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特許翻訳は、企業の知的財産戦略を支える極めて専門性の高い業務です。近年、ニューラル機械翻訳(NMT)や生成AIの急速な進化により、そのワークフローは大きな転換期を迎えています。本記事では、特許翻訳の実務上の特徴を改めて整理した上で、AI翻訳が活用できる領域と、依然として人間の専門家による介入が不可欠な領域を詳しく解説し、最新のソリューションを提示します。
1. 特許翻訳とは?

1.1 特許翻訳とは
特許翻訳とは、特許出願から審査、権利維持、さらにはライセンス交渉や侵害訴訟に至るまで、知財サイクルに関わる各種書類を言語変換する業務を指します。これは単なる「言葉の置き換え」ではありません。発明の技術思想を正確に反映し、各国特許庁の法的要件に適合させる「技術・法律文書のローカライズ」であり、企業の国際競争力に直結するプロセスです。
パリ条約に基づく優先権主張出願やPCT(特許協力条約)経由の国内段階移行において、翻訳者は「技術内容の正確な伝達」と「各国法への適合」という二重の責任を負います。翻訳の質が、その後のオフィスアクションへの対応コストや、最終的な特許権の有効性に直結するため、一字一句の翻訳に高い正確性が求められます。
1.2 特許翻訳に求められる3つの専門性
特許翻訳が他の産業翻訳と異なるのは、主に「法律知識」「技術知識」「言語表現の厳密性」という3つの要素が極めて高いレベルで要求される点にあります。
「法律知識」においては、各国の特許法や審査基準、特有の書式への理解が欠かせません。次に「技術知識」では、最先端の機械工学、化学、バイオ、ITなど、発明の内容を正しく理解し、矛盾のない論理を構築する能力が求められます。そして最も重要なのが「言語表現の厳密性」です。例えば、請求項における構成要素の限定において、「comprising(〜を含む)」と「consisting of(〜から成る)」の使い分け一つが権利範囲の解釈を変えてしまうように、一語の選択によって法的な保護範囲が変わります。翻訳者には、単なる語学力だけでなく、技術的な整合性と法的な妥当性を同時に見極める「多面的な専門性」が不可欠です。
1.3 近年はAI翻訳の活用も進む
近年、特許翻訳の分野でもAI翻訳の活用が急速に進んでいます。AI翻訳とは、人工知能技術を用いた機械翻訳のことで、大量の翻訳データから学習したニューラルネットワークが、入力された文章を自動的に翻訳するシステムです。特許分野では、定型的な表現が多いという特性がAI翻訳と相性が良く、翻訳の初稿作成やチェック作業の効率化に役立てられています。ただし、複雑な技術的内容や法的な正確性が求められる部分については、依然として人間の専門家による確認と修正が不可欠であり、AI翻訳と人間の翻訳者が協働する形が主流となっています。
2. 特許翻訳が必要な場面と文書

特許翻訳は、権利化のための出願業務と、他社の権利を監視・分析する調査業務において重要な役割を果たします。
●出願・権利化フェーズ
日本企業が外国で特許権を取得しようとする際(内外出願)や、逆に外国企業が日本で権利化を目指す際(外内出願)には、法的効力を持つ以下の文書の翻訳が必要となります。
・特許明細書:発明の名称、背景技術、実施形態、そして最も重要な「特許請求の範囲」。
・拒絶理由通知書:審査官による新規性・進歩性の否定等の指摘。
・意見書および補正書:審査官への反論や出願内容の修正。
これらの書類は、最終的な権利範囲を画定させるための重要なステップであり、高度な正確性が要求されます。
●調査・分析フェーズ
知財戦略の策定や他社権利への対応として、各国の公報調査が必要となる場面があります。
・技術動向調査、無効資料調査:出願前の新規性確認や、他社特許の無効化を目的とした調査です。
・FTO調査(侵害予防調査):自社製品が他社の特許を侵害していないかを確認します。
これらの調査では、膨大な外国公報の内容を迅速に把握する必要があり、特に初期のスクリーニング段階において、AI翻訳がワークフローの効率化に貢献します。
3. AI翻訳で特許関連書類の翻訳ができる部分とむずかしい部分

AI翻訳は万能ではなく、実務においては「得意な部分」と「人間が担うべき部分」を明確に切り分ける必要があります。
3.1 AI翻訳で特許関連書類の翻訳ができる部分
特許文書特有の論理的な構造や、繰り返し用いられる定型表現は、AI翻訳が得意とする領域です。
・法律用語、定型表現:「特許請求の範囲」に代表される形式的な表現は、AIが高い精度で処理できるため、下訳に伴う工数を大幅に削減できます。
・情報のスクリーニング:数百件に上る公報から必要な情報を抽出する際、AI翻訳の即時性は強力な武器となります。内容の要否を素早く判断し、重要箇所を特定するプロセスにおいて、AI翻訳は不可欠なサポート役と言えるでしょう。
3.2 AI翻訳で特許関連書類の翻訳がむずかしい部分
一方で、権利化の成否に関わる判断においては、AI単独での処理は困難です。
・新語とハルシネーション:AIの学習データにない新技術の用語に対し、AIが誤った訳文を生成するリスクがあります。
・技術的整合性の判断:複雑な構造図や数式とテキストの整合性を確認する能力は、現状のAIでは不十分です。
・戦略的判断:権利範囲をどこまで広げるかという発明者の意図を汲み取った訳し分けは、人間にしかできません。
現在の最適解は、AI翻訳を情報把握や初稿生成のツールとして活用し、最終的な権利確定に関わる重要書類には専門翻訳者によるポストエディット(MTPE)を組み合わせる協働モデルと言えます。
4. AI翻訳なら「MTrans for Office」がおすすめ

4.1 「MTrans for Office」とは
特許関連書類をはじめ、さまざまなビジネス文書を手軽に翻訳できるAI翻訳ツールとして「MTrans for Office」があります。MTrans for Officeは、Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointに統合されたAI翻訳アドインで、日常的に使用するOffice文書をそのままの形式で翻訳できる便利なツールです。ニューラル機械翻訳技術を採用しており、文脈を考慮した自然で正確な翻訳を実現しています。特許明細書や技術文書など、専門性の高い文書であっても、Officeファイルのまま翻訳作業を進められるため、業務フローを大きく変えることなくAI翻訳を導入できる点が特徴です。
- • Office上で直接翻訳
ファイルの移動やコピー&ペーストの手間が不要。普段使い慣れた画面からそのまま翻訳作業が行え、専門家の時間を有効活用できます。 - • 4つの翻訳エンジンを選択可能
DeepL、Google、Microsoft、ChatGPT(OpenAI)から、用途や専門分野に応じて最適なエンジンを選べます。 - • 固有名詞の事前登録
会社名や製品名、専門用語などを事前に登録することで、専門的な内容の誤訳を防止し、正確な翻訳を実現します。 - • 高いセキュリティ
機密性の高い文書も安心して翻訳できるため、社内の専門家が扱う重要な資料にも最適です。
>Officeを簡単翻訳ソフトMTrans for Office
4.2 ポストエディット(MTPE)サービス
特許関連書類などの重要な文書を翻訳する際、AI翻訳だけでは正確さやニュアンスに不安が残ることがあります。そうした場合には、ヒューマンサイエンスの「ポストエディット(MTPE)サービス」のご利用をおすすめします。
- • 専門翻訳者による徹底チェックと修正
AI翻訳(MT)の結果を、特許翻訳のプロの翻訳者が細部まで確認し、技術的正確性と法的妥当性を確保します。これにより、誤訳や不自然な表現、法的リスクを最小限に抑えることができます。 - • スピーディーかつ高品質なサービス
AI翻訳のスピードと、専門家による品質保証を両立。従来の翻訳よりもコストを抑えつつ、短納期で高品質な翻訳文を提供します。特に大量の文書や短期間での納品が求められる場合にも最適です。 - • 安心してご利用いただけるサポート体制
ご要望や用途に応じて、用語統一やスタイルガイドの適用など、きめ細やかな対応が可能です。翻訳後のご質問や修正依頼にも迅速に対応し、安心してご利用いただける体制を整えています。
5. まとめ
特許翻訳の現場では、AIは「情報把握」と「定型処理」において欠かせない存在となっています。AIを活用してワークフローを加速させつつ、権利化における「戦略的判断」には人間の専門性を充てる。このバランスが、グローバルな知財競争において優位に立つための近道です。
ヒューマンサイエンスでは、セキュアなAI翻訳環境「MTrans for Office」の提供から、専門翻訳者によるMTPEサービスまで、貴社のニーズに合わせた柔軟なソリューションをご提案します。MTrans for OfficeではDeepL、Google、Microsoft、ChatGPTの翻訳エンジンを利用できます。ChatGPTは翻訳エンジンとして活用できるだけではなく、プロンプト次第で文章の書き起こしや書き換え、文章校正をすることができます。14日間の無料トライアルも受け付けています。お気軽にお問い合わせください。
MTrans for Officeの特長
① 翻訳できるファイル数、用語集に制限はなく定額制
② Office製品からワンクリックで翻訳できる!
③ API接続でセキュリティ面も安心
・さらに強化したいお客様にはSSO、IP制限などもご提供
④ 日本企業による日本語でのサポート
・セキュリティチェックシートへの対応も可能
・銀行振込でのお支払いが利用可能












