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マニュアル作成を失敗しないために知っておきたいこと~使われるマニュアル作りやAI、自動化についても解説~

業務マニュアル・ナレッジ管理
更新日:

こんにちは!コンサルタントのKです。
普段は、製造業界や医薬業界の企業様に対して、マニュアルの作成・改善プロジェクトを担当しています。
「業務効率化のためにマニュアルを作ったが、現場で全く使われていない」「作成した担当者が異動してから、内容が一度も更新されていない」――。これまで、多くの企業様からこのようなご相談をいただいてきました。DX推進や人手不足を背景に、マニュアルの重要性が再認識されている一方、マニュアル作成に悩む企業様は後を絶ちません。
そこで今回は、マニュアル作成で失敗する原因を紐解き、現場で「使われる」ためのマニュアルの設計、さらには今後避けては通れないAI活用について解説します。


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目次

マニュアル作成で陥りがちな「失敗パターン」3つ

マニュアル作成プロジェクトが「失敗」に終わるパターンには、共通の兆候があります。まずは、多くの企業が陥りがちな3つの”あるある”を見ていきましょう。

1-1.現場で使われなくなる

せっかく時間をかけて作成しても、現場の社員がマニュアルを読まなくなったという問題です。
理由は様々ですが、主な原因は「どこに何が書かかれているか分からない」「内容が難解すぎて、結局詳しい人に聞いた方が早い」といった、現場目線の欠如にあることが多いようです。現場のニーズから離れたマニュアルは、なかなか手にとってはもらえません。

1-2.更新されず、古いまま放置される

マニュアルは、完成した瞬間から陳腐化が始まると言われます。
業務のルールやフローが変更されたにもかかわらずマニュアルの修正が追いつかなければ、そこに書かれた情報は誤った情報となります。一度でも現場が「マニュアルを読んでみたが明らかに古い」「マニュアルが間違っていたせいでミスをした」という経験を持つと、マニュアルはその信頼性を失ってしまいます。気づけば誰も読まないマニュアルが長年サーバーに置かれている……という状況も珍しくありません。

1-3.粒度や品質がバラバラで、読みにくい

複数人でマニュアルを作成する場合、共通の基準がないと、粒度や品質にばらつきが生じます。
ある担当者は細部まで詳述し、別の担当者は大まかな流れしか書かないといった「粒度のばらつき」や、担当者によって注意事項が赤字だったり赤字+黄色ハイライトだったりといった「書き方のばらつき」が生まれることがあります。場合によっては、「ファイル形式のばらつき」もあるかもしれません。

このばらつきは、結果としてマニュアルの読みづらさ・使いづらさにつながります。マニュアルの書き方・作り方がバラバラだと、読み手はマニュアルによって読み方を変える必要があるためです。
私が以前担当させていただいたお客様も、「課ごとにマニュアルの作り方が全く異なるため、異動者がその課のマニュアルを読んで業務を理解するのに時間がかかってしまう」というお悩みを持っていました。

使われない、形骸化する、ばらつく……これらは異なる悩みのようでいて、実は共通の”土台”が固まっていないことで生まれる問題です。「誰が、どんな場面で、どう使うか」が決まらないまま書き始めると、結果としてこのような失敗に陥ってしまいます。
次章では、この“土台”を整えるポイントを解説します。

マニュアル作成に失敗する原因は、「書き方」ではなく「設計不足」

ここでは、1章で説明した失敗の原因を見ていきます。
多くの担当者は、失敗の原因を文章力の不足や見栄えの悪さに求めがちです。しかし、本質的な原因の多くは、執筆以前の段階にあります。つまり、執筆する前に整理すべきことが整理されていないことが、失敗につながってしまうのです。

2-1.誰のためのマニュアルかが定義されていない

マニュアルが新入社員向けなのかベテラン向けなのかによって、必要な情報の細かさや専門用語の使い方は全く異なります。想定読者を曖昧にしたまま作成を始めると、誰にとっても「帯に短し襷に長し」な内容になってしまいます。
さらに、その状態のままマニュアルの作成者が別の人に交代すると、「これまでは新人向けっぽかったのに、このバージョンから急に経験者向けの内容・粒度になった」なんてことも起きてしまいます。

2-2.マニュアルの使い方が共有されていない

マニュアルは業務から独立した文書ではなく、日々の業務フローの中に組み込まれるべきものです。いつ、誰が・どの役割の人が、どのような目的で活用するマニュアルなのかが共有されていないと、マニュアルは実務で役立つものにはなりません。
私はマニュアル作成セミナーで講師を務めることもありますが、講義の中で「いま皆さんが手掛けているマニュアルは、どれくらいの知識を持つ、どんな人に、いつ、何の目的で手に取ってほしいのか、ぱっと言えますか」と尋ねてみると、「そこまで考えていなかった」という反応がたくさん返ってきます。
2.1節で述べた「誰のため」も含め、上記のようなことを決めてから、マニュアル作成に着手することが重要です。

2-3.作成後の運用・更新が想定されていない

マニュアル作成はプロジェクトとして取り組まれることも多いですが、実際にはライフサイクルで考える必要があります。作成後の更新についても「誰が、いつ、どのようなトリガーで情報を更新するのか」といった運用体制を設計しておくことが重要です。
私もマニュアルをご納品したあと、よくお客様に「今後の更新については、少なくとも、更新トリガーと更新の音頭取りをする担当者は決めておくといいですよ」とお伝えしています。

以上のように、失敗の多くは書き方ではなく、前提の「設計」に起因します。
ただし、設計を正しく機能させるには、読み手起点の心構えが欠かせません。次は、その心構えを整理したいと思います。

使われるマニュアルを作成するうえでの心構え

失敗を避け、現場に使われるマニュアルを作るためには、「読み手目線」を徹底する必要があります。具体的なテクニックの説明に入る前に、まずは基本となる心構えをおさえましょう。

3-1.マニュアルは「探して使う」もの

教科書にする目的で作られたマニュアルを除いて、基本的に、マニュアルを最初から最後まで通読する人は、実は多くありません。それよりも、業務をしながら困ったときに、関連情報をピンポイントで探すためにマニュアルを手に取ることが多いです。
そのため、マニュアルは「ぱっと見て必要な情報をすぐに探せる」状態になっている必要があります。「上から読んでいれば見つけられるからOK」ではないのです。

3-2.マニュアルは「構造で決まる」もの

見やすいマニュアルと聞くと、デザインや装飾を思い浮かべるかもしれません。しかし、本質的な見やすさは「適切にまとめられた情報」と「統一された書式」が生み出すものです。情報が適切にグルーピングされ、わかりやすい見出し(タイトル)がつけられ、理解しやすい順番で並んでおり、常に一定のルールで書式が使われていれば、たとえテキスト中心であっても迷わず情報に辿り着けます。

3-3.マニュアルは「ルールに沿って作る」もの

1章で述べましたが、作成者によってマニュアルの作り方がバラバラだと、マニュアルの読みづらさ・使いづらさの原因になります。マニュアル作成も、プロセスや書き方を標準化し、誰が作っても同じような品質のマニュアルができるようにする必要があります。それが結果として、マニュアルの品質の底上げにもつながります。マニュアルに含めるべき要素や書き方、赤字、太字といった書式の使い方などをルール化することが重要です。

わかりやすいマニュアルを作成するためのテクニッ

ここからはいよいよ、具合的な書き方(テクニック)の説明に入ります。

4-1.マニュアルの想定読者や利用シーンを明確にする

執筆を始める前に、「どれくらいの知識を持つ、どんな人に、いつ、何の目的でこのマニュアルを手に取ってもらうか」を明確にしましょう。明確にすることで、記載する内容の取捨選択や粒度を検討しやすくなります。
逆にここがあいまいだと、誰にとっても中途半端なマニュアルができてしまいます。

4-2.情報を検索しやすくする

マニュアルはピンポイントで情報を見つけるために使われることが多いため、「必要な情報がぱっと見つかるか」はとても重要です。①目次と見出し、②見せ方(書式/スタイル)に気を付けることで、情報を検索しやすいマニュアルを作ることができます。

①目次と見出し
目次や見出しも、「読み手目線」で作る必要があります。
マニュアルに記載する内容を考えたら、読み手がどのように情報を探すかをしっかり考えながら整理・分類しましょう。そのうえで、読み手にとってわかりやすい順番に情報を並べます。また、見出しも重要です。読み手の視点に立った表現を使い、記載内容が推測できるような見出しをつけましょう。
以下のブログで、わかりやすい目次や見出しの作り方をより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。
【マニュアル作成入門】「知りたいことが見つからない」からの脱却!マニュアルの検索性を高める目次作成のコツ | 株式会社ヒューマンサイエンス

②見せ方(書式/スタイル)
マニュアルに記載する情報をどう見せるかも、情報の探しやすさを左右します。
もし、手順も補足説明もすべて同じように書かれていたら、読み手は「どの文章が手順なのかな?」と思いながら、開いたページの全体に目を通さなくてはなりません。マニュアルを開いてぱっと情報を見つけてもらうには、手順、補足説明、注意事項など、情報の種類ごとに書式を変える必要があります。
以下のブログで、マニュアルにおける書式についてより詳細に説明しています。ぜひご覧ください。
マニュアル制作における書式の重要性~読み手・書き手の視点から~ | 株式会社ヒューマンサイエンス

見せ方に関しては、書式がすでに用意されたマニュアルテンプレートを使用するのも有効です。
しかし、テンプレートはあくまで”表現の箱”です。情報の種類ごとに書式を統一させるうえでは強力な武器ですが、それぞれの情報をどの書式で、どの粒度で、どの順番で表現するかという中身の検討は、作成者が行わなければなりません。「テンプレートがあればわかりやすくなる」と過信しないようにしましょう。

4-3.誰が読んでも同じように理解できるように書く

誰が読んでも解釈が一つに定まる文章は、わかりやすいマニュアルの必須条件です。さっと読んで「何を、どうする」「何が、どうなる」かをすぐに理解できる文章を書きましょう。主語と述語を明確にする、簡潔に書く、一つの文章に一つの意味しか入れないようにするといった工夫が有効です。

マニュアル作成にAIや自動化を取り入れる前に、準備すべきこと

これまで、「失敗しないマニュアル作成」について述べてきました。
ここでは、最近注目が高まっている、AIを使ったマニュアル作成やマニュアル作成の自動化に触れたいと思います。AIを「一瞬でマニュアルを作れる魔法」と捉えてしまうと、新たな失敗を生む原因になりかねません。AIを使ってマニュアルを作成するときは、AIに任せること、人間がやるべきことをしっかりと押さえておく必要があります。

5-1.AIに任せる範囲を見極める

AIは、散在する情報をまとめたり、下書きを作成したりする作業には極めて強力です。しかし、現場の暗黙知の吸い上げや生成された情報の正確性の検証は、現時点では、人間が実施する必要があります。部分的にAIの支援を受けられるケースはありますが、100%AIに任せることは困難でしょう。AIはあくまで作成「支援」のツールであることを忘れてはいけません。

5-2.参照データの品質と構造を整える

AIを使ってマニュアルを作成する際、他のマニュアルや関連文書を参照データとして用いるケースもあるかもしれません。また、最近は、作成したマニュアルを参照データとして読み込ませチャットボットのように使うケースもよくあります。その場合、参照データが適切に整理されていないと、期待した生成結果は得られないかもしれません。AIを使う際は、前段階として、情報の整理と構造化が不可欠です。

5-3.業務そのものの標準化を優先する

マニュアル化対象の業務プロセスが標準化されていない場合は、AIなどの技術を用いてマニュアルを自動生成しようとしても、うまく進めることはできません。なぜなら、AIは既存の情報を整理してわかりやすく文章にすることは得意でも、整理されていない、人によって異なる業務手順を統合して「正しい方法」を決めることはできないためです。まずは、業務そのものが標準化され、整理されているかを確認してください。

ヒューマンサイエンスでは、マニュアルのリライトを行うAIエージェントの開発や、RAG導入支援を行っています。ナレッジがまだ文書化されていない場合も、マニュアルコンサルタントがヒアリングしてマニュアルを作成するところからサポートが可能です。
AI活用を支えるマニュアル標準化AI開発・RAG導入・AI校正支援 – 株式会社ヒューマンサイエンス

マニュアルの運用を安定させるためのポイント

最後に、マニュアル作成を成功させ、継続させるためのポイントを紹介します。
AIや自動化ツールを導入する・しないにかかわらず、ぜひ実践していただいポイントです。

6-1.マニュアルの品質基準と作成ルールを定める

日々の業務と同じように、マニュアル作成も個人のスキルに依存しない仕組みが必要です。
なぜなら、1章で述べたような様々な「ばらつき」が生じると、マニュアルの読みづらさ・わかりづらさにつながるからです。誰が作っても同じような品質のマニュアルにするには、「注意事項には、こんなことを、このようなスタイルで記載する」といったマニュアルの基準や作成ルールを定めることが重要です。

このような基準は、AIを使ってマニュアルを作成するときにも重要です。基準がないと、担当者によって
「どこまでAIの出力物を調整するか」がばらつき、マニュアル作成の標準化・効率化につながらないからです。組織としてのマニュアルの品質基準を持つことが、長期的な運用の安定に寄与します。

6-2.大きく始めるよりも、まずは小さな成功事例を作る

最初から全社を巻き込む大きなマニュアル作成プロジェクトを展開しようとすると、なかなかうまく進まず頓挫してしまうものです。まずは特定の部署や特定の業務に絞り、小規模のマニュアルを作って、成果を広げていくというアプローチが有効です。実際に弊社のお客様でも、まず部門Aでマニュアル整備を実施した後、完成したマニュアルの評判を聞いた部門Bの方がマニュアル整備を始めたというケースがありました。

マニュアル作成の失敗を防ぐ本質は、単なるテキスト作成のテクニックではありません。「誰が、いつ、何のために使うのか」の設計をしっかり行い、情報の鮮度を保つための運用体制を構築することにあります。

また、AIや自動化といった最新技術も、上記のような土台ができたうえで取り入れることで、初めて真価を発揮します。まずは現在のマニュアルが抱える課題を、書き方や見た目のレベルではなく、設計レベルで再確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

マニュアル作成・改善のご相談はヒューマンサイエンスへ

ヒューマンサイエンスは、日本語版のマニュアル作成から英語翻訳まで、ワンストップでご支援いたします。1985年からの長きにわたり数々のマニュアルを手がけてきた実績があります。以下のようなニーズがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

・既存の日本語マニュアルや英語マニュアルを分かりやすく改善したい
・英語マニュアルの作成を検討していて、日本語マニュアルから段階的に進めたい
・社内で作成された日本語マニュアルを英訳して活用したい

特長①:大企業・グローバル企業を中心とした豊富なマニュアル制作実績
ヒューマンサイエンスは、製造業やIT業界を中心に、多岐にわたる分野でマニュアル制作実績を積み重ねてきました。これまでに「ドコモ・テクノロジ株式会社」「ヤフー株式会社」「ヤマハ株式会社」など、名だたる企業をクライアントとしてきました。
マニュアル制作事例紹介| ヒューマンサイエンス

特長②:経験豊富なコンサルタントによる調査・分析からアウトプットまで
業務マニュアル作成に携わるのは、ヒューマンサイエンスが誇る経験豊富なコンサルタントになります。熟練のコンサルタントが、豊富な経験と提供された資料から、より分かりやすく効果的なマニュアルを提案します。また、情報が整理されていない段階からのマニュアル作成も可能です。担当のコンサルタントがヒアリングを行い、最適なマニュアルを作成いたします。
マニュアル評価・分析・改善提案サービス| ヒューマンサイエンス

特長③:マニュアル化だけでなく、定着支援も重視
ヒューマンサイエンスは、マニュアル作成にとどまらず、”定着化”という重要な段階にも注力しております。マニュアル作成後も、定期的な更新やマニュアル作成セミナーを通じて、マニュアルの定着を支援してまいります。多岐にわたる施策により、現場でのマニュアルの有効活用をサポートいたします。
マニュアル作成セミナー| ヒューマンサイエンス
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このブログがわかりやすいマニュアル作成のヒントになれば、うれしく思います。