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機械翻訳ブログ

最終更新日: 2019/06/19

【ノウハウ】ポストエディットでの修正観点は?

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以前、機械翻訳後の訳文を人の手によってブラッシュアップする
「ポストエディット」という工程についてご紹介しました。
「プロジェクトごとにどのレベルまで修正するのかを決めることが大切」と説明しましたが、
今回は、実際に例文をお見せしながら、ポストエディットでの修正観点を
より詳細にご紹介したいと思います。

▼前回の記事
【ノウハウ】品質、どこまで求める?ポストエディットの設計基準

 

●3つのエディットレベル

訳文をブラッシュアップするといっても、やみくもに修正を加えてはいけません。
目標とする品質基準と照らし合わせて、必要十分なレベルで修正していくことが重要です。
ポストエディットは、修正の度合いによっていくつかのレベル分けをし、
目標品質に合わせて適用するレベルを決めていく、という方法をとります。
以下に、弊社で基本として採用している3つのレベル分けを紹介します。

 

【ラピッドエディット】
・観点:原文の意味が正確に伝わるか
・人による翻訳と比較した作業負荷:10~50%

【ミニマムエディット】
・観点:原文の意味が正確に伝わるか、読みやすい表現になっているか、文法が正確か
・人による翻訳と比較した作業負荷:50~80%

【フルエディット】
・観点:原文の意味が正確に伝わるか、読みやすい表現になっているか、文法が正確か、
用字用語・スタイルの統一が図られているか
・人による翻訳と比較した作業負荷:70~100%

※「人による翻訳と比較した作業負荷」は機械翻訳直後の品質によって上下します。

 

ここで、エディットレベルの違いによる仕上がりの訳文品質の差を、実際の例文でお見せしましょう。

こちらの英語を機械翻訳したところ、少しおかしな日本語が出力されてしまいました。

 

<原文>
When removing the cover, in order to maintain cleanliness and prevent the build up of dust,
be sure to remove and clean the filter panel first.


<訳文(機械翻訳直後)>
清潔を維持し、かつほこりを上へ構造を防ぐためには、カバーを削除する場合、
必ずフィルタパネルはじめにを削除し清潔にします。

 

この日本語を、上記の3つのレベルでそれぞれ修正した結果がこちらです。

 

【ラピッドエディット】
清潔を維持し、かつほこりがたまるのを防ぐためには、カバーを取り外す場合、
必ずフィルタパネルをはじめに取り外し、清潔にします。

【ミニマムエディット】
清潔に保ち、ほこりがたまるのを防ぐためには、カバーを取り外す際、
必ずフィルタパネルをはじめに取り外し、掃除します。

【フルエディット】
清潔に保ち、ほこりがたまるのを防ぐためには、カバーを取外す際、
必ずフィルター・パネルをはじめに取外し、掃除してください。

 

ラピッドエディットでは、「ほこりを上へ構造を防ぐ」といったような全く意味の通らない表現や、
「カバーを削除する」といった通常は使用しない表現のみを修正します。

ミニマムエディットでは読みやすさを考慮し、「清潔を維持し」を「清潔に保ち」と修正したり、
「取り外す場合」を「取り外す際」と修正したりというように、より自然な表現に変更します。

フルエディットではさらに、用語集やスタイルガイド、他の文との統一を図ります。
今回の例文では、用語集に従って「フィルターパネル」を「フィルター・パネル」にしたり、
スタイルガイドでの規定や既存訳の表現に合わせてユーザの操作を命令形に修正したり、
といった修正を行っています。

 

エンジンによる翻訳品質の違いの検証結果

エディットレベルをあげれば、訳文の品質も向上するということはお分かり頂けたかと思います。
ただし、注意しなければならないのは、品質とコストのバランスをよく見極めることです。
エディットレベルをあげれば、品質は確かに向上しますが、同時にコストも高くなってしまいます。
ポストエディットを行うことで、人手の翻訳よりもコストや時間がかかってしまっては、
機械翻訳を導入する意味がありません。
目標とする品質基準と照らし合わせて、どの程度のブラッシュアップが必要なのか、
またそれにかかるコストが予算内に収まるのかを事前に確認しておくことが重要です。

今回は3つのレベルでの主な修正観点をご紹介しましたが、
各エディットレベルで具体的に何をチェックするのかについては、
求める品質によってプロジェクトごとに設定する必要があります。
さらに、ポストエディットの品質を安定させるには、
ガイドラインの整備やポストエディターの教育を行うことも必要です。

ガイドラインサンプル
 

ヒューマンサイエンスでは、品質基準と照らし合わせてポストエディットでのチェック項目をご提案したり、
ガイドラインの整備やポストエディターの教育といったお手伝いも行っております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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ブログ執筆担当

機械翻訳セミナー_澤田

澤田 祐理子

・ローカリゼーションスペシャリストとして、
日本語版から英語版、多言語版までの翻訳プロジェクトに携わる。
・機械翻訳の導入や複数のエンジンの品質評価・検証、
エンジンベンダーとの情報交換などを担当
・企業に向けた英文品質の標準化やスタイルガイドの作成に携わり、
機械翻訳しやすい原文の調査・検証も実施。

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