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機械翻訳ブログ

【事例】機械翻訳導入へのハードル~関係者間での合意形成~

以前、機械翻訳導入へのハードルとして、
「エンジンの運用」と「用語集作成」について、お客様のお声を紹介させていただきました。

▼前回の記事
【事例】機械翻訳導入へのハードル ~エンジン導入と用語集作成の課題解決~ 

今回は、もう一つのハードル「関係者間での合意形成」についてお話しさせていただきます。

 

●関係者から合意が得にくい?

これまで、こちらのブログでは、機械翻訳の効果を最大限に引き出すためのポイントや
ノウハウを主にご紹介してきました。

しかし、実際には、機械翻訳を導入することに対して合意を得るまでに、
上司の方や翻訳者の方など、関係者間での調整に苦労されるケースが意外と多いのです。

弊社がコンサルティングさせていただいているお客様の中でも、
下記のように、社内の翻訳者や関係部署の心配、抵抗があり
なかなか機械翻訳導入に踏み切れないケースも多くございます。

・機械翻訳で本当に品質は大丈夫なのか?
・機械翻訳で効率化なんてできるわけがない
・翻訳者の作業が減ってしまうのでは?

機械翻訳エンジンがいくら進歩したといっても、
その企業のドキュメントに精通したプロの翻訳者の目からすると
細部にはまだまだ不十分な点も多く残っており、
この「完璧ではない品質」で提出してよいものか、疑問に思われる方も多いのです。
プロジェクトの関係者の方としても、
本当に機械翻訳導入によって作業が効率化できるのかどうか、不安に思われますよね。

そこで、今回は、プロジェクト関係者との間で合意形成を図る手段のひとつをご紹介しましょう。

 

●大事なのは実際の読み手の声

機械翻訳導入について合意形成を図るためには、
「品質基準を明確に設定し、関係者と共有する」という方法が有効です。

実案件での事例をご紹介しましょう。
ある企業のマニュアル制作部では、
製品マニュアルの翻訳に、機械翻訳を導入することを検討されていました。

しかし、機械翻訳の品質や費用対効果について社内関係者から疑問の声があり、
担当者の方は、関係者間での合意形成に苦労されていらっしゃいました。
やはり、人による修正を加えるとはいえ、機械翻訳の品質でマニュアルとして本当に十分なのか、
かえって修正に工数がかかるのでは、という心配が多くあったようです。

そこで、弊社では、関係者間での合意形成を促すために、訳文品質のイメージを持っていただくことと、
費用対効果を具体的な数値で示すことが必要と考え、検証をお手伝いさせていただきました。

検証として、修正レベル別にA・B・C計3パターンのポストエディットサンプルをご用意し、
「どのレベルであれば実務で問題なく使用できそうか」を評価していただきました。
ここでポイントとなるのは、ユーザーに一番近い立場である、
現地販社の方々に訳文品質をご確認いただいたという点です。

その結果、レベルB以上の修正を行えば、実用できる品質であることがわかりました。

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そして、品質評価結果に基づき、
それぞれのレベルの訳文に対して訳文修正にかかる想定時間を算出し、
機械翻訳導入による費用対効果も提示させていただきました。
このようにして、機械翻訳のアウトプットの品質基準を明確に定めて
サンプル翻訳により見える化することで、
最終的に関係者からも機械翻訳導入に対しての合意を得ることができました。

最終的には、品質基準と費用対効果を総合的に検討されたうえで、
最も高いレベルの品質基準で機械翻訳を導入されています。

実際に、お客様からは
「実際に現地でお客様と接触する、販社のスタッフの声を確認でき、
費用対効果も実際に数値化できたことで、翻訳者やプロジェクト関係者にも納得してもらえて、
機械翻訳の導入がスムーズに進んだ。」
というお声をいただきました。

 

品質基準を設定するというのは、
社内で合意が得られている、いないに関わらず、
機械翻訳導入にあたって重要なポイントとなります。
これまで曖昧だった翻訳の品質基準を社内で明確に正確するのと同時に、
機械翻訳導入に対して合意形成を図るためのツールとして
活用されてみてはいかがでしょうか。

特に、今回の事例のように、読み手となる方の声を参考にされることで、
本来要求されている品質基準について、より説得力を持たせることができるでしょう。
機械翻訳だけでも十分な品質のドキュメントに人の力を割くことも減りますし、
また逆に、本当は人による高品質な翻訳が求められているドキュメントに対して
不用意に機械翻訳を導入してしまうといったことも防げます。

社内での品質基準の設定や合意形成にあたっては、
弊社のようなコンサルティングサービスを活用していただき、
第三者の客観的な意見を入れることで、
スムーズに進めることができるケースもあります。
皆さまがご納得された上で機械翻訳を導入していただけるように
社内の関係者間での合意形成などのサポートも行っていますので、
お気軽にお問い合わせください。

 

>>お問い合わせフォーム

フォームが使用できない場合は、hsweb_inquiry@science.co.jp宛に
お問い合わせ内容をメールにてお送りください。

もしくはお電話TEL:03-5321-3111にてお気軽にご連絡ください。

 

ブログ執筆担当

澤田 祐理子IMG_3756_2

・ローカリゼーションスペシャリストとして、
日本語版から英語版、多言語版までの翻訳プロジェクトに携わる。
・機械翻訳の導入や複数のエンジンの品質評価・検証、
エンジンベンダーとの情報交換などを担当
・企業に向けた英文品質の標準化やスタイルガイドの作成に携わり、
機械翻訳しやすい原文の調査・検証も実施。

 

 

 

 

 

 

 

 

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