、使わなくてもアウトライン化すればインライン配置可能です。しかしそうする前に少し想像力を働かせてください。なぜその記号は欧文フォントに含まれていないのでしょうか。その表記は欧文では通用しないから、誰も使わないからなのではありませんか。

◎○△×が何を意味するのか説明する

 

日本語固有の記号は日本語でしか通用しないので、そのまま外国語に使うことはできません。

 

◎○△×は優/良/可/不可のような評価を表す印であるという日本語の前提が外国語では通用しません。そのためそれぞれの記号が何を意味するのか明確に示す必要があります(改善案1)。

 

ただ、そもそも外国語の読者には馴染みがない記号ですしもちろん欧文フォントにも含まれていません。数字やABCに置き換えたり(改善案2)、マス目に収まるぐらい短い単語で置き換えたり(改善案3)するとよいでしょう。単純な○×表なら○を「✔」に置き換えても良いと思います。

2バイト文字の丸数字やローマ数字は1バイト文字に置き換える

 

くどいようですが、日本語固有の記号はそのまま外国語に使うことはできません。

 

①②③ 丸数字は意味は通じますが出現頻度の低い表記です。また欧文フォントには含まれていないため日本語フォントや記号フォントを混ぜて使わざるを得ず、統一感がなくなります。単に(1)、(2)、(3)あるいは1、2、3などとすれば十分でしょう。

 

ⅠⅡⅢ セリフ(serif:文字の線端にある小さな張り出しのこと)が横に繋がった2バイトのローマ数字は日本語のマス目に収まるように作られた縦組用の文字で、欧文フォントにはありません。欧文では単純にラテン文字を並べてください。その際、セリフが繋がっていなくても何の問題もありません。

似た形の記号に置き換えればいいというものではない

日本語固有の記号は……(以下略)。

 

 

中韓が【 】を使っているのできっと元の日本語もそうなのでしょう。英語では代わりに[ ]が使われていますが、[ ]は誤字・脱字・訂正を示す意味合いが強く【 】の代わりにはなりません。見た目が似ているかどうかで判断せず意味・機能を考えましょう。もし多言語併記で見た目に統一感を出したいなら【 】などの一部言語に固有の記号は初めから使わないことをおすすめします。

 

 

≒≦≧など一部の数学記号は万国共通ではありません。国や地域によって異なる記号はその言語のものに置き換える必要があります。

同じ記号でいい場合でも2バイト文字は1バイト文字に

 

/・!?$%&¥@;:*<>など、欧文の記号と形と機能が似ているからといって2バイト文字の記号を使うのはやめましょう。ラテン文字と調和しないので違和感が出ます。写真の左のスラッシュは線が細くて幅が広過ぎるし、右の中黒は小さ過ぎます。

日本語組版と欧文組版は全くの別物なので頭を切り替える

今回は日本語組版のやり方を欧文組版に持ち込むという過ちについて採り上げました。タイ語やアラビア語などと違ってラテン文字は見慣れていますよね。そのため欧文を組むときに「外国語を扱っている」という意識や緊張感が希薄になり、欧文組版の慣習・作法・約束事を無視したり、なんとなく見た目で判断したり、日本語組版の考え方を欧文に応用したりしているところに問題があります。

 

組版はテキストをDTPに流し込んであふれを始末したらおしまい、ではないはずです。組版の違和感に邪魔されず文章の内容が読者の頭にすんなり入るようにするために、組版の慣習・作法・約束事について正しい知識を持ち、言語ごとの違いを尊重しましょう。


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主な参考資料

田代眞理・小林章「翻訳者に聞く:英語圏の読者にやさしい英文組版のために」TypeTalks 第22回(セミナー)、2014
小学館辞典編集部『句読点、記号・符号活用辞典。』小学館、2007
麥倉聖子「ヨーロッパの美しい本と組版 ドイツ在住のタイポグラファーに聞く組版事情」TypeTalks 第35回(セミナー)、2016

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