詳細文字形式|Advanced Character Formats
水平比率|Horizontal Scale
水平比率は100%のまま極力変更しないようにしましょう。文字幅を狭く変形させることを長体といい、限られたスペースに文章を詰め込むためにカジュアルに使われがちです。しかし文字の形が歪になって可読性が下がりますし、いかにも手抜きのやっつけ仕事っぽくもなります。
どうしても文字幅を狭くしたいのなら長体の代わりにフォントをコンデンス体に変えましょう。ただ、長体よりはましというだけで決して読みやすいわけではないので多用は禁物です。可読性をあまり落とさずに文章を詰め込みたいならコンデンス体を使うよりも文字サイズを小さくした方がましです。
長体についてはこちらもご覧ください。
垂直比率|Vertical Scale
水平比率と同様、垂直比率もみだりに100%から変更するべきではありません。文字を平たく変形させることを平体といい、日本語の新聞組版ぐらいでしか目にすることはないでしょう。
ベースラインシフト|Baseline Shift
ベースラインシフトは記号などの縦位置を文字単位で微調整する機能ですが、これがスタイルで段落全体に適用されていると少々違和感を覚えます。行間、段落間のアキ、表セル内の配置など、テキストの縦位置の調整をきちんと解決せずその場しのぎで誤魔化していないでしょうか。後工程に支障が出ることもありますので、他により適切な調整方法がないか検討したいものです。
歪み|Skew
手動で文字を傾ける機能ですが、本文上でこの機能のお世話になることはあまりないでしょう。強調のために斜めにするなら欧文書体にはイタリックがありますし、欧文以外の言語ではイタリックや斜体の類は使わないことも多いです。
イタリックについてはこちらもご覧ください。
文字ツメ/文字前のアキ量/文字後のアキ量/文字回転/字取り/異体字|――
これらはいずれも日本語組版用の機能で欧文組版では使いません。コンポーザーを日本語から欧文・多言語に切り替えると解除されます。英語版InDesignにはこの設定項目がそもそもありません。日本語組版と欧文組版は全く別の仕組みで成り立っていますので頭を切り替えましょう。
言語|Language
ハイフネーションやスペルチェックを正しく機能させるのに必須の設定です。正しい言語を選択しましょう。
ハイフネーションについてはこちらもご覧ください。
主な参考資料
Robert Bringhurst, The Elements of Typographic Style (4th ed.), 2012
Nigel French, InDesign Type: Professional Typography with Adobe InDesign (3rd edition), 2014