
機械翻訳は原文にある内容だけを認識し訳文として生成するため、含意を読み取り、省略されている内容を適切に訳文に反映することはできません。しかし、日本語では、主語をはじめ様々な内容を省略する場合がよくあるため、機械翻訳により不自然や、場合によっては理解不可能な訳文が生成されるケースを見かけます。
今回は、このような問題をポストエディットでどのように対応するのかを、いくつかの例と共に紹介したいと思います。
2021.4.27
機械翻訳は原文にある内容だけを認識し訳文として生成するため、含意を読み取り、省略されている内容を適切に訳文に反映することはできません。しかし、日本語では、主語をはじめ様々な内容を省略する場合がよくあるため、機械翻訳により不自然や、場合によっては理解不可能な訳文が生成されるケースを見かけます。
今回は、このような問題をポストエディットでどのように対応するのかを、いくつかの例と共に紹介したいと思います。
>>関連DL資料:機械翻訳訳文エラーとポストエディット9つの事例&ポストエディットチェックシート
こちらの例では、原文で「クリアされます」の対象が省略されているため、機械翻訳が対象を認識できず、代名詞の「It」が使われています。対象は(複数の)値なので、ポストエディットで適切に「The values」を反映しました。
(※「操作」も、文脈的に複数の操作なので、「operation」⇒「operations」に修正しました。)
例①と同様に、こちらの原文でも「ONします」の対象が省略されています。よって、機械翻訳では、主語がないまま、三単現「Turns」が使われています。動作の対象は信号なので、適切に「This signal」を主語として反映しました。
こちらでは、「マイナスドライバーを使って」の内容が省略されています。ドキュメント上では、この文章の直下にマイナスドライバーを使った画像があるとはいえ、ユーザーが操作に誤ることを避けるためにも、この内容を明確に文章内でも反映することをおすすめします。
こちらでは、原文が省略されているため、訳文も目的語が省略されています。「connect」は自動詞にもなり得るので、機械翻訳の文章には特に文法的な問題はありませんが、やはり目的語がないと少し不自然に感じられます。「このコネクターにはどんな機器も接続しないでください」という意味になるように、「any device」を目的語として使用することをおすすめします。
こちらでは、原文で「モジュールを取り扱う際は」が省略されているため、訳文で適切にその内容を反映しました。
ただし、このケースには例外があるため、注意が必要です。たとえば、前の文が「Handling the module with bare hands can cause damage due to the risk of static discharge.」(「モジュールを素手で取り扱うと、静電放電のリスクにより損傷の原因となる可能性があります。」)だった場合は、「Be sure to wear an anti-static wrist strap.」だけでも十分です。
このように、原文に省略されている内容を訳文に反映するかどうかは、周辺の文脈を考慮して適切に判断する必要があります。
こちらの原文では、たくさんの内容が省略されているため、機械翻訳が主語や目的語などを認識できず、訳文には複数の代名詞「it」が使われています。その結果、訳文が非常に不自然で、読む側が内容をほぼ理解できない状態になっています。
原文で省略されている内容を全て反映すると、以下のようになります。
「拡張子が設定されていない場合、講師はファイルを開く前に、ファイル名を編集するフィールドから拡張子を追加するか、学生に適切な拡張子をファイル名に設定して再提出させる必要があります。」
そして、ポストエディットでこのような内容になるように修正しました。
今後、どれだけ品質や性能が改善されても、機械翻訳が含意を理解し、原文に省略されている内容を正確に訳文に反映できるようになるのは難しいと思います。よって、ポストエディットスキルを磨くことにおいて、このような対応に慣れることは大事ではないかと思います。
>>関連DL資料:機械翻訳訳文エラーとポストエディット9つの事例&ポストエディットチェックシート
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